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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第五章 ザ・バッドエンド
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ダンジョンを出たら何をしたらいい?

もう少しでポケモンの新作が発売されるな。みんなは予約したかな?

自分はもうすでに予約したぞ。ただ買ったのはいいが、数時間遊んで全クリしないで放置するようになってしまった。大人になってから長時間ゲームができなくなったぞ。



少し残念な気持ちになった。

 助けた女の人は気絶してしまったらしい。このまま放置するにもさっきみたいな虫が来たら食われてしまうだろう。

 あの虫以外にも魔物はいると思うし、女の人が目覚めるまで待つとしよう。

 そして出口まで道案内をさせよう。鉄じゃない素材で作られているとても固そうな鎧には紋章がないから見たところ普通の冒険者のようだし、俺みたいに誰かに連れてこられたわけではないだろう。ここから地上へ出る道を知っている可能性が高い。

 これでイカレ空気の野郎に頼らなくて済む。

 これであいつとはおさらばだ。


 女の人の身体の外傷はすべて治療して、体内の損傷もない。状態は良好で少し経てば目覚めるだろう。


「光食らいに食われる!あれ?なんともない?生きている?私生きてるー!!空が緑だ。そうだ私ダンジョンに潜って!」


 女の人は勢いよく起き上がり、自身の無事を確認して生の喜びを叫び始めた。視界で周囲を探索していた俺は女の人の叫びに少し驚いた。

 本当に下半身を魔物に食べられていたから気絶する前のあれは信じきれなくて何か悪い夢と思いたくなるだろう。今は食べられていた足はちゃんとあるわけだし、自分より大きな虫に食べられるのは恐怖でしかないから夢だと信じているだろう。


「目覚めたか、うお!」

「おお!人がいた!君が私を助けてくれたんだね。ありがとう!!って私下履いてない!この服って君のなの?」


 女の人は俺に気づいていきなり抱き着いてきて熱烈に感謝の言葉を言われた。

 女の人は自分がズボンを履いていないことにも気づいた。魔物に足を食われている時にズボンと下着をビリビリに破かれて柔肌が晒されていたので、目のやり場に困った俺はジャージの上着を巻いてあげた。若々しい太ももがちらちら見えるが、股間部分が隠れているのでないよりかはマシだろう。

 今の俺の上半身は麻布でできたT-シャツ姿だ。


 女の人はテンションが高くて少し調子が狂う。目覚めてくれたのなら地上へ案内を頼めそうだ。


「目覚めたのなら頼みたいことがある」

「なになに?命の恩人の頼みならなんでも聞いてあげちゃう。あ、でも性的なお願いはダメだよ?」

「セクハラじゃない。地上までの道案内を頼みたいんだ」


 女の人に道案内を頼んでみた。その返答は。


「そんなことでいいの?助けてやったんだから金をよこせーとか抱かせろって言うのかと思ったんだけど。こういうのは定番じゃない」

「まあ、金銭面では困っていないし、そうことはわからない上にこちとらここがどこだか知らずに連れてこられた身でね。地下なのはわかっているのだけど地上に行き方が分からないくて困っていたところだ。」

「いいけど、名前は?ちなみに私はニーレって言うの。可愛い名前でしょ?」

「自己紹介がまだだった。タカシだ。よろしく」

「私の名前可愛いのスルーなの?」


 お互いに少し遅れた自己紹介をして、お互いの状況を説明しあった。

 俺が治療した女の人はニーレと言うらしい。ニーレは二十歳前後ぐらいで髪は赤みがかった黄色のおっとりした胸が少し寂しそうな女の人だ。

 こういうテンションが高い人は扱い方が分からんから困る。

 ニーレから聞いた話だとここがダンジョンという特殊な場所というのが分かった。ダンジョンはマンガとかに出てくる不思議な迷路のような物って感じだったけどここはどう見ても洞窟にしか見えない。地上からこの広い空間までの間は結構入り組んでいるからダンジョンの部類に入っているからダンジョンと呼ばれるのだろう。それにニーレの説明では地上では見られない植物に魔物や宝があるみたいなことを言っていた。


