不快な奴らと未来の話
ハリーポッターのゲームって面白いのかな?
いい手を考えていたが、何も浮かばなかった。こんな時に空気のクソ野郎のシラケた顔がふうと浮かびやがって不快な気持ちになった。
こんな時になんであの野郎のことを思い出してやがるんだ。俺は。
いや待てよ。空気の野郎はテレポート装置に便乗して俺をダンジョンに呼び寄せていなかったか?あいつの能力は一体何んだ?
空気の斬撃を飛ばすだけの能力じゃないはずだ。空気をただ操れる能力だけならテレポート装置に干渉できるはずがない。アイツは空間を操作できるんじゃないか。
前にアイツとアズサの復讐を理由に戦った時、アイツは俺に自分の血を飲ませていた。
さらに胸糞悪くなるアイツの血の味を思い出したけど、俺はアイツの能力を使えるんじゃいのか。
あくまで可能性だ。テレポート装置に干渉できたのはアイツの能力じゃないかもしれない。現在、アイツの能力は不明なままなのは確かだ。それと俺は研究所にいた時いろんな被験者の体液を摂取させられていた。その中に空間を操れる能力の被験者の血や体液が混ぜっていた可能性もある。
空間っていう概念の存在が想像できないが、とりあえずやってみる。
失敗したこのおじさんが死んだら確保した立ち去った影を差し出して、ミリムを連れて街から出よう。金はある指名手配されるのは精神的にきついが、他の街でも簡単に稼げてやって行けるだろう。
この部屋から逃げた時点で捕まえている立ち去った影はもう黒だろう。暗殺者で決定だな。
まずはイメージをする。
最初に思い浮かぶのは場所?それとも空気?なんとも説明できない物を想像した。
顔の前に薄い光の靄が現れた。
その光の靄に手を伸ばしてみると光の靄に吸い込まれるように触れた手が消えて、数メートル先の空間からひょっこり手が出てきた。
手をぐーぱぐーぱしてみると数メートル先の手も同じようにぐーぱぐーぱする。あれは俺の手のようだ。光の靄はテレポートの入口のようだ。
空間の操作というかテレポートはできた。
光の靄を消してと。
これが任意の空間にできるかどうかだ。
最初に視界でおじさんの頭の中を覗いて血が溜まっているところに小さいテレポートの入口作り出して血を抜いて傷を治していく。
「終わった。これはきついな。似たような患者はもうやらないぞ。こっちの頭が壊れる」
おじさんの頭の怪我を治したのはいいが、複数の能力を同時に並行して使用するのは流石の俺もきつい。脳みそが爆発するかと思ったほどだ。
「はい」
ミリムが心配そうにハンカチを差し出してきた。おじさんの血で手が汚れたから拭けと言っているかと思ったが、俺は鼻血を出していた。
服の裾で拭かないで、ミリムの親切を無下にすることなく、そのハンカチで鼻血を拭う。
ミリムには能力を同時に使わせないようにしよう。俺の場合は実験で体が慣れているかもしれないから鼻血で済んだが、なんの訓練もしてないミリムがやったら本当に脳が爆発する恐れがあるからだ。
すこし眠りたい。早く宿に戻って寝よう。
今思ったが、先に暗殺者を怪しい人間を捕まえたとか適当に言って差し出しておけばよかった。念力やめた分余裕ができていたから鼻血を出してミリムを心配させる必要もなかったかもな。
悪い事をしてしまった。
後は。
「団長さん。これをそっちでどうにかしてくれ」
念力で捕まえていた暗殺者を部屋に連れ戻した。
「こいつは?」
「屋敷から逃げようとしていたから捕まえといた。後はそっちで好きにしてくれ。俺達は疲れたから帰らせてもらうぞ。ミリム行くよ」
「はい」
俺とミリムは宿へ帰った。
