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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第二章 遺跡
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洗濯機と乾燥機

「空の魔剣師達は別の部屋に入ったのか!また勝手なことを。エリーも気づいていたなら止めるなりしろ」

「だって空の魔剣師がいるなら大丈夫かなって思っただもん。初めて来たはずなのになんとなくわかっているっぽかったし、二手で遺跡を探索した方が効率いいじゃん」

「エリーの言う通り、確かに一利あるな」

「ガルダさんも認めたんなら文句ないでしょ?」

「そう言われるとそうね。小さい子の行動に目を光らせている空の魔剣師がついてのなら危険は無さそうですね」

「だが空の魔剣師は色々なことが謎だ。異常な程大人を警戒している節があるがそこは良しとしようにも周りの小さな子も変わっている」


 俺達とは別の部屋に入ったオジサン達は俺達がいないことに気づいて話し合っているようだ。

 今の内、大人達が俺達のことをどういう認識なのか確認しといた方がよさそうだ。


 それとずぶ濡れになったミリ達はあのまま風呂に入れた。丁度、脱衣場に液体タイプの石鹸を発見したのであの部屋の説明してきたところだ。

 女の子だから綺麗になってもらいたいのと疲れた体を風呂で落として欲しい。

 ちなみに石鹸の匂いは花のようなフンワリしたいい匂いだった。現在三人は楽しく入浴中。俺は廊下に戻りオジサン達の様子を見に来たというわけだ。それとベスは大きな鏡の前でプルプル揺れていた。


 自分の姿に見とれていたのだろうか?

 それと風呂場の水遊びで濡れた服はどうしたらいいのか。


「一番小さい子の魔法は凄かった。大きな虫の魔物が一瞬で丸焦げになったのを見てびっくりだ」

「しかも無詠唱であれほどの魔法を撃てる魔法使いはこの国にはいないよ」

「それにこの国では珍しいエルフに獣人。それが奴隷じゃないから驚きね」

「この国はエルフに獣人、魔族。亜人にはとことん嫌われているからな。王都と大きい街で見かけるのはどれも奴隷ばかりだ」


 今思えばルルーンの街に着いてからミリのような人間の頭に動物の耳が付いている人は見かけない。

 この国は人種差別が頻繁に行われているらしい。だから肌が黒い人やミリのように動物の耳が生えている人が見かけなかったのか。


 耳が尖っているスフィアも差別対象に入るのか。

 ただミリもスフィアも街に着いてから差別らしい扱いを受けていない。街の権力者の子供のアシュティア達もミリを毛嫌いする風には見えない。

 昔がそういう事があって差別を受けた側が未だに引き摺っているのかもしれない。


「あっ!ガルダさん。空の魔剣師に聞きましたが、自分達は孤児って言っていましたよ。バレバレな嘘だけど何か言いにくい物があると思いますよ」

「孤児のわりには豪勢な剣を持っているのも剣士として気になるな。空の魔剣師は貴族の嫡男だったりしてね。空飛ぶ剣は家の家宝でさ」

「ロゼット、それは無いよ。もし仮に空の魔剣師が貴族家の嫡男だとしたら今頃、家臣達が血眼になって探し回っているよ。そんな噂も気がないし、空飛ぶ剣があるなんて今までに聞いた事がないよ」


 やっぱり孤児と言うのは苦しい嘘だったか。答えたスフィアに便乗して他に選択は見つからなかったからしょうがないと思う。

 それにこの剣は綺麗だと思っていたが豪勢と言う程ではない。つい先日まで土に埋まっていたわけで鞘にまだ土がこびり付いている。刃には変な模様が付いているだけでなので豪勢な剣とは言えにくい。

