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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第六章 過去へのリスタート
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過去への切符の再リスタート

ハリポタのゲーム面白すぎる。

「で?どうなんだい?過去に行ってくれるのかい?」

「昨日は少しいろいろあったから急にそんなことを言われても困る。少し考えさせてくれ」

「昨日って君はずっと寝ていたじゃないか。それでも君の頭の中でパーティーでもしていたのかな?洒落た冗談うまいね」


 空気の連れは俺をバカにしたように言う。

 俺を小馬鹿する空気の野郎の連れにイラつきを覚えながらもいったん冷静になって昨日の出来事を思い出す。


 落ち着け。昨日のことだ。昨日は確か、なんちゃって治癒屋の仕事を早めに切り上げて飯を食っていたら貴族の娘の治療しに行った。そのあといろいろあって逃げるように宿に戻ってベッドに入ったのは覚えている。うん。全部覚えている。

 昨日はずっと寝ていたってコイツ、頭大丈夫か?空気の野郎とつるんでいるから頭が沸いているのか。

 昨日のことはちゃんと覚えている。が、何か疑問というか、引っかかりがある。


『なあ、パス。俺はどのくらい寝ていた?』

『はい。ざっと五日ほど寝ていました』

『そうか。ありがとう』


 引っかかりがあってパスに自分がどのくらい寝ていたのかと確認してみたら俺は一週間近く寝ていたらしい。

 俺はそんなにお寝坊さんになった覚えはないが、そんなに寝ていたらミリムも心配するわな。

 複数の能力を使い過ぎてキャパオーバーをしてしまったか。

 俺が寝ている間、ミリムはご飯とかどうしていたのだろうか?金貨5枚ほど持たしているから自分で食べ物を買っていたに違いない。足りなければ俺の荷物を漁って食べていたのだろう。

 ミリム一人に民度の低い街を一人で歩かせるのは気が引けるが、それは俺が寝ている間のことであって一緒に行けなかったのだからしょうがない。

 自衛として念力も少し教えているし、ミリムが治療した街の人もミリムが困ったことが起きれば助けてくれるだろう。チンピラに絡まれていたら助けてくれる冒険者もいるはずだ。


 とタカシは思っているが、本当はミリムは飲まず食わずのまま眠り続けるタカシのそばを離れずに付き添っていた。

 空気達が来たのは四日前にタカシの様子を見に来て、目を覚まさないタカシを見た空気の連れは食料運んでミリムに無理矢理食べさせていた。

 それをタカシは知ることは無った。


「あ、ごめん。君のバーコードと相談しているところ悪いけど、状況が変わったよ。問答無用で過去に送る。空気」

「星の巡りを目撃してきて、背走したか。ならば全知全能を楽園と迷走に向かう世界へ」


 空気の野郎の連れの目つきが変わり、そんなことを言い始めた。


 状況が変わった?過去に送ると言われてもはいそうですかとならない。

 俺はミリムを連れてこの場から逃げ出そうとしたが、気が付けば空気の野郎の目の前にいた。

 空気の能力で空間を捻じ曲げられて引き寄せられた。


 空気の連れの左手が俺のおでこへのびて、手で熱を測るように触られると視界が暗くなった。


 ☆


「これでタカシは過去に行ったと。僕達が好都合と言える時間にタカシを送ったからきっと喜んでくれるはず。それと最後に君だ。君はタカシの劣化版だ。だが、劣化版の君がこの世界でもっとも被験者に近い存在だ。辛い思いをまた体験すると思うけど君も過去に送るよ。タカシにもらった力で抗いなさい。いいね。そうしたらまたタカシと出会えるからね」


