スフィア
調子悪い。
今月の投稿頻度落ちる。
スフィアがいる奴隷商にやってきた。
「ここにスフィアって子がいるの?ここ奴隷商だよね?お兄ちゃん間違っていない?」
「スフィアちゃんは最初奴隷でしたから、故郷で人攫いに攫われてルルーンの街に連れて来られました」
スフィアのことを知らないアルムが奴隷商を前にして疑問を口にする。ミリの方の未来は俺の未来と似たルートを辿っているからな。
「タカシ様の知り合いがここにいると言うことで?」
「そうだよ。説明は面倒だから省くけど向こうは初対面かもしれないな」
「いえ、そういうことではなく。タカシ様の知り合いはなぜ奴隷に?」
「今、ミリが言った通り故郷で人攫いにあって奴隷にされたって感じかな?あ、これからスフィアを盗もうとかじゃないよ?事前に金を準備したわけだし、ちゃんと買うから」
街の騎士であるルーカの前でお店の商品を盗む話はできない。人攫いは普通に犯罪だと思うけど奴隷商側が人攫いから買ったのであればたぶん大丈夫であろう。こうして普通に経営しているからね。この世界、この国の法律については知らないけど俺は法律のグレイゾーンだと思うけど。攫った子を奴隷として売るのは。
「いえ、この店は攫った人を奴隷として売っているのですね。タカシさん達は不老族だからこの国の法律のことはご存じないと思われますが、犯罪奴隷や借金奴隷以外を販売するのは犯罪です。もちろん買うのもです」
マジか。スフィアを買えないじゃん。出直そうか。それとも夜に忍び込んでスフィアを盗むか。
「ですが、これらのことは調べられないと分かりません。上に私の独断で決められません。この話は上司に預けますので、タカシ様達がそのご友人を買うのは目を瞑りましょう」
どうやら見逃してくれるらしい。
やっぱり、攫われた人を売るのも買うのも犯罪なのか。前の世界ではスフィアを盗んだけど、あれは魔物の群れのどさくさに紛れてだったからな。
店側もスフィアを売り物として店に置くのはアウトか。
これを機に店側を脅そうなんて考えていない。提示された金額でスフィアを買う。最初からそのつもりだ。
「タカシさん入りましょう。スフィアちゃんも待ちくたびれていますよ」
ミリに指摘されて俺達は奴隷商に入った。
「これはこれは騎士様。今日は何用で?」
入った途端、禿げた中年のおっさんがルーカに接客をし始めた。
店前で騎士がうろちょろしていれば気になるだろう。客として来ているなら問題ないが、何らかの問題で来たなら店側も気が気でない心境になる。
ルーカは領主に仕えている騎士だ。鎧の胸元についているマークはアシュティアの家、つまり領主のマークだ。
なぜに来たのか特に気になるだろう。
「客は私ではない。客はこの子達だ」
ルーカは俺達を指した。
ギロリと俺達を見た店員は明らかに嫌そうな顔をした。スフィアを売ってくれれば俺達は特に気にしないけど。
俺達みたいな子供が奴隷を買う金を持っているのか疑っているような顔だ。
「失礼しました。何用で?」
ルーカとの対応が明らかに違う。別にいいけど。
「ここにエルフの子供がいるだろう?その子を買いにきた」
「何を言っている!我が店にエルフなどおりません。誰から聞いたか知りませんが何か勘違いでは?」
エルフの子を買いに来たと言ったとたん店員の反応がおかしくなった。ん?と思ったが人攫いから買ったエルフの子供がいるのを騎士であるルーカに知られたくなかったのだろう。
視界で店の中を見たが確かに猿ぐつわを噛ませられたスフィアがいた。檻の中で窓の外の空を眺めていた。
店の奥にいるからすでに売却済みはありえないだろうし、このまま店員が白を切るならスフィアの檻を引っ張り出してもいい。いっそのことそうするか。
「おかしいな確かにこの店にエルフの子がいるはずだが、なら店の中を見せてほしい。俺達が買い求めている子がいるのかを」
「何を根拠に言っているのだ。いくら騎士様の前でも」
俺が店員を煽って、店員が怒り散らす。
その間に念力でスフィアが入っている檻を店主の前に引きずり出した。
スフィアは手足に枷をつけられて口に猿ぐつわを噛ませられていて喋れないようにされている。前はこんなことはされていなかったけどな。
喋れないスフィアはここから出せと目で訴えている。