 俺は空気のバカ野郎に不老族の国から訳も分からず連れてこられたことをニーレに包み隠さず説明した。

 そしてニーレは怪我をした仲間を逃がす為に自分が魔物の囮になって今に至るといった感じだ。

 お互いの現在状況という名の情報交換をした。


「その空気って子はどうしたの?」

「そこら辺にいるんじゃないか?あいつは自力で地上に戻れそうだからあいつのことなんかほっといて俺は地上に戻りたいんだ。だから地上までの案内を頼む」

「案内はいいんだけど、私の装備がめちゃくちゃだし、そっちもそんな装備でよくここまで来られたねってここに連れて来られたって言ったね。その空気って子と合流した方がいいんじゃないかな?友達なんでしょ?心配じゃない?」

「装備に関しては大丈夫だ。問題ない。それに空気の野郎は友達ではない。ただの顔見知りってだけでそれも問題ない」

「そうなんだ。問題ないんだ。でも向こうは友達って思っているかもよ」


 空気の野郎はその能力で自力で地上に戻れる手段があるほっといても大丈夫だろうから正直どうでもいい。友達とも思ってないしな。あっちが俺のことを友達と思っているとしてもあっちが一方的にそう思っているだけで俺には関係ない。


「あと私からもお願いごとがあるんだけどいい?」

「お願いって何?」

「この魔物の死骸、光食らいの死骸を持ち帰りたい。すっごく手ごわい魔物で討伐報酬も出るし、死骸からとれる素材も高く売れるのよ。このまま放置しておくには一人の冒険者として勿体ないって思うわ」

「ほー、こんなゴミムシみたいな魔物が高く売れるのか」


 すぐに迎えが来ると思うけどいつ来るかわからん。それまでの暮らしていくためには金が必要だ。物価情報も皆無なわけだしな。

 ここがダンジョンなのはわかったけど手持ちの金貨三枚しかポケットに入ってなかったからここでその金貨が使えるかわからないからな。

 金はありすぎても困るわけじゃないから売れる物は売るか。ニーレの案内料と見積もって半分くらいでいいか。


「わかった。それを持ち帰ろう」

「ありがとう。それに今日は運はいいな。光食らいに襲われたけどほぼ無傷だったしって。あれ?昨日のお腹の傷がなくなっている?それに昔転んでできた膝の傷跡も消えている」

「そんなことはどうでもいい。戻ってからでもできるだろう。早く案内をしてくれ」

「そうだった。ごめんね」


 ニーレの傷を俺の能力で治したことは説明がめんどくさかったので省いていたからニーレは身体中の古傷がなくなっていることに驚いていたが、俺は説明がめんどくさいし、省いたのに今更説明するのもどうかなって思って、屈んで自身の膝を確認しているニーレを案内させるため急かした。


「待って、持っていく素材はどうするの?こんな大きなあ物死骸は持っていくことできないでしょ?私のカバンからナイフ取り出して解体するから少し待って」

「ここで解体はしなくていいこうやって運べるから」


 ニーレが魔物を解体するために自分が背負っていた鞄の中をガサゴソと愛用のナイフを探しているが、その必要はないとパスの念力で魔物死骸を浮かべる。

 頭と胴と腹が分かれているから『バラバラで持ち運びにくいです』とパスが文句を一つこぼしていた。器用に念力でコントロールして浮かしている。


「こうやって運べば楽でいいだろう?」

「うわー。不老族ってすごいね。光食らいも簡単に倒しちゃうし、大きな魔物も魔法で運べちゃうなんてね」


 あたかも自分で浮かせているように言っているが、パスにやらせているだけなんだが。それに念力は魔法ではないのだけど。それで不老族は凄い魔法を使える勘違いは後で訂正させてよう。