 空気の連れの言葉はミリムには届かない。

 ただミリムは崩れ落ちて人形みたいに魂が抜けたタカシの身体にすがりつくことしかできない。

 そしてミリムの頭に空気の連れの手が伸びる。

 空気はタカシが過去に行ったことを確認して宿から去った。


 ☆


 視界が暗くなったと思ったら今度は見たことがある光景を目にした。


「ちょっとタカシ聞いているの?もう外の世界だよ。早く逃げないと研究所に捕まるわよ?」

「おい!周りの奴らがもうほとんどいないぞ!」

「うっそ!外に出てから一分も経っていないのに?」


 俺の目の前にはジュンとアンジェリカが周りにいたはずの被験者がいなくなってきていることに焦っている。俺達の周りには研究所から一緒に逃げてきた被験者達がいる。彼らは研究所の追手から逃れる為にそれぞれ散り散りに逃げていく姿を見て、俺はあの時の空を見て。ああ、本当に過去に来てしまったのだと理解した。

 感覚を研ぎ澄ましてミリやアルム、そしてスフィアの姿を思い浮かべてみると彼女達がいる方向と脳に彼女達の体の状態の情報が脳に流れ込んできて手に取るように分かる。

 過去に来てもなお、未来で手に入れた俺の能力は健在のようだ。いや、もしかしたら空気の連れの能力で能力ごと過去に飛ばしたのかもしれない。

 そんなことは今の俺には興味はなかった。ただ、またミリ達と生きたまま会えることに心の底から嬉しい感情が湧き出てきた。


 それぞれ逃げる被験者の中で一人だけ俺にひらひらと手を振る奴がいた。

 あいつもあの時に一緒に逃げ出してきたのだと気づいた。


 俺は手に持っていた銃をジュンに押し付けてそいつに掴みかかった。

 そういえば銃を奪っていたっけ?


「え?銃?!」

「おい!タカシどうしたって言うんだよ。落ち着け。すり抜けた?」


 アンジェリカのバカ力に一瞬止められたが、空気のやろうの能力を活用して抜け出して手を振るやつの胸倉をつかんだ。

 アンジェリカは俺を抑えつけたと思ったが俺がテレポートを使ったから俺の身体がアンジェリカの腕からすり抜けたように見えただろう。


「やあ、過去にようこそ」

「何がやあ、過去にようこそっだ!急に飛ばしやがって何を考えてやがる。少しは考える時間をくれてもいいだろう!」

「その様子だとそっちのルートの僕は強引だったのかい?」


 俺はそいつに捲し立てるが、そいつはそよ風を受け流したようになんとも気にしていない様子で質問してきた。


「そっちのルートってなんなんだよ」

「ルートはルートなんだけどな。あのさ、タカシ人生は一本道じゃないんだ。それも人生の道は星の数ほどあるんだ。だからタカシが来た未来と僕が来た未来は違うんだよ。タカシがそっちのルートで何を体験したかこの僕はわからないからそう怒らないでほしいな」


 未来は無限大にあるらしく、どうやらこいつは俺とは別の未来から来たようだ。そうだから僕を怒っても困ると言われた。パラレルワールドと言ったところか。

 過去に来てしまったことはしょうがない。


「どうしたって言うのよ。その子がタカシに何かしたのよ?」

「タカシ、何をごちゃごちゃ言っていないで逃げるぞ。他の被験者は全員逃げたぞ」


 この場に残るのは俺達四人しかしなかった。

 こうしている内に時間が無駄に過ぎているのは確かだ。

 そういえばミリと最初に出会った時は、魔物に襲われていた。早く助けに行かないと思うが、脳へ流れ込んでくるミリの情報は息切れもしていなければ、怪我もしてない。まだ襲われていないようだ。

 ミリが襲われるまでまだ少し時間があるようだ。


「もういい、俺は隙にさせてもらうぞ。せっかくお前からもらったチャンスだ。無駄にはしない」


 そいつの胸倉から手を放してこの後のことを考える。アンジェリカとジュンのことだ。

 ここは地球じゃなくて異世界のことだ。ジュンの言葉はどこへ行っても通じない。ヒロ達の国へ行けば被験者がいるらしいから言葉は通じるな。


「アン、ジュン。落ち着いて聞いてほしい。ここは地球じゃない異世界なんだ。だから研究所はないから追手から逃げる必要はない」

「おいおい、タカシ急に暴れだしたと思ったら、次は変な冗談かよ。研究所で頭おかしくしたんじゃないのか?」

「それよりもあの子と何があったのよ?」


 アンジェリカとジュンにここが説明しようとしているが、詳しい説明をする時間がない。いろいろ端折って説明をしなくてはいけないのだが、俺はバカだからうまく説明はできなし、二人に伝わらないかもしれない。


