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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第二章 遺跡
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食堂

 オジサン達が待つ部屋にはテーブルと複数のイス、電子レンジ、冷蔵庫などの台所にありそうな物が置いてあり、台にはシンクと電子コンロが設置されている。

 食堂と言うか台所のような部屋だ。一つだけ説明できない装置がある。


「おう。坊主、早速だがこの部屋はなんだと思う?」

「そこのわからない装置以外なら台所のように見えます」


 一見、一般的な台所に思えるこの部屋はそのわからない装置がなかったらそのように見える。

 読んでいたマンガに載っていた台所と似ていると言った方が早いが俺の勘では台所と言った方がいい気がした。


「ほら、私が予想していた通り台所だったでしょ?」

「エリー。あんたはここにある箱について説明できないでしょ?」

「説明はできないけど、台所だって当ったてたじゃん。街に戻ったらご飯奢ってよ」

「テーブルと食器でお茶を楽しむ談話室だと思ったが違っていたか。これが不老族の台所なのか」

「外れたからってロゼットは何で無かったことにしているの!」

「ねぇ!ロゼットとエリー見てよ。これを捻れば幾らでも綺麗な水が出てくるよ!」

「おっ!凄い泥臭くないよ、この水!」


 俺達が戻る前に彼女達がこの部屋が何の部屋なのか予想を出しあっていたようであれこれ自分達なりに調べて蛇口から出てくる水を見てはしゃいでいた。

 この部屋は誰から見ても台所に見えるはずだ。


「タカシさん。台所なのはわかりましたが食べる物はあの大きい箱に入っているのでしょうか?」


 ミリは冷蔵庫指した。

 冷蔵庫にまだ食べられる物があるのかわからない。開けないと中に何が入っているのかわからないけど。


「ん?なんだ?獣人のガキは腹を空かせてるのか?こんなのでいいなら食っとけ」


 オジサンが腰に下げてる袋から干した木の実を取り出してミリに差し出した。


「あっ、ありがとうございます。アルムちゃん、スフィアちゃん。オジサンから食べ物もらいましたから食べましょうよ」


 ミリもオジサンから差し出された干し木の実を戸惑いながらもちゃんとお礼言ってアルム達と分けて食べた。


「「オジサンありがとう」」

「あぁ」


 アルムとスフィアもちゃんとお礼を言って干した木の実を口に入れた。

 小さい子にお礼を言われて照れ臭そうに答えた。

 これで少しでもアルムの中のオジサンに対しての好感度はマシになっただろう。


「ねぇ?空の魔剣師?この大きい箱の扉を開いても冷たい空気が出てくるだけで何も入ってないよ?これなんなのさぁ?」

「トト。それは食料を腐らない為に入れておく箱じゃないのか。それよりも空の魔剣師こっちの箱はなんなんだ?」


 やはり冷蔵庫は空っぽで何も入っていなかった。

 ただ中がヒンヤリしているから動いているのは確かだ。何か食べ物があれば中に入れて使えそうだ。

 コップに組んだ水を冷やしたり、冷蔵庫の氷を作る程度はできそうだ。

 彼女達は冷蔵庫と電子レンジを聞くところを見るとわからないらしい。一般的な家庭なら置いてあると思っていたがこれも外の世界と形が違うのだろうか?


「そうですね。その箱は冷蔵庫と言って気付いた通り食べ物を入れる物です。そっちの方は電子レンジで食べ物を温める装置です」

「食べ物を温める?」

「はい。冷めた物や冷蔵庫から取り出した物を温めるんです。温める物が無いので実践できませんが。オーブンとしても使えそうですよ」

「ふーん。そっちの箱は食べ物を冷やす箱でこっちが温める箱なんだ」

「家庭やメシ屋にあれば便利そうだね」


 どうもオジサン達は冷蔵庫も電子レンジも知らない。外の世界ではそれらの物はありふれているはずなのに知らないとなると俺達が今いる街と言うより国が発展途上国のど田舎の可能性が出てきた。だがそうなると矛盾が出てくるギルド内にあったギルドの証を印刷した装置はどうなんだ。