俺のことを知っているようだから、このスフィアも未来から来たことは間違いない。
「あれれ?店の奥から檻が勝手に出てきたぞ?中に入っているのは女の子みたいだぞ?」
わざとらしく引っ張り出した檻に反応する。店員は声にならない声を上げて驚いている。
俺は店員を無視して檻の中を覗く。
「中にいるのはエルフだ。おっさんはエルフなんかいないって言っていたのにこの子はどう見てもエルフだよね?」
「うむ。これはどう見てもエルフだな。店主?これはどういうことか?これはどう見てもエルフはいないのではないか?」
ルーカも檻の中を覗いて檻の中の人物がエルフなのを確かめてもらった。ルーカは俺の考えを読んだのか話を俺に合わしてくれている。
店員は黙ったままだ。
「この子はスフィアちゃんです。喋れないようにされていますよ。かわいそうです」
「このエルフがスフィアちゃんって子なのね。お兄ちゃんの知り合いって言っていた。本当に奴隷商にいたんだ」
ミリとアルムも檻の中を覗いて反応する。
このまま檻の中に入れていてもスフィアがかわいそうなので外してあげる。
「何!」
スフィアの手足についていた枷や首輪が勝手に外れたのを見て店員が驚きの声を上げる。
ついでに檻の鍵も開けてやった。店員も自分が持っていた鍵束と檻を交互に見ているのが面白かった。
「あれ?勝手に首輪が外れたぞ。檻の扉も一人でに開いた。この際だからスフィア、出てきて俺達にその顔を見せてくれ」
俺はわざとらしい演技にミリやアルムは苦笑い。
のそりと檻から出てきたスフィアは口を開いた。
「遅かったじゃんないの?待ちくたびれちゃったわ。前みたいにまた私を買ってくれるわよね?」
「ああ、そのために来たんだ。詳しい話はお前を買ってからだ。おっさんこの子はいくら?」
「・・・・200万ニヤドです」
店員は諦めたように値段を言い始めた。蚊が鳴くような声で聞き取りにくいほど小さな声だったけど。
魔物の素材をギルドに売ったのほぼ同じ値段、高いが払えない額ではない。
今はあの魔物の素材を売ったことでこうしてスフィアを買うことができたと思おう。
「はい、200万ニヤドだ」
「ま、またのおこしを」
会計を済ませた。
これでスフィアと再会できた。この街で用は済ませたからいつでも街から出発できる準備をしないと。
そういえば、この街にガルダとかいうお節介焼のオジサンがいたはずだからその人やその人にお世話になった三人娘に見つからないとな。前に見つかってクエストに付き合わされたな。そのおかげで不老族の遺跡のことが知れた上に、中に入れたけども。ガルダっていうおっさんは相当ウザかったな。
当分、ギルドに行かなければいい話か。
「この件については領主様に報告しますので覚悟してください」
「ひえ!」
鉄のような冷たい表情をしたルーカは店員と何か話している。
店員の方は絶望的な顔をしているが、俺達には関係ないだろう。攫った子供堂々と売っている、犯罪行為をするような店だし、もう二度とこの店には来ないだろう。
スフィアと合流したし、あとはミリムと合流するだけだ。ミリムはどうしているかな。
酷い目にあってなければいいけど。初めて会った時はいろいろ欠けていた獣人の女の子だったけどあの子も未来から過去に来ているはずだ。
過去に飛ばされた時、俺と一緒にいたから空気の野郎と一緒にいたチビ男がミリムも一緒に過去に送っていることを願おう。
俺の能力をほぼすべて与えたんだ。前のルートにはならないはずだ。
俺にはミリムがいる方向と身体の状態しかわからない。心拍数が急に上がったり、空腹を満たされたりと頭の中に情報がくるがどんな状況にあっているのか分からない。
今は落ち着いているようだ。
ミリ達を引き連れて奴隷商を出た。
☆
奴隷商内。
「なんなんだ。あのガキは。なぜエルフが内にいるなんてどうしてわかったんだ」
タカシが店員と思っていた男はこの奴隷商の店主であり、人攫いや盗賊との顔が利く男であった。そしていろいろ悪どいことを人儲けをして懐を肥やしていた。
一昨日人攫いから買ったエルフを変態に貴族に高値で売ろうとしていた目論見が消え失せて、奴隷商人の人生が終わった。
そこらへんにいる薄汚れた孤児とそうかわらない子供の言葉によって。
