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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第二章 遺跡
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訓練という遊びの後

 どしゃ降りの雨の中ルルーン街に高い火柱が立った。しかし、火柱の威力はどしゃ降りの雨の勢いに負けて被害が出なかった。

 朝が早かった為か天にまで届きそうな火柱を目撃した住人は少なかったのは言うまでもない。


「ごめんなさい」


 廃虚が並ぶルルーンの街の貧民街に炎の魔法を出した犯人の幼女がシュンと落ち込んでいる。


「怪我した人はいない見たいですし、全然被害が出なかったのですから気にしなくていいですよ」

「だけど驚いたわ。こんな小さな子が軽く魔法を使っただけで天に届きそうな火柱を出すなんて、この子は500年に一度の天才かも知れないわ」

「だってさ。みんなアルムの魔法でびっくりしただけで誰もアルムを怒っていないよ」

「おにいちゃん、ほんとにそうなの?」

「そうさ。ミリが言う通り被害がでてないからアルムが落ち込む必要なんてないよ。それにスフィアが言うにはアルムは500年の天才だって」

「スフィアおねえちゃん、アルムはてんさいなの?」

「天才だって、私が生まれてからあんな魔法見たことがないし、天まで届きそうな火柱の炎の魔法なんて噂でも聞いたことがないよ」

「アルムまたまほうをつかっていいのー?」

「使っていいがコントロールできるまでは街の中で使わないで欲しいな。練習できるところがあるといいんだけど」


 アルムが火柱級の魔法をバンバン使うと街が軽く破壊してしまうと思う。何か魔法の練習台にちょうどいいのはないか。


「タカシさん、ギルドで討伐依頼を受けてみればどうですか?」

「ギルドの討伐依頼?」

「はい!ギルドでは素材を買い取ってくれるのは知ってますよね?」

「あぁ。魔石と一緒に売れるやつな」

「そうです。ギルドで魔物の素材を買い取ってくれるのは商人に売っているみたいです。その商人は別街へ移動して素材をその街で売り、その街のギルドで魔物の素材を買い取ってまた別の街へ移動しての繰返ししているみたいです」

「ギルドが魔物の素材を買い取ってくれる理由はわかった。っでギルドの討伐依頼っていうのは?」

「討伐依頼は貴族、武器防具屋、錬金師がその魔物の素材が必要でギルドに依頼するんです。それでその依頼はギルドにある掲示板に達成報酬と一緒に張り出されて冒険者がその依頼を受けて依頼の魔物を倒して依頼の素材持ち帰れってギルドに渡せば依頼が達成です」


 初めて会った時もそうだがミリは冒険者に憧れているようで説明している今だって本当に自分の夢を語っているように目が輝いて熱く語っている。


「魔石と一緒に買い取って貰えば稼げると。それと魔法の練習にどういう関係がある?」

「討伐依頼の魔物のついでに魔法の練習台に魔物すればいいって言いたいわけね」

「その通りです。スフィアちゃん!」


 嬉しそうにミリが声をあげる。


「そもそもミリは魔物が嫌いじゃなかったか?見たら大声で叫ぶぐらいに」

「そうなんですよ。死んだ魔物は大丈夫なんですが生きてるのはとても。でもやっとベスには慣れたんですよ」

「慣れた割には全然ベスに触れられないじゃないの。それで慣れたって言ってるの?」

「スフィアちゃん。そこは言わないでくださいよ。これでもマシにベスが近くにいても普通にいられるようになったですよ。私の魔物嫌いを治す為にもギルドで討伐依頼を受けてもいいと思うんです」


 スフィアの指摘に嬉しそうな声が徐々に落ちていく。

 確かにミリの魔物嫌いは早めに治しておきたい。ずっと魔物嫌いのままでミリ一人魔物と出会して腰を抜かして殺されましたなんて洒落にもならない。

 それに本人曰く「誰かのやくただずのお荷物なんて嫌です!私は誰かの為の何かになりたいんです」と強く宣言している。

 それでミリは最終的に誰かの為になる冒険者に憧れているのかもしれない。


「朝御飯を作りに私先に戻っていますね」

「アルムもー」


 いられなくなったミリとアルムが教会へ戻って行った。

 昨日、木の実を全部使ったと言っていたが何で朝御飯を作るんだろうと疑問に思いながら雨の中走り去る女の子を見送った。


 ミリを冒険者にするにしろ、俺も何かしらの職に就かないと俺には養わなくちゃいけない女の子が3人もいるのだからどこまでポケットマネーで暮らせるかわからない以上このままニートはまずい。

