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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第二章 遺跡
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武器屋

 女の人達はたまたま武器屋に入ったら俺達を見かけて声を掛けて俺達を勧誘しに来たみたいだ。


「どうかな?私達のパーティに入ったらいいことしてあげるよ」

「バカッ、エリー初対面の殿方に」

「ロゼット、君って相変わらず純情だな。赤くなってかわいいなもう」

「何をいっているんだ。違う!私はただ殿方に馴れていないだけだ。人をお前が読んでる本の登場人物と一緒にするな!」


 三人はかしましく騒ぐ以外、悪意はないようだ。ただ店側は凄く迷惑そうだ。


「タカシさん、この人達なんなのですか?鬱陶しいですよ」

「大方ギルドから聞いて自分らのパーティーにタカシを勧誘しに来たんじゃない?」


 何故ギルドはそんなことを他人に話す?個人情報の漏洩だよ。


「その通りだよ。エルフの子!」

「違うでしょ。私達は北にある森に入るからギルドで噂の空の魔剣士を一時的に雇うんでしょ?」

「えっ?新入りがいきがっているからプロの心意気を見せるんじゃないないのか?」

「誰がそんなこと言ったの?それに私達はまだプロとは呼べない未熟者だよ。これだから剣のことしか頭にない脳筋はいつまで経っても男が寄って来ないんだよ」

「誰が脳筋だ!私は勘違いしやすいだけだ」

「コラコラ、二人ともそんなに騒いじゃお店の人に迷惑だよ」

「一緒に騒がしくしているトトの嬢ちゃんもだよ!」


 店番していたごっついオッサンに女の人達が注意される。いつもの風景なのか他の客は迷惑そうにしているだけで特に反応がない。


「オッチャン、騒がしくしてごめんよ」

「騒がしくしたと思ったらようを済ませて店から出ていけ」

「店主そうカリカリしてるといいことないよ」

「君たち、私達はギルドに待っているから後でおいでね」


 オッサンはこの店の店主のようだ。

 女の人達は店主にどやされながら店から出ていった。


「で?お前らはどうするんだい?」


 店主が不機嫌そうに聞いてくる。

 俺達は何もしていない。ただあの女の人達が勝手に騒いでいただけで俺達は見ていただけだ。

 なんで俺達は怒られなちゃいけない。

 ほら、アルムが怖がっているじゃないか。


「怖がらせてごめんよ。父さんはこれが普通なんだ。別に怒っているつもりはないんだ」


 棚を整理していた若い男の人が説明してくれた。


「父さんもお客さんに謝って」

「ふんっ、なんでワシがこんな子供に謝らないといけないんだ?」


 無愛想な店主だ。俺は武器を買えればどうでもいいがな。

「父さんは知らないだろうけどこの子が噂の空の魔剣士だよ」

「小娘共が言っていたな。こんな子供に大男が投げ飛ばすだのとふざけたことを」

「その話は本当なんだ」

「お前もか」

「父さん、本当だよ。俺は見たんだ。ギルドでその子がチンピラを投げるところを。ギルドの連中に聞けばわかるって」

「もういい。ワシは騒がしくしなければそれでいい」


 若い男の説明が鬱陶しかったのか店主は店の奥に下がって行った。


「あ~あ、父さんはいつも機嫌を悪くなると奥に下がる癖どうにかならないかな。で?君達は何か買っていくのかな?」

「俺はこの子達にあう武器を探してます」