 あの時は気にならなかったがオジサン達が家庭用電化製品を知らないとなるとギルドの証を印刷した設備は何なんだ。

 コピー機や印刷機に見えたあれのことはフォスティアに聞いてみよう。小さいのにいろいろと知っていそうだ。


「それで空の魔剣師。こっちの箱は何なんだ?」

 ロゼットがわからない装置を指す。

「そっちの箱はわかりません。台所にある装置なので家庭用電化製品だと思いますが」

「あのタカシさん。その電化製品というのはどういう物でしょうか?」

「私も気になるわ」

「アルムもしりたーい!」


 電化製品と言うワードを出すがオジサン達はハテナ顔をしている。それと年齢が200歳を越えているスフィアが電化製品に興味津々ということは知らないようだ。

 やはりここは電化製品が一般に普及されていない国なのか。しかし、何故に電化製品が遺跡の中に電化製品が置いてあるのも疑問だ。

 テーブルの上に埃が積もっているから長い間放置されていたのは間違いない。


「電化製品というのは、えーと。詳しいことはわからないけど簡単に言うと電気のエネルギーを使って物が動く道具みたいな物を指す」

「えっ?魔力が一切使われていないの?ここにあるもの全て?」


 電気エネルギーに疑問の声を上げたトトは何を思ったのか電化製品が魔力を一切使っていないことに驚いているようだ。

 魔力は生き物の体にも空気中にもあるのはスフィア先生から教えてもらった。あんまり理解できなかったが要するにどこにでもあるみたいだ。


「魔力がどういう物なのかよくわからないけど僕が知っている電化製品の全ては電気のエネルギーで動いてます」

「魔力が必要ない道具か。魔力は名のある魔法使いが魔道具に直接貯めるが、その電気ってヤツはどうやってできるんだ?」

「いろいろありますよ。風が吹く力で電気を作ったり、何かを燃やした熱量で電気が生まれたりして。あれ?」


 何で俺は知らないはずの発電知識をこんなにペラペラ喋れているんだろう?読んでいたマンガにもこんなに詳しく載っていなかったはずだ。

 おかしいな何で知っているのかわからない。だんだん寒くなって気持ち悪くなってきた。


「おにいちゃん。だいじょうぶ?おみずのむ?」


 俺を心配そうに見つめるアルムと目があった。抱えられているベスも心配そうにプルプル揺らめいている。

 アルムは食器棚からコップ取り出してエリー達が遊んでいた蛇口から水を汲んで俺に差し出した。


「ごめん。心配かけた」


 アルムからコップを受け取って水を一気に飲み干した。コップをテーブルの上に置いてアルムの頭を撫でた。


「ちょっとタカシ?大丈夫なの」

「タカシさん顔色悪いですよ」


 続いてミリとスフィアが心配したように駆け寄ってきた。心配する彼女達に答えるように愛らしい頭を撫でる。


「心配かけたね。もう大丈夫」

「どうした坊主?気分がワリィならそこで休んでいていいんたぞぉ」