 研究者も言っていたがニートは別名社会のゴミ(ヒキニート)と呼ばれ肩身狭い生活を強いられると聞いた。

 漫画でもニートはゴミだの、引きニートだのと罵られていて精神が腐っていく描写が描かれていた。


 あの漫画のニートようにはなりたくない。

 ニートは絶対にダメだ。手頃な職を見つけないと。

 ミリと一緒に冒険者になるのは悪くない。


 昨日、わかったことだが、魔石を売っただけで以外に稼げた。魔物もそこまで強くはなかった。

 冒険者というのは簡単に稼げるいい職ではないだろうか?だからこの街には冒険者の数が多いのも頷ける。

 唯一の欠陥は獲物の取り合いになることだろう。

 アルムとスフィアもついでに冒険者になって四人でやってみるのも面白そうだ。

 とりあえずまず先にミリ達を魔物と戦わせてみよう。

 冒険者になるならないは置いといてまたギルドに行って掲示板というやつを確認しておくかな。

 いい依頼があればいいが無かったらミリたちを引き連れて俺達が来た方向の反対側に行って魔物を倒して魔石集めて売ろう。


「本当にあなたってどういう存在なの?さっきの精霊さんといい、魔法といい。私の理解を超えているわ」

「自分でもわからない。兵器として育てられたかもしれないし、ただの興味で育てられたかもしれない。今言えることは自由になった今平和に生きていたい」

「平和に生きていたいっね。まるで追われている見たいにいうのね。あなたって亡国の王子たったりしてね」

「フッ、俺が王子か、悪い冗談だな。本当に平和に生きていたいのは俺の願いかな。前にいた場所が地獄そのものだったから」


 追われているのは否定しないが俺が王子ってあり得ない。俺達被験者のほとんどが殺してもいい替えがある人工的に作られたクローンだ。

 俺もクローン人間なのだろう。

 貴重なオリジナルは厳重に保管されているから滅多に見たことがない。

 これは研究所にいれば必ず聞ける情報だ。

 しかし、俺達はオリジナルとクローンの区別がわからない。知る方法は腕輪を解析する方法しかないのだろう。


「私はタカシがいた場所のことはよく知らないけど奴隷生活よりは全然良かったでしょ?」

「奴隷生活ってどういうのかわからないが仲間達毎日殺されていつ自分の番になるか怯える暮らしだったよ」


 人を殺したことがあるとは言わない。

 そんなこと女の子相手に言えるには重過ぎるし、スフィアには嫌われたくない。

 悲しそうに俺を見つめるスフィアに気になっていたことを聞いてみた。


「スフィアどうして奴隷になったんだ?」

「それは、」

「言いたく無かったら答えなくていいぞ」

「いいえ。私が奴隷になったのは故郷の森で一人遊んでいたら人間狩りにあってそれから奴隷として売られたの」


 人間狩りというのは誘拐の一種なのだろうか?ということはアルムと同じで拐われて檻に閉じ込められたというかことか。

 アルムとは違うところは自分が帰れる場所があると言うことか。自分の故郷の場所を知っているようだがアルムと一緒に送ってやろう。


「スフィアは故郷に帰りたいのか?」

「故郷に帰れるなら早く帰りたいわよ。お母さんとお父さんは心配しているから早く帰って安心させてあげたい」

「これも何かの縁だ。送ってやろう」

「何言ってんの。私の故郷はここからずっと離れた場所なのよ。そんな簡単に送ってあげるって言われても後で後悔するよ」

「スフィアの故郷がどんなに遠くても別にいいさ。俺達はどこに行く宛もないからな」


 ミリは旅の途中に親に捨てられ、アルムは誘拐されて生まれた村を焼かれた。物心ついた時から拷問の毎日だった俺がいうのもなんだが二人ともしんどい人生だ。

 だから俺達は行く宛が存在しないからスフィアを送ったって別に構わない。仮に寝泊まりしている廃虚だって大人達に見つかったら最期追い出されるのは目に見えてる。


「私は元奴隷だし、あの店の奴隷商人に見つかったら奴隷としてまた檻の中に入れられちゃうからこの街から逃げないとね」


 スフィアは俺達を同じ逃亡奴隷と勘違いしたようだ。ミリ達について詳しく聞いてないらしいから勘違いするのは無理もない。俺のニュアンスもどこからか逃げたしたよういい方だったから後でミリ達について誤解を訂正させなければ。