「すまない。俺には説明する時間がないんだ。本当にここは地球じゃない。地球には存在しない魔物が闊歩するし、この世界の人間は魔法を使える。そして被験者達が作った国があるんだ」

「タカシが言っていることが本当だとして、何故にタカシはそれを知っている?」

「そうよ。全部説明して頂戴」

「時間がないって言っているだろう。全部言うのは無理だ。知っている理由はアイツのせいだ」


 俺を過去に送り込んだ張本人を指した。

 そいつは地べたに座り、俺達三人の様子を見ていた。


「アイツの能力は人を過去に送れるらしい。俺もこうしているわけだからな。もしかしたら未来にも遅れるかもしれないが、アイツはアイツの目的があって俺を過去に送った。そういうことだから俺はこの世界のことを知っているんだ。そういうことだから一緒に来ないか?」


 宇宙戦争の話は信じたわけではないから二人にはそこは話さない。

 俺は二人に一緒に行こうと提案してみた。二人の答えは。


「何を言いているんだ。さっき別々で逃げようって言ったじゃないか」

「そうよ。やっとの思いで手に入れた自由なのだからここがどこであろうと自由を満喫させてもらうわ。でもタカシが未来から来たって言うのなら少し未来の話を聞いてあげてもいいわよ?私ってどんな仕事をしていたの?」

「やっぱり答えは変わらないか。わかった。それぞれで逃げよう。じゃあな。俺はしばらくルルーンの街にしばらくいるから何か用事があるなら訪ねてみてくれ。あと、ルルーンの街に住む貴族のフォスティアっていう女の子がいるんだけどその子に地球から来たって言えばご飯とかもらえるかもな」

「ちょっと!私のことは無視なの?私はどんな職業についているのよー!」


 二人と別れた。

 そして空気の連れのそいつはいつの間にかいなくなっていた。


 二人の意見は変わらずでそれぞれで逃げることは変わらなかった。ジュンは数か月後くらいにはまた会えるからな。二人には滞在する街を伝えたし、用があれば来るだろう。

 街の場所が分からなければ、旅人などに聞いてくるだろう。

 ジュン達に軽くこの世界について説明していたら思っていたよりも時間を食ってしまった。

 ミリは大丈夫だろうか。脳へ送り込まれている情報には怪我をしていない。特に異常が見られないのだ。それが逆に俺を不安にさせた。


 ミリがいる場所に到着した。

 その場所はミリが襲われていた森の中ではなく、ミリが住んでいた廃村であった。

 ミリが寝泊まりしていた古びた廃屋に向かう途中で首が無い熊の魔物が倒れていた。これはミリを襲った熊だった。


 誰がこれを殺したのか?魔物が嫌いなミリが倒せるはずがない、ミリの他に誰かいるのか?