「本当に悪いならお姉さん達が優しく介抱してあげるよ」

「いえ、大丈夫です。心配おかけしました」

「エリー。それは私もやらなければならないのか?しかし、年上としてそう言う経験も」

「あー。ロゼットそれはエリーの冗談だから真面目に受けとらなくていいの」


 オジサン達も心配そうに声をかけてくれた。エリーの冗談を軽く流したがロゼットは彼女の冗談を真面目に受け取り本気で悩むあたり可愛い。そんな彼女をトトが突っ込む。


 そんな漫才はさておき俺がわからない装置を調べるけどスイッチは一つしかなさそうだ。

 これは電源だろう。

 電子レンジのように扉があり、中身も電子レンジと似ているが中身を見ているとどうも温める為の物ではなさそうだ。

 それと扉の隅にロゴと見たことがない文字で『デリバリーマシーン』とかかれている。

 これは俺が思うに文字で書かれているのは商品名と思う。その商品名で連想するのは食べ物を宅配することが思い浮かぶ。

 名前通りなら食べ物をデリバリーしてくれるはずだがこの装置は見る限りシンプルなデザインでわかりやすい電源のスイッチは一つしかない。


 これをどうやって使うのか意味不明である。そもそも説明書すらないから使い方に関してはすでに詰んでいる。

 装置の前でわからないまま唸っていても無駄に時間が過ぎていくばかりで一向に理解できない。なら元々わかっている電源スイッチを入れ、起動させてみてはどうだろうか?


 カチッ。


『接続されている端末がありません。お持ちの端末を接続してツールを起動、もしくは等製品からインストールをして起動してください』


 スイッチを入れると装置から無機質な女性の声が流れた。


「端末を接続?タブレットなら持っているが接続ってどうするんだ」


 と俺は言うが誰も答えないのはわかっている。

 カバンからタブレットを取り出して接続を図ってみる。

 タブレットの設定から入って、そこからワイヤレス設定から接続に入り適当にいじくる。

 数分後いろんなワイヤレス設定をオンオフ繰り返すこと約5分でタブレットの画面に『接続を開始しました』とポップアップが現れて続いて『接続した端末からツールをインストールをしますか?』とポップアップされた。


「するしかないだろ」


 俺は迷わず『YES』を押した。

 タブレットの中央に円が出てきてくるくると回っている。

 そして『インストールを終了しました』と表示されタブレットのデスクトップ画面にはデリバリーマシーンのロゴが追加されていた。それをタップしてツールを開くとメニュー、注文履歴、設定の3つの項目が表示があった。


「メニューに何があんだろう」


 メニューをタップする、ご飯/麺/パン、サイドメニュー、デザートの項目が出てきた。

 本当に食べ物が出てくるのだろうか?この装置どう見ても単体形の装置で食べ物が出てくる風には思えないが物は試しということで美味しそうな物は選んでタップしてみようかな。