 ガサガサと草が揺れる音が聞こえた。どうやら魔物死臭や魔物が出したフェルモンとかを感知して他の魔物が来たみたいだ。

 視界で見ているが俺達の回りに集まりつつある。魔物は全部で五体。先ほど倒した魔物と同種の個体やカマキリとバッタを合体させたみたいな、どれも黒い魔物がこちらに向かってくる。どの個体も人間サイズだ。まだ距離はあるが、人間サイズの巨体で地球の虫と同じ速さで移動できるなら数分でここに来るな。

 さっきまで見つけられなったのにどこで隠れていたのか不思議だ。ここがダンジョンだからか?一定数移動したら魔物が沸いてでるゲームみたいな感じなのか。それともどこかに隠れていたのか?


「来たみたいだ」

「え?何が。もしかして空気っていう子?」

「違う。魔物だ!全部で五体。大方、魔物の死臭で寄ってきたみたいだ」

「やばいよ。五体って多すぎるよ。このままじゃ私も、タカシも魔物の餌になっちゃうよ」


 人間サイズの魔物が五体だけ近づいただけで慌てることか?慌てるなら言わないまま魔物ども八つ裂きにした方がよかったのか?来ている魔物は動きは速いようだが、ただ速いだけで直進しか進めないみたいだから念力ですぐに捕まえられる。

 ただの雑魚だけど、ニーレの言う通り少し数が多い。それぞれ別方向から来ているから念力で一匹一匹駆除するしかない。一掃するのは少し大変そうだ。


「黙って見てて。俺一人で片づけるから」


 デモンストレーションと行きますか。

 一体目は一分も経たずにカマキリとバッタが混ぜったような虫が俺達の前に現れたので腹と胴体に念力で千切り殺した。次は二匹目と三匹目が二匹同時に来たので念力で遠くに飛ばしてした。飛ばしたのはすぐに四匹目が俺達の真後ろに現れるからその対処に間に合わないと判断したからである。四匹目は俺の二つ名の代名詞である腰につけていた剣を念力で弾丸のように飛ばして四匹目の頭部に刺す。引き抜いて首を切り落とした。倒れていく魔物が絶命するのを確認して次に来る魔物を視界でとらえる。


「最後は、あれ?」


 最後の一匹は俺達の前で見えない斬撃が飛んできて、最後の一匹の魔物を二つにスパンと縦に切っていった。

 空気の野郎の斬撃だった。

 奴は離れた場所で魔物と派手に戦っているみたいで飛んできた斬撃はきっと奴の流れ弾に違いない。あいつの回りが斬撃で植物が切り倒されて、地面を削って地形が変形していた。

 なんて危なくて迷惑な奴だ。斬撃の直線上に人がいたら魔物みたいに真っ二つになっていたぞ。


「え?今何が起こったの?」


 今まで慌てていたニーレが俺が魔物どもを瞬殺する光景をポカーンって言った感じで眺めていた。ほんとに鳩が豆鉄砲を食ったように傍観してただただ目の前の光景が信じられないようだ。


「案内を頼む」

「え?はい。案内って言っても地上に戻れることができればいいでしょ?」

「そう。早くこんな暗いところからおさらばしたい」


 今のダンジョン内は俺が生成した光で照らされて眩しいくらい明るいけど、ここは洞窟内特有のジメーとした匂いとカビ臭さがあって早く出たい。それにキモい虫の魔物もいるみたいだしさ。


「転移石を使うね。これ借り物なんだけど借りるだけでもすっごい高いやつなんだよ」

「転移石?」


 転移というとテレポート装置の石バージョンみたいな感じかな?ここから出られるなら出る方法はなんでもいいけど。

 借りるだけで料金が発生しているって、それってレンタル料が発生しているってことはゲームや漫画でもそうだったようにダンジョンを運営している機関がそれを貸し出しているのか。