「タカシさん、スフィアちゃん朝御飯出来ましたよ!」


 ミリが俺達を呼びに来てくれた。

 昨日、ギルドの帰りミリはいろいろと買い込んでいたのをみて不思議に思っていたら食料品だった。


 言ってくれれば出したのに。


 好きに使っていいと行ったのは俺だが食料品だけで渡したお金を全部使っていたら追加で渡すつもりでいたがこの街の物価と買った量を考えるとそんなに使っていないことがわかる。

 買った物は果物や野菜がほとんどで他にすごい安い豆と石のように固くて黒いパンがなどがあった。

 ほとんど傷んでいたりキズがあったりと食べて大丈夫なのか心配だったが売っているから多分大丈夫だろう。


 朝御飯はというと果物と野菜、豆をふんだんに使ったサラダとパンに果物と野菜を挟んだサンドイッチだ。

 サラダは普通にいけたが、サンドイッチの方は固いパンが果汁を吸って柔らかくなったものの食感がグニグニとして気持ち悪くなった。

 味も苦くてすっぱい。とても美味しいとは言えない代物だった。

 本能で感じ取ったアルムとスフィアは俺にサンドイッチをすすっと押し付けてサラダだけを食べていた。


「目的だった魔石は売ったけどこの街ですることある?」


 押し付けられたサンドイッチをかじり今日の予定を相談する。

 ルルーンの街に魔石を売り来たが 街につく前に持っていた魔石は全部ベスに食べられてしまい昨日売ったのは全部魔物の群れで狩った魔石だ。

 それだけでも結構な額になった。


「これから旅を続けるのなら旅に必要なあれこれを買うのはどうでしょうか?」

「そうだな。アルムの両親を探したいし、スフィアを故郷まで送りたいからな」

「アルムもパパとママをさがしたい!けどさがしにいくのはタカシおにいちゃんにまかせる」

「私の故郷はこの街から遠いから私の方は後回しでもいいよ。先が長いならこの街でもう少しゆっくり準備なりすればいいじゃない?」

「アルムの両親の手掛かりがないと探せないし、スフィアの故郷も場所がわからないと行けないからな」


 正直な話し、アルムの両親は生きているかわからないからアルムの約束とのして守るつもりでいるがどこにいるのかわからない以上後回しになってしまう。

 目的地として無難なのはスフィアの故郷だ。

 今後は研究所から逃げながら、アルムの両親の情報を集めつつ、スフィアの故郷に向かうだ。


 しかし、空気との戦いや魔物の群れを片付けてすごく派手なことをやっているのに研究所の追っての方は全然やって来ない。

 人をリンゴみたいに潰せる俺みたいな危ないのはそのまま放置するわけにもいかないだろうけど何にも聞かない。

 今頃は腕輪についた発信器を使って場所を特定しているのかもしれない。

 俺にとってはテレポートで着いた場所から離れたいが研究所の動きがないからそこまでではないからゆっくりしていてもいいかもな。


「ではもう少しこの街にいるつもりで?」

「あぁ、スフィアの言う通り先の長い旅になりそうだ。ミリとアルムも歩き疲れただろう?」

「そうですね。遠い距離を歩いて来たので休みたいです」

「アルムはまだあるけるよ!」


 アルムは無垢は笑顔で歩けると主張するが俺に言わせればアルムがバテて歩けなくなったら俺がおんぶすることになる。

 おんぶするのは構わないが村を焼かれた光景を見たばかりだから休ませてあげたい。

 俺はこの街で集めたい情報があるからもう少しだけ止まりたい。


「この街にいるならギルドに行って討伐依頼を受けてみたら?ついでに冒険者登録も四人でしてこようよ」

「スフィアちゃん!冒険者登録をする考えはとても素晴らしいですね」


 冒険者に憧れているミリがスフィアの提案に賛成する。

 冒険者になりたいのなら止めないがスフィアは元奴隷だったわけだし、この街でなるのはまずいと思う。


「ミリおねえちゃん、アルムもぼうけんしゃなるの?」

「アルムちゃんの魔法は凄かったですから絶対有名になれますよ」

「確かにアルムの魔法は凄かったわね」


 みんな朝御飯が食べ終わり先程の出来事を話し始めた。話しを始めた途端アルムの表情はバツが悪い顔になった。

 アルムとって先程のことは失敗したとでも思っているように感じとれる。