 まず、ミリ達がお腹を空かせているから無難な物はやはりご飯/麺/パンだろう。それでみんなで食べられる軽めのヤツを。

 ご飯/麺/パンをタップすると様々なご飯、麺、パンの画像がずらりとメニューが出てきた。

 まっ、ご飯/麺/パンをタップしたのだから当たり前なのだが、俺の思っていた以上にメニューがあった。

 大量のメニューの中から5枚程度の食パンの画像をタップする。


『中に器を入れて扉を閉めてください』


 また装置から無機質な女性の声が聞こえた。装置の指示に従い食器棚から平たい皿を入れて扉を閉めた。


『転送するまで扉を閉めたまま10秒お待ちください』


 装置の扉に10が表示されカウントダウンが始まった。

 表示された0になりカウントダウンが終わると装置からピピッピピッと電子音のアラームが鳴り、装置の扉を開くと魔法の如くメニューの画像の通り中に5枚の食パンがあった。


 一枚取り出して噛って見る。

 ふんわりしてほんのりと塩味がするただの食パンだ。

 どういう原理でできたのかは不明だ。今は食えるなら原理なんてどうでもいい。

 装置から皿ごと取り出してテーブルの上に置く。


「空の魔剣師。それはパンなのか」

「はい。一口食べて見ましたがただのパンでした」

「ただのパンでしたって街で出回っているパンはもっと黒茶色でしょ?」


 トトから何言っているんだ?コイツみたいな感じで言われたが、俺が知っているノーマルなパンは耳が薄茶色で中身がふんわりな食感の白しか知らない。

 言っているパンがチョコ味やコーヒー味なら話は別だが。

 国によって一般的なパンの種類が違う可能性も捨てきれないが研究所もこういうパンが出てきたからがマイナーなパンではないはず。


「タカシさん、パン食べていいでしょうか?」

「ん?いいよミリ達の為に出したようなもんだし」

「タカシ!このパン柔らかいよ」

「おにいちゃん、これふわふわでおいしぃ」

「ありがとうございます。あっ!スフィアちゃん、アルムちゃん待ってください。私の分も残してくださいよ」


 余程お腹が空いていたのか食パンをすぐに平らげてしまった。


「これも食べていいよ」


 味が薄い食パンだけじゃ物足りないだろうと思い次々とツールから食べ物を選んでいく。

 ピザ、カレーパン、サンドイッチをタブレットから選んでは装置に皿を入れてを三通り程繰り返す。

 自分でも思ったが三つともパン類だ。さすがにパンだけではかわいそうなのでシーザーサラダ、ポタージュを三皿づつ選んで先程の作業をしていく。

 ラストのデザートにアイスを出す。

 三人は今出した食べ物を行儀良くテーブルに向かって食べ始めた。


「坊主、さっきわからないんじゃなかったのかぁ?」

「はい。まったくわからなかったですから装置から聞こえた声に従って操作しました」

「装置の声って私には何言っているのか全然わからなかったよ。どこの国の言葉なの?女の人の声ってことはわかったけどさ」

「エリー、どこの国の言葉って。ここは不老族の遺跡なんだから不老族の言語に決まっているだろ」

「いえ、どこの国の言葉と言われましても今話している言葉と同じですよ」


 俺には普通に聞こえたがオジサン達は別の言葉にでも聞こえたのだろうか?ただ単に指示の中のインストールやツールなどの単語がどういう意味なのか理解できなかっただけか。


「不老族の言葉は置いといて、この中身が何も入っていない箱から料理が出てきたのよ。どういうことなのよ」

「トトの言う通り。凄いよ。箱から固くないパンが出てきてびっくりだよ」

「それで出てきたスープは温ったかくて、サラダはシャキシャキしてどれも旨そうな物ばかりだ。ところで空の魔剣師、あと何を出せるんだ?」

「メジャーな物ならほとんど出せると思いますが何か食べたい物でもあるんですか?見ますか?」


 と彼女達にタブレットを渡した。


「えーと、これはどう使うんだ?」

「ロゼットばっかりずるい。私にも見せてよ」

「エリー、顔近すぎよ。もう少し離れなさいよ。こっちが見れないじゃない」

「二人とも止さないか。で?空の魔剣師、これの使い方は?」

「まず、画面に軽く触れて上下にスライドさせれば動きますよ。食べたい物があればタップしてください。そしたら装置の中に器を入れておけば食べ物が出てします」


 簡易的に説明し、彼女達はじっくりとメニューを見て自分達が食べたい物を選んでいく。


「ガルダさんは何か食べますか?」

「俺はいいぃ。お前達が選んだぁ物を食べるから気にするなぁ」

 オジサンは彼女達三人が選んだ物を食べるらしく、大人しく部屋の入り口付近で壁に体重を預けてる。

 そして彼女達の暴食が始まった。


 ●


 数日後、とある場所にて。


「なぁ。今月のデリバリーシステムの請求が来たんだけどさぁ」

「ん?なんだよいきなり。デリシスの請求がどうしたんだよ」

「それがさぁ。今月の請求が予想していた金額の三倍なんだよ。俺何か頼んだっけ?」

「自炊が面倒だから毎日デリシスで頼んだんじゃねーの?俺ら先月から仕事がベリーハードだったからそれで」

「いやいや、それが身に覚えがないんだよ」

「そういえばお前、この間精神系のヤツに酷く絡んでなかったか?」

「あ?反応が可愛いアイツか?それがどうした」

「お前が絡んだヤツってさ、強力な記憶操作できる噂だぜ。根に持つタイプには見えなかったがお前の絡み方が凄く酷かったから復讐で記憶を弄られたかもよ?」

「マジかぁ!」


 とある職場の雑談。

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