あー、とても気分が悪い。こんなのは初めてだ。複数の能力を使うものじゃないなとは思っていたが、ここまでひどくなるとは思わなかった。やめることはできたが、やめなったのは自分の判断で自業自得だな。
ほんとにマヌケな話だ。
宿への帰り道ミリムが心配しないように平常を装っていたが、全身から変な汗があふれ出る。
足が震えて目が霞む。
『パス何かあったら頼む』
歩いてやっと宿に帰ってすぐにベッドへダイブした。
パスに俺が寝ている間のこと頼んで俺は限界だったようで長い眠りについた。
とても懐かしい夢を見た。
それは俺がこの世界に来た日、ミリと出会った時の夢だ。
あの時の俺は初めて見た星空に興奮し、浮かれていた。魔物に襲われているミリと出会い一緒に旅に出ることになった。その後にアルムと出会ってベスをペットにして空気の野郎に負けた。
近くの街に訪れてアシュティア達と出会って魔物の群れを一掃してスフィアが仲間に加わった。
この世界に来てからの記憶が走馬灯に流れてくる。これは走馬灯ってやつなのか。
俺もここまでか。もうすぐミリやアルムの下へ行けるのか。心残りなのはサイボーグ少女のところに残してきたスフィアや幼いミリムが気がかりだ。
俺が死んだらスフィアは人質として機能しないから殺されるかな、それとも保護をしたのだからあのままサイボーグ少女達の下で幸せに暮らせるのかな。
あと、ミリムは俺が死んだらどうするのだろう。元奴隷だから奴隷商にもとに戻るのかな。いいや。ダンジョンの街で治癒屋として食っていけるのか。
まだ幼いから悪い大人に騙されないといいけど。
ああ、心配だ。二人を残して死ぬわけにはいかない。けどどうやって死を免れるのか?そもそも俺はただ、自分の記憶を見ているだけで本当に死ぬのだろうか。
走馬灯を見ているだけで死ぬことは確定じゃないと思う。
「おきて、おきて」
どこから今にも泣きそうな声が聞こえる。
誰だろう。聞いたことがあるような声だ。
「ご主人さまお願いだからおきて。死んじゃ、やだ」
俺をご主人さまと呼ぶ人物に心あたりはないのだが、聞いたことがある声だ。
本当に誰だ?聞いたことがあるのに思い出せない。
お腹の上に何かが乗っている。
手を動かして腹に乗っている物に触れてみる。
サラサラで絹のようにきめ細やかな肌触りとほんのり暖かい。そしてフニフニとした柔らかい物がある。
前に触れたことがある。確かミリの猫耳と感触が似ている。
ということはミリなのか。
やっぱり俺は死んでミリがお迎えに来てくれたのか。
「ミ、ミリか?」
「ご!ご主人さま、はい。ミリムです!」
ミリム?ああ、間違えた。ミリムも獣人だから猫耳を持っていたな。
ミリムの頭に手を置いて数秒後に優しく撫でる。
あれ?ミリムってこんなに喋る子だっけ。昨日までは「はい」しか言わなかったのに。何か彼女の心境の変化が起きたのかな。
「もう朝か」
いつもならミリムが起きる前に目が覚めて、ミリムの頭を撫でていたのにな。昨日はあんなことがあって大変だったからしょうがない。自分のキャパシティーを大きく超えて無茶をしたから熟睡してしまった。
今日は休むともともと決めていたから昼過ぎまで寝ていてもそっとしてほしい。
目を開けると窓から光が差し込んでいた。
そしてミリムの声がする方に視線を向けると潤んだ瞳をしたミリムが俺の手を掴んでいた。
いかにもすごい心配していたと語っているようだ。
しかし、昼近くまで寝ていただけなのにミリムはなんでそんなに心配しているのだろうか。
せっかくの休みなんだから俺と一緒に寝てればいいのに。あ、でもどこかに行くって言ったっけ俺?どこかに行くって約束を忘れてそれで俺はいつまでも寝ているから起こしても起きないから心配したのかな?
