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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第二章 遺跡
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銃盗賊と少女の部屋

 アシュティアを探しに森まで来たけれど森に入るまでもなく来て早々見つけた。

 彼女は木の影に隠れて近くにいる狼のような魔物をやり過ごそうとしているようだ。彼女を探していた魔物の首を念力で普通ではありえない方向に曲げて息を止める。そして剣で腹を捌いて魔石を取り出した。


 この作業も馴れたもんで。プロの域に到達したかと思うぐらい魔石の場所を的確に予想して捌いて魔石を取り出してそれ以外の素材は使い道がないからポイと捨てる。


「アシュティア。助けに来たよ」

「タガシヂャマー!」


 ドレスがボロボロに破けた姿のアシュティアに抱きつかれた。

 必死に堪えていた涙で可愛い顔グシャグシャになっている以外は特に目立った怪我はないようで安心した。


「ごわがったよ!」

「無事でよかった。それじゃあ、街に帰ろう」

「ゔん」


 ドスーン。ドスーン


 アシュティアを抱えてルルーンの街に帰ろうとしたら、さっき見えた巨大な影が見えた。

 巨大な影はこちらに向かって来るものの動きが鈍く見える。どこか怪我をしているみたいな動きだ。しかし、そんな動きでも地揺れのような足音だけは相当な体重だとわかる。


「でかいな」

「ダガジヂャマ」


 アシュティアが足音に怖がってギュッと強く服を掴んでくるので少し動きずらいが彼女が少しでも安心するならこのままでもいい気がする。彼女の膨らみかけの胸が当たって心の中では嬉しかったりしているのは内緒である。


 巨大な影はドスーンっと地揺れのような足音を立てながら街へ向かっている。影が俺達の前を横切って姿が月明かりに照らされる。

 巨大な影の正体は山サイズの角があるカエルだった。巨大なカエルは体中に切傷があり、左足に関しては軽く引っ張ったら取れそうな深い切り込みがあって、そのせいで左足を引きずっているみたいだ。


 体中の切傷を見て空気にやられた傷だとわかった。俺もアイツに体中を切り刻まれた経験者だ。それぐらい簡単に見れば気が付く。

 それで今回の魔物の群れの原因を推測してみた。


 今回、魔物の群れの原因は空気のやろうのせいだ。サイコなアイツは俺を切り刻むがそれだけじゃあ満足できず適当にそこら辺の魔物を対象に切り替えた。満足するまで魔物を切り刻んだ空気はどこかへ行き、生き残った魔物達は空気から逃げだして街まで迫っている現象証拠を見て明らかだ。

 勝手に推理したが我ながら見事と思う。


「たく、余計な物を残しやがって、ほんとにアイツはろくなことしかしないな」


 巨大カエルを早く倒してみんなの所に戻るか。空気が残した面倒ごとを片付ける見たいでいやだが、魔石がでかいそうで高く売れそうなのでよしとしよう。。

 手負いだから簡単に倒せるし、アシュティアにも帰してあげたい。


 カエルの胸、心臓がありそうな場所を剣で何回か切り裂いた後、面倒になってカエルの顔面を念力(サイコキネシツ)で爆発させた。頑張って腹を切り開いて魔石を抜き取って残りはこのまま放置。

 残りはあの冒険者達が有効活用してくれるだろう。


「アシュティア、街に帰るよ」

「はい。タカシ様、助けて頂いてありがとうございます。このお礼はいつか必ず」

「お礼なんか別にいらないよ」


 泣き止んだアシュティアがぺこりと頭を下げて助けてもらったお礼をしたいと言い出した。別にお礼が欲しくて助けた訳ではないと話すと少しガッカリしていた。


 頑張って取り出した魔石は思っていたよりでかい。体に比例しているのか今までの中で一番大きかった。

 俺の隙をついてベスが魔石に近づこうとしていたのでそれを念力(サイコキネシツ)で阻止しながら念力で飛びルルーンの街へ戻る。


 これだからベスは油断してると魔石を食べようとするので魔石には近づけさせない。一定量を食べさせない。ベス2原則を俺の中で作った。


「さてっと、ベス」


 俺が声を掛けるとベスが俺の足にべちゃっと張り付いく。


 ドゥゥーーン。


「キャッ!!」


 森の中に昔から聞きなれている音が響いた。外の世界に出るまでよく聞いていた音。


 いや、似ているけど少し違う。たぶん。形状と大きさが違う。

 それは銃声だった。

 それで多くの友達が、仲間がその音の元から出る鉛玉で体を貫かれて死んでいた。


 アシュティアは音の大きさに驚いて腰を抜かしているようで聞き慣れていないとわかる。

 そう言えば、研究所の人達は銃なんて外の世界ではありふれていると言っていたな。今までに銃は銃弾の空の薬莢しか見ていない。確かにありふれている物なのかも知れないが今となっては研究所の人達の無責任の戯れ言なのか本当のことなのかどちらでもいい。