「アルム、さっきも言ったけどみんなアルムの魔法を誉めているんだよ。だから失敗したような顔しないで笑っていいんだよ」

「おにいちゃん違うの、わかってるけどアルム思ったの。アルムがもやしたかもしれないって」


 燃やした?何の話だろう。


「アルムがアルムのむらをもやしたからアルムがとじこめられたんだって」


 村を燃やした?アルムが住んでいた村の話か。

 村にあった村人と思われる屍体達には銃痕があったから村が焼いた犯人はアルムじゃない。

 テロリストとかの犯罪集団が燃やしたと推測できる。村を焼いた理由は証拠隠滅とかじゃないかな。漫画とかによくやるようなことだから。


「俺はアルムじゃないと思っているよ。だってアルムは優しいからそんなことするはずないじゃん」

「おにいちゃん、ありがとう」


 自分でも説得力がないと思ったがアルムが納得したようで良かった。


「話は終わりましたか?」

「ギルドで依頼受けるんでしょ?街から出る前に弓矢と矢を買って欲しい」

「弓矢と矢?なんでそんなものを?」


 弓矢ってあれだろ。棒を引いて飛ばす奴のことだろう。


「私、故郷で弓矢を使って狩りや魔物退治していたんだ。それで魔物討伐の依頼を受けるなら私の得意な弓矢をって」

「要するに魔物と戦う武器が欲しいと」

「そう」


 スフィア達に戦わせるつもりはないが俺から離れて自立した時に魔物に襲われましたなんて嫌だから一緒に戦ってもらおう。

 冒険者としての職業も必要だしね。

 ギルド行く前にみんなの装備をそろえよう。


「わかった。ギルドに行く前にミリ達の分も買い揃えるか」

「タカシさん、アルムちゃんは必要かも知れませんが私には小剣と小盾を持っていますし、予備でナイフがあります」


 ミリが住んでいた廃村から持ってきたボロボロのあれか。あんな今にも壊れそうな物捨てずにここまで持ってこれたな。

 魔物と素手で戦うよりはマシなのかも知れないが壊れたら終わりだと思うのだが。


「あんな古いの使ってたら怪我するぞ。アルム達と一緒に新しい剣を買ってあげるから廃村で拾った武器はここにおいていきなさい」

「でも、タカシさん」

「でもじゃない。それに昨日大量にお金が入ったから新しい武器なんて好きなだけ買えるんだ。今から行くぞ」


 武器の相場(売り値)なんて知らないが今ある現金で余裕で足りるだろう。確か、昨日行ったギルドの隣が武器屋だったな。そこに行ってミリ達の武器を揃えるか。

 そんなわけでギルドの隣の武器屋で三人の武器を買うことになった。


「へい、いらしゃーい!って客だと思ったらガキ共かも」


 店番していたごっついオッサンが図太い声を利かせて声を掛けてきた。しかし、オッサンは俺達が子供だとわかると肩を落として落胆するが子供だからといって何かしら言ってこないところを見ると問題ないと思える。


「買ってあげるから好き物を持っておいで」


 そう告げるとミリ達は店内に散らばった。

 俺もミリ達が選び終えるまで暇なので店内を見学することにした。

 店内には剣に槍、斧、弓矢、杖いろんな種類の武器があったが銃のような近代の武器がない。

 武器屋なのに銃はここの店では扱っていないのだろうか?

 世間では銃がありふれていて普通に武器屋で買えると聞いていたがこの情報もホラだったみたいだ。


「あら、ごめんなさい」

「いえ、こちらこそ」


 考え事していたら女の人にぶつかってしまった。女の人がすぐさま謝ってきたので俺も反射的に返してた。


「ところでボク?この街で弾薬とか売っている店知ってない?」

「銃弾のこと?俺も探しているけど知らない」

「そっか。ん、ありがとね」


 少しがっかりした様子で店から出ていった。

 やっぱり銃とか扱っているところでは売られているんだ。


「タカシさん!助けてくださーい」

「おっ!あの子が噂の空の魔剣士。キミー。私達のパーティに入らない?」

「なかなか、かわいいじゃないか」

「エリーにロゼット、エルフの子にも声かけたよ」


 いつの間にかミリ達は女の人達に囲まれていた。

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