どこかに行く約束をしたっけな?寝起きだから思い出せない。
昨日の疲れが残っているからもう少し寝たいが、どこかに行く約束をしたのなら起きるしかないか。
身体を起こして寝ぼけた眼で部屋を見ると部屋の中には俺とミリムのほかに二人いた。
一人は空気のクソ野郎だ。せっかくの休みなのに会いたくない奴の顔を見てしまった。休みの日なのに嫌な気分になったぜ。寝直していいか?
もう一人は俺と同じくらいの背丈の男がいた。
どっかで見たことがあるが思い出せない。空気のクソ野郎とつるんでいるんだ。ろくな奴じゃないだろう。初対面ならあっちから自己紹介してくるだろうしな。
「もうそろそろいいかな?タカシ久しぶりだね」
「お前は誰だ?」
空気の野郎の連れは俺のことは知っているようだ。見たことはあるのだが、やっぱり思い出せない。
「ああ、そういえばこっちのルートはあんまり接点が無かったな。ごめんな。研究所時代ではあったことがあるんだけどね。でも前に君が記憶を無くしているのは別のルートの君が言っていたな」
「別のルート?なんのことを言っているんだ?空気のバカみたいに適当なことを言っているのなら今すぐ空気のクソと一緒に窓から飛ばすぞ」
「ひどいこと言われているよ。空気。君の嫌われたもんだね。タカシも案外酷いことを言うね。あ、でも君と一緒に扱われるのは僕も嫌だな。支離滅裂な空気みたいに頭のネジが飛んだことは言っていないつもりなんだけどな」
相手に言いたいことが伝っていないから空気と同類なんだよ。そんなことはどうでもいいから早く帰ってくれないかな?空気がいるだけで不快だから二人まとめて窓から投げちゃおうか。
そう考えていると俺の右腕が宙を舞った。ベッドや壁、床、ミリムが赤く汚れた。
「きゃあああーーーー!」
「急になにすんだよ。空気のゴミ野郎、痛いじゃないか。しかもさ、ここは宿だ。いろいろ血で汚れただろう。まったくよぅ。クリーリング代は払ってもらうぞ。それかお前の首でも落としていくか?それだとさらに汚れるな。お前が死んで幽霊になって付きまとわれたらごめんだ。財布含めて着ている服を取って捨てるか」
空気のバカくず野郎が俺の腕を切り落としたのだ。それで床や壁が血で汚れてしまった。余計なことをしやがって、俺の腕が切り落とされたからミリムが怯えちゃったじゃないか。腕は能力で簡単に治せるけどミリムの精神的ダメージを与えった空気の野郎を一発シバきたい。しかも壁についた血をどうやって落とせって言うんだ。誰が掃除すると思って、って宿の人だけど掃除代を請求させられるぞ。
金は有り余っているから払えるけど、空気の野郎の尻拭いの為に金を払うなんて納得いかないな。
空気の野郎も金は持っているはずだから払ってもらおう。
「戯言を。盟約を果たしに来た」
「盟約?そんなの知らん。さっさと帰りやがれ」
俺は空気のゴミくず野郎と何か契約していたか。していないな。そんなことした覚えはないし、また空気の野郎の妄言か何かだろう。一週間前に空気の野郎が来たけど言っていることも意味不明であんまり聞いていなかった。きっとどうでもいい事なのだろう。
「あれ?空気から聞いていないの?今の君が泣いて喜ぶ提案を一週間前に空気に伝言を頼んだのだけど、聞いていないかな?」
「俺が泣いて喜ぶ提案?空気の野郎が?ウザすぎる冗談はやめろ。一発殴るぞ」
空気の野郎が俺に足して提案するのは自分の為だ。それで俺が喜ぶはずがない。
「空気ちゃんと説明しなちゃダメだよ」
「案を伝え、時を与えた。悲しみを乗り越える一つの手段として」
「もう何を言っているのか分からないけど。いつもの空気語で言ったんだね。それじゃ伝わらないよ」