「できれば君達のような小さい子に武器を売りたくはないけれどね。この街の英雄のお願いなら仕方ない。どういう武器を探しているんだい?」


 若い男は渋々といった体を表しつつもどこか嬉しそうに見える。悪い人ではなさそうだが、胡散臭いところが見れ隠れてる。

 さっそく男はミリ達に目線を合わせて武器について聞いている。


「私は弓矢ならなんでもいいけどできれば丈夫で矢が遠く離れた獲物まで届く弓がいい。この子は魔法使いだからいい杖を選んで頂戴」

「丈夫でよく跳ぶ弓矢といい杖ね。そっちの獣人の子は何がいい?」

「私はこれがいいです」


 ミリの視線の先には剣と盾が飾られていた。

 何となくデザインがミリにあげたボロい剣と盾に似ている。どうやらミリはあれがいいらしい。


「あれを売るのはいいが金貨5枚だぞ。こんな大金払えるのか?」

「金貨5枚、その程度か。金額的は別に問題ない。ついでに矢を入れる物とか刃を磨ぐ物をお願いします」

「金貨5枚をその程度で済ませるのか。流石ギルドで噂になっている空の魔剣士だ。ちょっと待って準備するから」


 若い男は頼んだ商品を机の上に乗せ始めた。

 俺達の前にミリの剣と盾に、丈夫そうな弓矢と矢30本と矢筒、赤と青の宝石がはまっている杖、砥石が置かれた。


「言われた商品はこんなものかな。全部で金貨10枚。ちなみに砥石はうちのサービスだぞ」


 金額の金貨10枚を男に渡して会計済ませた。


「剣の磨ぎ方は大丈夫かい?今は客が少ないから教えられるけどどうする?」

「私ができるので大丈夫です」

「ミリちゃんできるの?」

「はい。父の武器を磨いたことがあります。それに昨日だってタカシさんの剣を磨いでましたから」


 そういえば、昨日の夜剣が見あたらないと思ったらミリが持っていって磨いでたのか。そこら辺に落ちて物だから別にそんなことしなくていいのに。俺のことを思ってやってくれてると思うけど。


「教えなくていいんだね。それと、お願いがあるんだけど君の腰についている噂の空飛ぶ魔剣を見せてくれないか?」

「別にいいですけど」

「これが噂の魔剣か。値が張る品に見えるがどう見ても魔剣には見ない。ごめん。剣を浮かせて見てもらってもいいかな」


 若い男はマジマジと剣を眺め何かを確かめていたが俺にはその何を確かめているのかまったくわからなかった。実際に浮かせて見せてくれと言われたが俺の情報が研究所の人間の耳に届く可能性があるから能力を見せたくはない。しかし、昨日あんな大勢の前で能力を使った後では説得力がない。外の世界には魔法があるから簡単に浮かせる程度ならば問題はないだろう。


「わかりました。剣を浮かせるだけならやります」


 要望通り剣を念力でフワフワ浮かせる。

 若い男は浮く剣を真剣に見つめる。


「やはり、どう見ても魔剣じゃないよな。妥当なのは風の魔法なのか。でも魔法を使っていようには見えないな」


 と独り言をぶつぶつ言って考え込んでいる。


「イヤー、ありがとう」

「ところで何を見ていたんです?」

「ボクはここで鍛冶師やっていてね。今度魔剣に挑戦しようと噂で聞いた魔剣士の魔剣を参考にさせてもらおうとね。ボクの目利きもまだまだだな。噂の魔剣がどう見ても普通の剣しか見えないや」


 魔剣というのはわからないがそもそもこの剣は拾い物で浮かせているのは俺の能力なのだ。だからこの剣には何の力がないただの剣だ。特徴を言えばデザインがかっこいいことぐらいかな。何ヵ所か、空気の血や泥で汚れているところがある。それがかえって漫画のキャラクターが使う剣見たいに見えてかっこよさを引き立たせているが俺にとってはどうでもいい。