 あの頃のように外の世界に憧れていた俺ではない。今の俺は自由に生きようと決めた俺だ。


 回りに意識を集中する。俺達二人以外に息づかい、微かな物音が感じる。全員で8人。

 そしてひどく臭いが漂っている。

 この鼻が曲がるような刺激臭は覚えがある。

 そうだ。アルムが閉じ込められていた洞窟の臭いと似ている。

 その臭いがそこらいろんなところから漂っている。非常に臭い。臭すぎる。

 いろんなところから漂っていると言うことは。


「囲まれている」

「タカシ様!囲まれているって魔物にですか?!」

「違う。たぶん人だ。先程の銃声にこの鼻が曲がる臭い」

「臭いですか?私には何も臭いはしませんが」


 パパパッ

 さっきと違う銃声が聞こえた。


「よう。坊主共、わりぃが俺達と一緒に来てもらえねぇーか?シシッシ」


 木の影から笑っている男達が現れた。


「大人しくしてくれるこちらとも助かるができないのならコイツみたいになっちゃうぜ」


 しゃべっている男の合図に男達の一人が弱った狼の魔物を投げってもう一人が懐から銃を取り出して。


 バァン


「キャイン」

「っと、この魔物のように体に穴が空いちゃいますのでお前達には大人しくしてもらいます」


 男は丁寧に説明してくれた。

 やはりさっきの音は銃声で間違いなかった。昔、研究所の人に銃について自慢を聞かされていたのが今になって役にたった。

 俺が知らないデザインの銃でどのくらい弾倉に入っているか知らないが俺の前には銃なんて豆鉄砲と変わらない。

 何故か知らないが銃を見たアシュティアが大きく見開いて驚いていた。


「それは不老族の遺跡の武器!」

「おっ!貴族の嬢ちゃん、よく知ってるな。そうだ。これは遺跡の隠し部屋にあった武器だぜ」

「何故、あなた達のような人達がそれを持っているのですか?」

「確かに遺跡から出てきた武器は王族貴族共が独占しているし、法律でもギルドや役所に売り払うことになっている。そのほうが金になるからな。だけど俺達は盗賊だ。魔法が使えない俺にはこんな夢のような武器を手放すなんてできねぇ」


 あの銃は遺跡から出てきたものらしい。近代兵器の銃が遺跡から出てくるというのは不思議だった。

 俺の記憶では一番古い銃は数百年前の火縄銃だったと思ったいた。男達が持つ銃は数百年前の物とは思えない。


 男がアシュティアに銃口をむける。

 アシュティアは銃口から鉛玉が出てくることがわかっているらしく向けられた銃口を見て顔を青くしている。

 俺は昔から向けられてたから慣れているし、撃たれてもただの銃弾では俺を傷付けることができない。だから全員が銃を持っていて囲まれていたとしても俺の前では鉛玉が出る豆鉄砲でしかない。

 本当にこの男達は物凄く臭い。発狂思想な程臭すぎる。


「へへっ、不老族は高く売れそうだ。大人しくしてりゃ痛いおもいしないですむぜ」

「兄貴の言うとぉりだぜ。体に穴をあけたくなちゃ言うこと聞け」


 不老族がどういう部族か知らないし、目の前の男達は何やら喚いているが興味ない。ただ臭いが酷い人間なんて関わりたくはない。

 それに距離が近いから臭いがストレートに来ている。

 ちゃんと風呂に入っているのか?と問いたい。シャワーを浴びているか疑問なところだ。


「ダメだ。臭すぎて吐きそう」

「タカシ様!?大丈夫ですか?」

「ここから離れてルルーンの街に早く戻ろう」

「何言ってるんですか?タカシ様はあれが見えないんですか?」

「そうだぜ。クソガキ、これでお前を穴だらけにできる代物だ。スゲーだろ?」

「で?それだけ?」

「はぁ?お前は目の前でファングウルフが穴だらけになるのが見えなかったのか?じゃあ自分の体に味わいやがれ!」


 ドゥゥーーン

 男が引き金を引いて銃口から鉛玉が出てきたが俺には届かなかった。弾丸は途中で止まってクルクルと回転しているだけで前に進まない。


「バカな!お前、何をしやがった。答えろ!」

「何をって、飛んできたからただ止めただけだけど」


 いつも通り念力(サイコキネシツ)で包んで止めただけでそれ以外は何もしていない。

 便利な念力(サイコキネシツ)は有能過ぎる。

 どんなに重くても手に触れずに運べるし、盾代りなる。


 そういえば、便利過ぎるが俺はいつから念力を使っていたのだろう?