何なんだ?このふざけた奴らは?うるさいから早く出ていけっつーの。
念力で切り落とされた腕を拾い切られた部分につけて治療する。切り落とされた腕をグーパしてちゃんとつながっているか確認する。
そういえば腹減ったな。空気達が帰ってくれないならミリムを連れてどこか飯にでも食いに行くか。
「ねぇ?ちゃんと聞いている?」
「聞いていない。あほの空気の連れの話をまともに聞いていたら頭が空気みたいになる」
「君は相変わらず酷いな。いろいろ端折って最初から言うよ。僕の能力は意識と記憶を未来と過去に送れて、君の意識を過去に送ろうって話だよ」
「過去に送ることなんてできるのか?」
過去に行ければまたミリとアルムに会える。今度は死なせないようにしてあげないと。
これが俺が泣いて喜ぶ提案か。確かに涙が出てきそうな気分だぜ。
そうならそうと早く言ってほしい。過去に戻れるというのなら言うなら今すぐやってほしい。
「そうだよ。数十年後に起きる戦争を止めるためにそのルートに戦力を集めているんだよ。僕達は」
「戦争?」
「そう戦争。そしてすごく大きな戦争だよ。僕達被験者が手に負えない規模のね」
「いやいや待てくれよ。被験者達の能力を使えば戦争の一つや二つ簡単に止めらるだろう?戦争原因を取り除くとかさあ」
戦争は人同士で争うから戦争ということでやり合っている両国のトップを殺せば収まると思う。食料が不足しているなら被験者の能力で作物を急速に成長させて補えばいい。そういった感じで戦争の原因っていうヤツを消さば無くなる。
しかし、被験者の能力を駆使しても止めることができない戦争なんてどういった戦争なんだ。核兵器でドンパチやるわけじゃないだろう。
こんなファンタジーチックな世界でミサイルが飛び交うはずがないな。開発できるわけじゃないし。あ、サイボーグ少女がミニミサイルを飛ばしていた気がする。被験者の国で開発されてそうだな。
「数十年後に起きる戦争は本当にスケールがデカいんだよ。タカシみたいな能力者をかき集めて行かないと僕達がいる銀河系が滅ろんで本当にヤバいのさ。タカシの存在は保険のようなものだけどさ」
銀河系が滅ぶ?それはファンタジーじゃなくてSFものの映画みたいな展開じゃないか。スケールがデカいというと国同士、人間同士の戦争じゃないのか。他の星から侵略者が来て侵略されるのか?
「戦争の相手が気になるようだね。数百の惑星の連合だよ。しかもあっちの方の技術力はこっちと比べて三段階上の惑星が何個かと来た。こっちは五つの惑星の寄せ集め。こっちに神様みたいな力を持った被験者がいても勝てるはずがない」
俺達は宇宙戦争を始めようとしているのか。ファンタジーの世界に来たとばかりに思っていたが、剣と魔法のファンタジーの皮を被ったSFの世界だった。スケールがデカすぎるだろう。
いや、コイツが俺をからかう為に嘘をついているかもしれない。まあ、俺はまたミリとアルムと再会できればそれでいい。
宇宙戦争が始まろうが関係ないか。ミリ達と幸せに暮らせればいい。
「五つの惑星?」
「それは質問かな?僕達がいる太陽系は凄くでかくてね。二十個以上の惑星があるんだけど生命が暮らしているのが五個しかないんだ。五個の惑星が同じ軌道と同じ速さで太陽の周りをくるくる回っているんだ。僕達はそれの連合ってわけ。こっちの人達はほかの惑星を魔界とか天界とか読んでるけどね」
ファンタジーやSFの設定がごちゃごちゃに混ざっていてよくわからなくなってきたな。
要するにこの世界は魔界と天界とかはお隣の惑星で宇宙船に乗って行けるってことか?
これは冗談じゃなくて本当なのか?
俺は嘘を吐かれているのではないのか?
SFをすり入れていく。