奴隷商の店主は足元にあった檻を蹴った。
「痛っ、こんなことをしてても状況がよくなるわけではない
」
檻は鉄製で固くてつま先にジワリと痛みが走る。しかしその痛みにより男の思考を冷静にさせた。
店にエルフがいたことが女騎士にバレたのでここに衛兵が店に来るのが時間の問題だ。店から奴隷を買っていた貴族を頼ろうと思ったが、それは悪手だ。いくら関係があっても平民と貴族だ。これから衛兵に捕まるであろう平民を自らの家に匿うわけない。
店から違法奴隷を買っていた証拠があっても白を切り、知らぬ存ぜんで見捨てられる。この店にある顧客リストや取引した帳簿を見つかってもこれから逃げる自分には知らないことだ。あっちも自分を見捨てるだろうから、こちらも知らない。一番は自分が第一優先だ。
早くこの街から脱出しないと。衛兵に捕まったらきっと犯罪奴隷になるだろう。奴隷に落とされたら今まで悪い事していた自分は自分に恨みのある人間に買われて悲惨な死を遂げる。死ぬのは嫌だ。
生憎自分には家族がいない。独り身は身軽でいいが、頼る相手がいない。
運よく街を脱出しても魔物で襲われて死ぬかもしれないが、ここに残って衛兵に捕まるよりかは微かな希望がある。
「ここに衛兵が来る前に逃げ出さなければ」
「今戻りました。ってオーナー?どうなされました?」
使いを頼んでいた従業員が帰ってきた。この従業員も店でしていた悪事を知っているが、説明している暇がない。こいつには悪いがコイツを囮にして逃げよう。
「ちょっとしたことに出かけてくる。済まないが店の方を頼んだ。例のエルフの件でお客様が来られるから失礼がないように丁重にご対応しろ」
「買い物でしたら自分が行きますが?例のエルフの件でしたらオーナーが直接対応したほうがよろしくないですか?」
「いいんだ。それよりも重要なことをするために私は出かけてくるからな。店のことは頼んだぞ」
「ハア。なんなんだ。今日のオーナーはおかしいな」
その後、この奴隷商は治安を守っている騎士が来たが、店の店長がすでに逃げ出しており、店長が捕まるのも時間の問題と派遣された騎士がそう思ったがすでに街から逃げ出していた。なお、犯罪の証拠が誇りを被ったクッションを叩くように店から出てきた。店に残っていた店員含め関係者は犯罪奴隷となった。
そして。
「私はこれからどうすればいいんだ。しかしあのガキがいなければ、私はルルーンの街から逃げ出せずに済んだんだ」
運よく逃げ出した奴隷商の店長は旅人が使うような街道を使わず、森の中を歩いていた。
森の中は当然、魔物がいる。冒険者ではない店長は魔物とばったり会った場合、高確率で逃げ出す前に食い殺されてしまう。
それなのに店長は逃げ出すルートを森に選んだかというと。ただ、ただバカであっただけで、街道は馬に乗って騎士にすぐに追いつかれて捕まりそうだと考えて森の中へ入ったのである。
プラス、知り合いの盗賊や人攫いの根城のほとんどは森の奥にある洞窟を使っていることを聞いた店長は森から逃げれば逃げ切れると思っている。
森の中を根城にしている盗賊等は複数人で行動してある程度の武装をしているに対して店長は護身用に持ってきた短剣一本と鞄いっぱいの金貨である。
金貨の重みで脂汗を流しながら歩く店長の足はとても遅く、森に住む魔物にとっては簡単に狩れるそうな獲物でしかない。
しかし、冒険者や騎士達が定期的に危険な魔物を狩っているため、本当に運が良くて温厚な魔物しか出会わなかった。
店長が森に入って丁度一日が経過したときのことだった。
足元に深い穴があること気づかずに落ちてしまった。穴の先で右足と腰を強く打って骨折してしまった。
幸い穴の先は魔物巣ではなく、暗くてわからないがどこか人工物と思われる洞窟であった。
店長は足と腰を骨折しているため入った穴から這い上がることができず、仕方なく芋虫のように這って洞窟の奥に進むことにした。
金貨の入った鞄は重すぎて這うことができなかった。「もし金貨の入った鞄が無かったら、穴に落ちても軽症で済んだかもしれないな」と思って捨てた
奥に進んだところで店長は死んだ。死んだ理由は不明。酸欠で死んだのか。穴に落ちた時に頭を打ったから血流が頭に行き届かなくて死んだのか不明。
洞窟の奥には最新の施設があった。