 あのときは周囲には誰もいなかった。いや、俺が過去に来たことによって何かが変わったのか?それは可能性があるが、周囲の足跡はミリと思しき小さな足跡しかない。

 この魔物死骸はミリが倒したのか?前はこの熊の魔物に殺されそうになっていたのに?アルムやスフィアはここにいないしな。

 ここでうだうだしてても何も起こらない。ミリに会うしかない。


 俺は古びた廃屋の中に入る。

 中に反応があることからミリはこの中にいるのは確かだ。

 今の時点ではミリと初対面だ。ミリを脅かさないように慎重に廃屋の中を進む。


「誰かいるか?」

「え!?タカシさん?」

「っぐお」


 声を出しながら廃屋に進むとミリの声が聞こえたと思ったら、腹にズドンと衝撃が走った。

 ミリが俺の名前を言った?今の時点では初対面のはずだ。過去に来たはずなのにいろいろとおかしいぞ。


「ミリ!俺が分かるのか?この時点で初対面のはずなのに」

「ええ、わかりますともタカシさん。お久しぶりです。あぁー、本当にタカシさんに会えました。ふふええーん」


 会えたミリは感極まって泣いてしまった。

 俺のことを知っていたミリに対して俺は察した。ミリも空気の連れの能力で未来からきたのだろう。しかもミリが死ななかった未来から。

 俺が来た未来とは別の未来でどんな出来事を経験知らない。それはミリが泣き止んだら話を聞こう。


 いや、ミリも未来から来ていたなんて正直驚いた。空気の連れが言っていた俺の都合の良い過去って言うのはこういうことなのか?ただ過去に言ってやり直すだけじゃなくてミリ達もそれぞれ未来の記憶を持っている状態で過去をやり直すってことか。

 これから起きる宇宙人との戦争の対価としてこの状況を前払いしたのかもな。


「タカシさんすみません。久しぶりに会えたものなので嬉しくてつい。あ!これをどうぞ。タカシさんが来るまで村で使えるものを集めておきました」


 ミリが俺の前にどっさりと麻袋を置いた。

 中身を確認してみると食料(木の実)と金銭とナイフが入っていた。


「ところでミリ?」

「はいなんでしょう?」

「外にあった魔物の死骸はミリがやったの?」

「はい!もちろんです。タカシさんから頂いた力で楽勝でした」


 ミリが元気よく答えてくれた。

 しかも俺からもらった力で!?


「俺からもらった力というのは?」

「そうですね。なんでも切る力と遠くを見る力ですよ?なんでそんなこと聞くのですか?」


 ミリは知っているでしょ?と言った風体で俺を見る。


「いやあな。俺がミリにどんな能力を与えたかなって思ってさ。今の俺と今のミリは別々の未来から来ているからさ」

「そういえばあの方もタカシさんと似たようなことを言っていましたね」

「あの方と言うのは?もしかして過去にミリを来させた男か?」

「そうです。男というより男の子でしたよ。タカシさんと同じくらいの不老族でした」


 ミリを過去に送ったのは間違いなく空気の連れなのだろう。当然だな。

 能力的にレアな部類の能力だし、人を過去に送れる被験者が何人もいたら地球でタイムマシン扱いをされて、地球の歴史がいろいろ改変されていることだろう。一人でもいたらそういった扱いをされていてもおかしくないだろうけど。

 アイツの能力については詳しく知らないから、憶測でしか言えない。まあ、アイツが研究所時代はどんな扱いをされていても俺には関係ないことだ。

 空気のヤロウと友達をしている時点で人間として終わっているがな。


 ミリが能力は視界と切る能力か。

 視界は言わずもがな。切る能力はどれほどの切れ味なのだろう。外の熊の魔物を見る限り、魔物の首を簡単に落とせる程度の切れ味はあるようだ。


 切るイメージで空気のヤロウの顔を思い浮かべて嫌な気持ちになったのを拭うようにミリの頭を優しく撫でる。


「タカシさん待っててください。ご飯もう少しで作り終わるので」

「ご飯作ってくれていたのか?」

「はい!もう少しでタカシさんと再会できると思っていたので、言っても本当にタカシさんと再会できるなんて半信半疑でした。でも心の中では不思議と会えるってなんとなく思ってました」


 ミリは少し悲しそうにな表情をしていた。

 ミリは未来でどんな体験をしてきたかは聞くのは野暮ってものだろう。未来でトラウマになっている出来事を掘りかえしちゃ可哀そうだ。

 俺は地雷を踏みにいかないので定評がある男でいたい。


 ミリが思っていたよりも元気で安心した。後はアルムとスフィアと再会するだけだ。脳にはいってくる二人の身体の情報は少し空腹を感じているだけで特に問題ない。

 問題ないのだが、いや、まさか、二人もミリと同じく能力をもらって過去に来ているのか?


「タカシさーん!ご飯できました。食べましょう」


 ミリが作ってくれた料理は木の実と野草と肉を簡単に炒めた料理だった。

 入っている肉ってさっきの熊の肉なのか?

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