 まただ。思い出せない。

 記憶に空白がある感覚が邪魔をして、うまく思い出せない。生まれた時から使えていたのかそれともいつの間にか目覚めていたのか、そこがあやふやでどちらとも心当たりがない。


「お前ら、やっちまえ!」

「「「へ、へい」」」


 男達が一斉に引き金を引くも先程と同様、俺達には届かず宙で止まっている。


「マジかよ」

「バッ、バカな!」


 男達は自分達が撃った弾が止まっているのを信じられないのを見るかのように困惑していた。

 アシュティアも男達と同じような表情をしていた。


「何やってる。ボケッとしてんじゃね。全部撃てー!」

「「へい」」


 男達は弾がなくなるまで撃ちまくり俺達の回りには数えきれない程の弾丸が止まっている。後は俺がただ念じるだけで弾丸は雨のように地面に落ちていく。

 もう弾がないのか男達は追加で撃ってこないので今度は仕返しに男達のリーダーと思われる男を念力(サイコキネシツ)で浮かせる。


「うわっ?!今度はなんだ?」

「兄貴が飛んでる?!」

「聞きたいことがあるのだけど。いいかな?」


 浮かせたリーダーを近くに運んで問いかける。

 もちろん。リーダーは念力(サイコキネシツ)で固定しているので自由に体を動かせない。


「最近、洞窟近くの村に攻撃しなかった?」

「はっ?洞窟?なんのことがさっぱり、下ろせよ。クソガキがいきがりやがって」

「惚けないで質問にちゃんと答えたほうがいいよ」

「そんなことより早く下ろせ」

「ハァー、警告したのに。仕方ないや」


 念力でリーダーの腹部に強めの圧力をかける。


「がああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!」


 リーダーが痛みで顔を歪ませ大声をあげた。オーバーリアクションなのか、これともほんとうに大声をあげるほどいたいのか。確めてみようとしても叫び続けるリーダーを見て興味本意でやるのはやめておこう。

 うるさいから一旦止めて一分ぐらい休ませる。


「ほら、早く答えてよ。洞窟近くの村を襲ったことあるの?」

「ハアァ、ハアァ、俺達は今まで洞窟の近くある村なんて襲ったことがない。本当だ!」

「ほんとに?証明できる?」

「ああぁ。本当だ。しかし証明って言ってもな。あの山のむこうに洞窟を根城している盗賊がいるのは知っているが、ここら辺の村は魔物にやられて壊滅してるから証明なんてできない。そもそも山を越えないと洞窟なんてない」

「へぇー、そうなんだ。君達はアルムの村については何も知らないんだ」


 アルムを誘拐して、アルムの村を焼いた犯人について知りたかったがあまりロクな情報を聞けなかった。コイツらがバラバラな種類の銃を使っていたから少し疑っていたが何も知らないのらしょうがない。

 さっきからリーダーの口と鼻から大量の血が出ているが別に死ぬ量じゃあないからスルー。

 他の男達は青い顔して震えてるのも気にしない。


「じゃあね。俺達はルルーンの街に帰るからこの事は誰にも言うなよ。もし、誰かに話したらわかってるだろうね?」


 ぐったりと倒れたリーダー以外の男達は青い顔をブンブンと縦に振って肯定していたのでこれで終わりにしよう。

 空を見上げると朝日が指していた。

 こうしている間に夜があけてしまった。


「アシュティア、帰ろうか」

「えっ?あ、はい」


 ポカーンとしてたアシュティアをお姫様だっこして念力(サイコキネシツ)で飛び上がる。

 見上げる男達を置いてルルーンの街に帰る。上空から見下ろすと冒険者はまだアシュティアを捜しているようだ。

 アシュティアを送ったらアシュティアの両親から連絡が届くだろうから悪いがこのままにしておこう。


「タカシ様、あの屋敷まで送ってもらえますか?もらえるのでしたらとてもありがたいです」

「あの大きな建物まで?」

「はい、お願いします」


 上目づかいでアシュティアが懇願して、その可愛さに負けてアシュティアの屋敷まで送ることとなった。

 俺達はアシュティアが指したルルーンの街の中で一番大きな屋敷へ向かった。


「ここがフローレイティ家の屋敷です。であそこの窓が私の部屋になります」

「立派なお家だね。こんな家に住んでみたいな」


 アシュティアの屋敷は見る限りルルーンの街の中で一番大きく鮮やかな建物だ。アシュティアの両親はきっと街一番の金持ちか権力者だろう。

 こんな家に住んでいたら掃除だけで一日が終わりそうである。そもそも人を何人も雇って建物の管理をさせればいいのか?