 俺の感性でかっこいいと思っているが今後の生活を考えてこの剣を売ってもいいさえ思う。

 今は金には困っていないから売るのはもう少し後になるが。


「なんでアルムはつえなの?タカシおにいちゃんみたいにけんがいいのに?なんで?」


 アルムが買った杖を手に取り不思議がっていた。俺とお揃いの剣が良かったようだが朝の大きな魔法を見せられては剣なんか渡せない。

 杖をチョイスしたスフィアに拍手を送りたい。


「アルムは魔法が得意でしょ?だったら剣よりも杖の方がいいじゃないの?」

「まほうをつかうのはたのしいけどアルムがいいたいのはそうじゃないの。タカシおにいちゃんといっしょじゃないとやなの」

「アルムには剣よりも杖が似合うし、魔法が撃てやすくなるよ」


 可愛いアルムに心が折れそうになりつつも何とか説得をがんばる。


「やっだ。おなじけんがいい」

「ミリちゃん、タカシさんが困ってますよ。今は杖で我慢してぐたさいね」


 俺とミリにはだだをこねるアルムの説得は無理なのか。


「タカシ長くいたらお兄さんに迷惑よ。それにまた店主のおじさんに怒られる前に早く出ましょう」

「そうだな。俺達はこれで失礼します」

「武器ありがとうございました。また来ます」

「まいどー。稼いだらまたうちの店に来てくれよ」


 買った物を持って俺達は武器屋から出た。

 若い男は最後は微笑ましい物を見るような表情で俺達のやりとりを見ていた。

 あの人はいい人だったけど店の奥に消えたおじさんはどうも好きになれそうにはないや。そういえば名前を聞くのを忘れていた。またくるからその時に名前を聞こう。


「アルムはつえよりけんの方がいいのになんでおみせからでちゃうの?」

「じゃあアルムちゃん、タカシの剣を一回貸してもらってもらおうか」


 アルムを納得させる為にスフィアがそんなことを言う。


「タカシ、そういうことだから剣貸してちょうだい」


 アルムに剣を貸すのは別にいいが怪我をしないか心配だ。スフィアの意図が読めないけどとりあえずここはスフィアの思惑に乗ってみて様子を見るしかない。

 すり傷程度ならミリの魔法で治せるから心配する必要がない。危なくなったら剣を取り上げるなり対応するか。


「ほら、怪我させないようしろよ」

「かしてくれてありがとう、おにいちゃん。うぅ、おもいよー」

「アルムちゃん持ってみてどう?」

「おもくてもてないよ」


 確かにこの剣は俺からしても少し重い。少し重いとはいえ振れられない程のレベルではない。だが、小さな女の子のアルムにしてみれば引きずるのがやっとの程かなり重いはずだ。

 そうか、スフィアはアルムに自分一人で扱えないと自覚させる為に剣を持たせたのか。


「剣なんて重くて無理でしょ?タカシたちも困っているから我が儘を言って困らせてはダメよ。それに剣何かより杖の方が軽くていいでしょ?」

「うん、わかった。アルムつえのほうがいい。おにいちゃんけんかしてくれてありがとう」


 やっと納得してくれた。


「アルム、このつえでいっぱいまものたおしてつよくなる。そしてつよくなっていつかけんをつかえるようになる」


 これは納得してくれたのか?

 今は自分は剣を使えないと自覚していればいいかな。アルムには凄い魔法の才能があるから魔法を極めてほしい。


「タカシさんこれからどうします?朝言っていた通りギルドに行きますか?」

「う~ん。ギルドにはさっきの女の人達がいるからな。あ~あ面倒くさいな」

「やっぱりタカシもそう思うの?面倒くさいならギルドには行かずにこのまま魔物狩り行けばいいじゃない?」

「スフィアちゃんそれだと向こうに悪いですよ。それに向こうは約束したと思っているかもしれませんよ。このまま魔物を狩りに行ったら怒られるかも」

「アルム、はやくまものたおしたいよ。なにがダメなの?」

「アルムちゃん魔物を倒したい気持ちはわかりますよ。でもですね。大きくなったら人との付き合いが大事な時あるんですよ」

「だがな。返事をする前に一方的に言い残された感があるんだけどな」

「返事を言う前に行っちゃたんでしょ?別にこのまま行くのもいいと思うけど」


 あの女の人達のことが面倒くさいと思うけど今日の内にギルドで冒険者登録もしたい。ギルドに行けばうるさい女の人達が待ち構えているのは確かだ。

 俺を引き連れて北の森に行くと言っていた。これも何かの縁ということにしてついて行くのはいい。

 一旦考え方を変えて俺達にプラスになることを考えよう。俺達は冒険者と言うものを今一理解してない。基本的なことは一番知っているミリに聞いているがミリが知らないことは多いだろう。