 飛ぶ力は俺が操って浮かべている訳だからこの剣には価値はそこまで無い。


「それよりもだな。この部屋を調べるのが先だろ」

「そうですね。向こうは空の魔剣師がついているので心配ないですから」

「ここはなんでしょうか?巨大な箱が幾つもありますね。ガルダさんはわかりますか?」

「いや、わからねぇ。見たところ箱の種類は二種類のようだ」

「ガルダさーん。中身は見えますよ。中は筒のようになってますね。中が見える部分に取っ手が付いているので扉だと思いますよ」

「うーん。幾つかの箱の中に布のような物体が入っているが開けて大丈夫なのか心配だ。ガルダさんはどう思います?」

「なぜ俺に振りやがる。遺跡なんて数える程しか入ったことしかないんだぞ。それもすでに探索済みのな」


 三人娘に指示を仰がれ怒鳴り散らすガルダは今までこなしてきた依頼の殆どが魔物討伐や盗賊団の壊滅がだった為、今回のような探索の依頼が苦手だった。

 それと植物採取系統の依頼も大嫌いのようで本人曰く、「草の見分けなんてできねぇ」と。


「まずは試しに扉を開けてみないとわからないよね。えい!」


 エリーが一つの扉を勢い良く開けたが特に何も起こらなかった。


「お?何も起こらないわね。エリー?開けるなら前もって言ってよね」

「いいじゃねぇか。エリー、中にあるものを出してみろ」

「はーい。小さい布が一つ入ってますよ。何の布だろう?あっこれは!」


 取り出した小さくて三角状の布を見易いように掲げたエリーはその形状から理解した。

 女性の下着と。


「ところでさ、どの箱にも似たような文字があるんだがトト読めるか?」

「わからない。これはどこの国の文字なのさ?」

「聞いた私に聞くのかよ。わからないからトトに聞いたのに」

「ロゼットはこの箱は何だと思う?」

「検討もつかん。布が入っていたから布を作り出す魔法具じゃないのか?」

「空の魔剣師でも呼んで来る?彼なら何か知っているかもしれないよ」


 この流れは俺達を呼びに来るのか。

 ミリ達は風呂に入ったばかりですぐには上がらないだろう。俺はオジサン達がいる部屋に用がある。

 オジサン達がいる部屋に置いてある箱と言うのは洗濯機と乾燥機だ。運がいいことに風呂場で濡れた服、ミリ達が脱いだ服を洗いたい。


 洗濯機のことを箱と呼んでいたオジサン達はここにある洗濯機がわからないみたいだ。外の世界の洗濯機は俺が知っているタイプと形が違うと言うのだろうか?

 先ほどからオジサン達の話を聞いていたが洗濯機や乾燥機の中に服が残っているみたいだ。今日はついているな。


「お邪魔します」


 扉を開けて部屋の中へ侵入した。


「空の魔剣師か、丁度良かった。貴方に聞きたいことあったんだ」

「あれ?他の子達は?」

「あの子達はやってもらいたいことあったので今はそれをやってもらっています」


 入浴と言う作業を。


「空の魔剣師はどうしてここに?それに何でずぶ濡れなの?」

「さっきの部屋でいろいろありまして、それでこの部屋にきました」

「何でずぶ濡れでこの部屋に行かなちゃいけないんだ?」


 あれ?まだ気づかないのか?俺の後ろの濡れた服に洗濯機で大方検討がつくと思うんだが。

 もしかして洗濯機の使い方を知らないと。

 俺も使い方は知らないけど。適当に服をブッ込んでスイッチを入れると動くはずだ。


「坊主はこの箱がわかるのか?」

「はい」


 オジサンが指した乾燥機だ。


「乾燥機ですよ。普通に見ればわかると思いますがオジサン達が知っている乾燥機とは形が違いますか?」

「乾燥機?何を乾燥させるんだ」

「えっ?洗濯物に決まっていますよ。それ以外に何があるんですか?」


 おかしいな微妙に話が噛み合っていない気がするぞ。


「はっ?この箱が全てが洗濯物を乾燥させる機械って言うのよ」

「全部ではないです。半分位はたぶん洗濯機だと思います。ちょっと使います」


 ミリ達の服を洗濯機に入れ、電源スイッチを入れた。

 洗濯機に表示されている文字は見たことが無かったけど意味は理解できた。

 電源スイッチの横に自動洗い、濯ぎ、水洗い、洗剤投入のスイッチがある。

 俺は迷いながらも自動洗いを押した。

 洗濯機の中に水が満たされ、グルグルと服がかき混ぜられる。数分後すれば洗剤が投入されるだろ。自動洗いということは全て自動でやってくれるのだろうから俺は乾燥機から着れそうな服を乾燥機から出していく。