「そうなのですか。私と結婚したらここに住めますよ」

「えっ?」


 結婚!?いきなりそんなこと言われてもどう言い返したら。まず、結婚とは何か。男と女が同じ屋根の下で一生住むとか愛し合うとか、いろいろあるはずだが俺には根本的なことがわからない。


「ふふ。そんなに慌てて面白い人ですね。とりあえず入ってください」


 アシュティアに言われるままアシュティアの部屋に入る。

 中はテディベアみたいなぬいぐるみがいくつも置いてあり、とても女の子らしい部屋で他にベッドとかクローゼットも可愛らしくデザインされているのが置いてある。

 この部屋で暮らしているやっぱりアシュティアはお嬢様だった。

「ムグッ」


 アシュティアがベッドに腰かけたら苦しげな短い声が聞こえた。アシュティアが確かめるように掛け布団を引き剥がすと人が寝ていた。


「あら、フォスったらあれからずっと私のベッドで寝ていたの?」

「お姉様、お帰りなさーい。そしておはよう」


 アシュティアのベッドで寝ていたアシュティアの妹のフォスティアが目を擦りながら起きあがった。


「フォス、お父様はどうでした?」

「すごっく心配してた」

「そうですか。後で謝りに行きましょうか」

「お姉様頑張って」


 両親に心配をかけてしまったことを悔いるアシュティアにフォスティアが励ましている。


「フォスティアお嬢様、朝食の用意が出来ましたので起きてください。あら?アシュティアお嬢様、いつお戻りに」


 そこに鎧姿ではなく地味な服装のルーカが現れた。


「今帰ってきたところなの。タカシ様、招待しといてなんですが、とりあえず着替えたいので、タカシ様は一旦部屋から出てってもらえます」

「招待された覚えがないのだが。その前にこんな立派なお屋敷に俺みたいなのが入っていいのかな」

「何を言うのですか。タカシ様は私達を助けてくださった恩人ですよ。屋敷でゆっくりしてください」

「俺が着ている服を見てよ。こんなにボロボロになって」


 俺が来ている患者服は血で赤グロく汚れ、空気の野郎のせいで袖が無くなっている。今では患者服の面影すら残っていない。

 ゾンビが着ていそうなスタイルだが、俺には傷一つついていない。


「いいではありませんか。私を助けてボロボロになった。格好いいですよ」

「そういうものなのか?」


 外の世界の感性がよくわからない。

 とりあえずアシュティアの部屋から出て待つことにしよう。


「そうそう、ルーカ?あの後はどうなりました?」

「お嬢様と別れた後ですか?バカに言い寄られて、最終的に押し倒されました」

「そうですの?ザトラスも意外と大胆ですね」

「お嬢様!バカに感心しないでください。お父さんが来なかったら本当に危なかったのですよ」

「あらあら、ザトラスは今頃はボコボコにされていそうね」

「暇だな。ていうか俺はミリ達をおいてきたままじゃん。もうこんなことしている場合じゃないけどな。もうミリ達は起きているんだろうな。ん?」

「こっちの部屋に来て」


 俺が部屋から出ていくとアシュティアとルーカが雑談を始めた。特に面白くもないのでぼけーとしていたらフォスティアに裾を引っ張られた。


「どこに連れていくの?」

「部屋」

「それはそうだろうけど」


 ここは屋敷の中なんだから向かっているのは部屋だと検討ついている。俺が知りたいのはなんの部屋かと聞いたんだがアシュティアの妹は口数が少ないようだ。

 研究所の中で口数が少ない奴は多かった。そんな奴は実験を無理矢理させられたせいで自然と口数が減っていたのは印象的だったが

 フォスティアに引かれるまま廊下を進む。


「ここに入って」


 案内された部屋はアシュティアとほとんど変わらない同じような部屋なのに不思議とアシュティアの部屋より少し明るく感じた。

 部屋の中を観察力してみると家具の色が白ぽい物を使っていた。その影響で部屋の中が白く感じたようだ。


 フォスティアが案内したところを見るとここはフォスティアの部屋みたいだ。

 案内されたがいいがフォスティアは何をしたいのか不明でとりあえずフォスティアの部屋に入ってみる。

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