 考え方によって女の人達に冒険者についてミリが知らないことを教わるチャンスなのではないだろうか。

 外の世界の社会的経験や冒険者として生きていく為にもう一度女の人達に会ってみよう。

 冒険者として登場しとくといろいろと特典がついてくるらしいので冒険者としての地位を確保していくのに登録もついでにおくとしよう。


「念の為、もう一度会って話しだけでも聞いてみよう」

「タカシさん何か気になることでも?」

「気になることはないけど話しだけでも聞いてみようかなって思っただけだよ。それにギルドでの用事もあるしね」

「冒険者登録ですね!」

「そうそう、生活していく上で単純に稼ぐ職業と言ったら冒険者だからな」

「私もとうとう冒険者の仲間入りになるんですね。すごく嬉しいです」

「ミリおねえちゃんすごくうれしそう。アルムもぼうけんしゃになりたい」


 女の人達のことは後にして俺達は先に冒険者登録を済ませようとしたが。


「未成年の冒険者登録は法律で禁じられています」


 昨日買い取りを担当してもらったカウンターの女の人に冒険者登録をしてもらおうと頼んだが残念なことに未成年は法律で冒険者になれないようだ。

 自分の年がわからない俺以外は見た目10才ぐらいの子しかいないからそれが普通だよね。まだ一桁の子供に魔物狩りなんて危なくて任せられないよね。


「ただ空の魔剣士さんだけは例外として冒険者登録ができます」


 なぜ俺だけはOKなんだ。

 年がわからない自称未成年が冒険者になれるんだ。未成年は冒険者になれない法律はどこにいった?


「空の魔剣士さん不思議そうな顔をしてますね。説明しますとこの街の領主様とギルドマスターが特例としてもしも空の魔剣士さんが登録をしに来たら申請しろと伝令が今朝ありましたので空の魔剣士さんだけは冒険者になれます」

「だったら俺がその空の魔剣士の偽物かもしれませんよ。そう簡単に即座に申請していい物ですか?」

「簡単にぽんぽん申請は出来ませんが証言と証拠がありましたからそれらの裏をとっての判断なので問題ありませんから安心してぐたさい」


 証言は魔物の群れのクエストに参加していた冒険者全員とアシュティアからの報告に間違いない。派手にやらかして目立ってしまったからしょうがないとして証拠は山のような魔石のことだろう。倒した魔物から魔石だけを抜き取っただけで残りの屍体は放置していたから冒険者が回収して俺が売った魔石をあわせて証言と照らし合わせたのだろう。


「空の魔剣士さんだけ登録できますがどうなさいますか?」


 ミリが冒険者になれないとわかると悲しい顔して回りに感染していくようにスフィアとアルムがガッカリする。

 こればかりは法律だからしょうがない。しかし、魔物の群れを一掃したからって明かに未成年だとわかる俺を冒険者登録するのが謎だ。研究所から追われているから何か裏があるのか疑ってしまう。

 職業を得る為に俺だけでも冒険者になるべきだろうか。


「わかりました。冒険者登録をお願いします」

「はい。では登録の方を始めます。幾つかの質問に答えてくださいね。空の魔剣士さんの御名前は?」

「タカシだ」


 登録は質問に答えるだけでいいそうで最初に名前を聞かれた。研究所では番号で呼ばれていたから名前が売れても研究所には届かないはず。


「えーと、犯罪歴は?」

 脱走って犯罪歴に入るだろうか?それと人をボコボコにしたのも入るのかな。前者は黙っておくとして後者はカウンターの人も見ているはずだから問題ないはず。


「ない」

「次は依頼内容に入っている約束事を最低限守れますか?」

「その最低限の範囲は?」


 質問で疑問に思ったことを聞いてみる。


「最初に誰しも聞いてくることですが自分達が不利になること以外は守ってもらいたいです。冒険者は依頼者に対して信頼が命ですから約束を守らないとできる仕事が減るので気をつけてもらわないとギルド側も困ります」


 要するに最低限の範囲は自分達が不利になること以外はある程度守ってほしいと受け取れる。


「わかりました。できるだけ守れるように善処するように心掛けます」

「冒険者登録に必要な質問は以上になります。冒険者の証を作成しますので少しお待ちください」


 カウンターの人は今やりとりしていた時に書いていた用紙を持って奥へ下がっていった。

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