「箱の中に水が!」

「動いているなぁ」

「凄い!服がグルグル回っているよ。どうなっているの」

「本当に洗濯する魔法具なのね」


 四者の反応に対してタカシは「これは魔法具ではない。ただの機械だ」と言葉を飲み込む。それよりも四人が洗濯機に夢中の間に乾燥機から取り出した服を漁る。

 思ったよりも集まった服を掻き分けて小さい子の服を探す。

 ついでに自分のも。


 うーん。大きい服が多いな。

 お?これなんてスフィアに似合うんじゃないか。

 手に取った花柄のティーシャツを見る。スフィアにしてみれば少し大きいのだが今洗濯している服が乾くまで我慢してもらうから何でもいいだろう。

 ミリとアルムのはどれがいいのだろうか?

 ミリなんかはこの猫がプリントされたのがいいかも、それにフリルが付いた藍色のワンピースはアルムにぴったりだ。


 そんなこんなで三人の着替えを物色する。

 パンツはどうするか。ノーパンで過ごさせるのも可哀想だ。

 他の洗濯機からも探すか。

 今使っている洗濯機以外の幾つかの洗濯機中も服が多数あった。その中に女性物の下着も含まれていた。

 さらに運がいいことに放置してから長い月日が経っているのか洗濯機の中に入っていた服は全部乾いていた。

 ミリ達の着替えを確保した訳だが今度は自分のを適当に選んだ。


 自分が着れる物は結構多くて選び放題だったが俺が選んだ物は上下が揃っている白い色のジャージだ。

 それを持って廊下に出るが。


「空の魔剣師どこへ行くんだ?」

「服がこんななので廊下で着替えてくるだけです。丁度いい服があったので」


 オジサンに呼び止められてしまったが特に疚しい気持ちがあるわけでもないので素直に答えてすぐさま廊下に出る。

 出てすぐに着替えに取りかかる。


「あれ?タカシさんこんなところで何をしているんですか?」


 俺が着替え終わったところ、風呂場の扉が開かれた。それは現在風呂に入っているはずのミリだった。


「ちょっとタカシ!私たちの服はどうしたのよ」

「きもちよかったー!」


 ミリに続いてスフィアとアルムも上がったようだ。

 三人は先日プレゼントした武器を手に、体にバスタオルを巻いた姿でいる。


「本当に私達の服をどこにやったの!早く返しなさいよ」

「スフィア達の服なんだけど今洗濯しているんだ」

「私達の服を洗濯したですって!」

「濡れたままだと嫌だろ?」

「それは嫌だけど私達には着替えが無いのよ」

「ところでタカシさん?その服はどうなされたんですか?」

「今オジサン達がいる部屋にあったんだ。スフィア達の分もあるから心配いらないよ」


 プリプリ怒るスフィアを可愛いと思いながら俺が着ているジャージに気付いたミリの問に答える。

 扉を開けて先ほど選んだ服を念力で取り寄せる。


「タカシの力ってほんと凄いわね」

「ほら、これがミリので、こっちのがアルムのだ。この花柄がスフィアのだ」

「かわいい!」

「タカシさんありがとうございます」

「この服どういう素材でできているのよ。うわっ下着まであるわ」

「ほらほら、着替えておいで」


 風呂場の脱衣場に着替えに行くように背中を押す。


「おにいちゃん。おきがえてつだって」

「アルムちゃんダメよ。タカシは男の子なんだから。着替えは私が手伝ってあげるから我慢しなさい」

「えー」

「アルムちゃん早く着替えましょう」


 スフィアがアルムを引っ張って脱衣場に入っていた。


「坊主、いつまで着替えてるんだ?次の部屋に行くぞ」

「もう着替え終わった?」


 ミリ達が着替えに入っていた数秒後オジサンがひょっこりと扉から顔出した。

 俺が着替える為に廊下に出たので女の人達に気を使って、最初にオジサンが様子を見に扉を開けたようだ。

 問題ないと判断してトトが顔を出した。


「空の魔剣師達が入った部屋はどんな部屋だったのかな?」

「入った部屋ですか?どんな部屋と言いますと普通のお風呂でした」

「お風呂?大国の王族貴族が湯浴みの時に入るあれか」

「王族貴族?いえ、普通の大きさのお風呂でしたよ」


 あれ?俺は何で一般的な風呂の多きさを知っているんだ。研究所でも汗を流すのはシャワーで流していた。マンガでも理解するほど無かった思うが別にいいか。


「へー。それで子供達がいないんだ。いいな先にお風呂を入れて」

「エリー、ぶつぶつ文句を言うな。後で入ればいいだろう?」

「だってこの国には風呂なんて文化ないじゃん。汗を流すのはいつだって桶で貯めた水で体を拭くだけじゃんか」

「確かにな私も入ったことはないが後だって入れるはずだ。我慢して」


 オジサン達の後ろでは毎度の如くエリーとロゼットが揉めているみたいだ。

 この大人達はよく揉めるのを目にするな。別に仲が悪いわけではないのだろう、じゃれあいの一種なのかもしれない。


「揉め事はそこまでにしやがれお前ら次の部屋に行くぞぉ!」

「「「はい!」」」

「坊主はガキどもが戻ったら来い!」


 オジサンは言い残し、洗濯部屋の隣の部屋に入っていった。


「タカシさん!お待たせしました。どうですか?可愛いですか?」

「タカシー?私の大きすぎ。服の模様は可愛いけどもうちょっと小さいの無かったの」

「フリフリ!」


 着替えが終わったミリ達が戻ってきた。ミリとアルムは気に入ってくれたようだ。

 スフィアは自分の体の二回り大きい服が不服のようだ。そこまで大きいとは思っていなかったがそれしか無かったから我慢して欲しい。そして三人ともとても可愛い。

 おっと、忘れるところだった。

 先ほどまで自分が着ていた服を持って洗濯部屋に入る。


「タカシさん?どこに行くのですか?」

「俺の服を洗濯しにね」

「そういえば私達の服を洗濯しているって言っていたけど川まで行ったわけ?」

「ん?何で洗濯で川に行かなちゃいけないんだ?こっちの部屋に洗濯機があるんだ」

「洗濯機ですか?」


 ミリ達の服が終わっているか気になっただけだが、ついでに自分の服も洗う。

 俺が予想していた通りミリ達の服が入っていた洗濯機は止まっていたから取り出して乾燥機の中に放り込んで自動のスイッチを押した。俺の服はミリ達の服を取り出した洗濯機の中に入れた。


「グゥルグゥルまわっている!なにこれ?おにいちゃん」

「これが不老族の洗濯なのね」

「凄いです!回っていますよ。暖かいですよ」


 ミリ達は洗濯機と乾燥機を見て盛り上がっていた。


「数十分位待てば乾くからそれまで待って。次の部屋でオジサン達が待っているから行くよ」


 少し嫌な顔をしたが素直について来てくれた。

 なんて素直で優しい子達なんだ。

 正直に言うと俺も三人と同じでオジサンは苦手だ。特にアルムなんかはギルドの一件のトラウマで大嫌いになっただろう。


 ただここでオジサンの要求を無視するほど俺は空気を読めない訳ではない。オジサン達は俺がいなければこの部屋が何の部屋なのかわからなかった。

 不老族の遺跡を調べる為に俺が必要と言うことだ。そんな俺が要求を無視すると調べられなくなってしまう。そうすれば俺がオジサンに怒られる。もしくは連帯責任でミリ達に迷惑が掛かるかもしれないと思うと従うしか無かった。


「ところでタカシさんお腹が空きました。何かありませんか?」

「そういえば空いたわね。何か無いの?」

「アルムもすいた」

「ごめん。食べるものは無いんだ」


 遺跡の中を探せば食べる物とかありそうだが、消費期限が過ぎていそうだ。

 俺達はオジサン達が待つ部屋に入った。

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