「そう、これを使うとダンジョンの入口まで一気に戻れるの!発動する時に時間がかかるのが難点なんだけどね」

「そんな便利なものがあるならなぜ使わないのかい?」

「魔物に襲われていてそれどころじゃなかったし、魔物と一緒にダンジョンの入口に戻ったら罰金を食らうんだよ。その罰金が払えないと奴隷に落とされるんだよ」


 ダンジョンの入口に魔物が現れたらパニックになるし、その魔物を倒す為にその場にいた冒険者の仕事が増えるから迷惑になるんだろうな。

 今は周りに魔物がいなくて存分に使えるのだろう。


「ニーレの仲間達はどうする?」

「あっちも転移石を持っているからきっと大丈夫だよ。リーダーから死にそうなときは罰金のことは考えずに使えって言われているしね。離れ離れになった時もダンジョンの入口で落ち合うことになっているからきっと大丈夫」


 命あっての物種だから罰金が怖くて死んじゃいましたってなったら笑えないだろうしな。転移石の存在を忘れていたニーレは死にかけていたが、それとこれとは話は別なのか。


「それも持ち帰るんだよね」


 ニーレが今ほど倒した魔物の死骸を指した。

 これも金に変わるならもちろん持ち帰るつもりだ。テレポート装置の石バージョンで帰れるなら楽だろう。


「持ち帰れるなら全部持ち帰りたいと思っているが、その転移石のどのくらい転移できるんだ?」

 転移石でどのくらい持っていけるのか気になったので聞いてみた。


「うーんとね。タカシを中心にこのくらいにある物なら転移できるよ」


 ニーレは俺から三メートルほど離れてそういった。頑張れば倒した魔物は全部持っていけそうだ。


「早速頼む」

「じゃあ行くよ」


 ニーレは懐から金属質のルービックキューブみたいなのを取り出して小さなボタンを押して起動させた。

 それは石と言うには機械的で青く点滅している。近未来のおもちゃみたいな見た目をしている。石ころにはとても見えない。


「タカシ早く、転移が始まるよ。私の回りに魔物の死骸を寄せて、近くに寄って」

「わかった」


 起動してから三分ほどで青い光が強くなり、ニーレの周囲の空間がグニャリと歪み始めた。俺は急いでニーレの回りに魔物死骸を寄せてニーレから三メートル以内に入り、転移を待つ。

 青い光は時間が経つほどに強くなってきて三メートルの外が気持ち悪いほどに歪んでいる。


「あと少しで入口に着くよ。本当に運がいいな。本当ならダンジョンは暗いから光に魔物達が群がってなかなか転移ができないんだけど今日は明るいから魔物達は転移の光に集まってこないしからすんなり転移できそう」


 魔物が光に集まるって虫の習性みたいなもんか?夜に蛾とかが電灯に集まってくるみたいな感じなのだろう。普段のダンジョン内は暗いから転移の青い光に魔物達が誘われて集まってくるのだろう。今日は俺がダンジョンの内を明るくしているから青い光が目立たなくなっているから魔物が集まってこないのだろう。


 五分ぐらい経過したぐらいから青い光が収束し始めて、俺達は森みたいな洞窟内から洞窟内を削ったような広間へ視界が変わり、足元はゴツゴツした地面から半径三メートルの円状のテレポート装置みたいなパネルの上に立っていた。

 時々、ファンタジーな世界観の中にSFが混じっているな。この世界は。

 俺達の回りには冒険者がわんさかいてここがさっきとは別の場所に来たのだと実感する。


「入口だ!みんなもういるかな?あ、先に素材を売却しないとね。タカシ、ついてきてこっちがギルドの買取場だから、うわっ!」


 ニーレに手を引かれ、ギルドの買取場へと案内されようとしたら俺達の前の目の前の空間に亀裂が入った。


 危ないところだった。また入るところだった。てかこれ空気の野郎の仕業じゃねーか。またなにか、あの野郎は俺に来てもらいたいのか。だがな、思う道理になるとは思うなよ。今度は落ちないぞ。


「タカシ見てあれ」


 ニーレが空間の亀裂を指した。

 そこからニュルっと魔物胴体が吐き出された。しかも四体も。そしてひょっこりと空気の野郎が亀裂から出てきた。

 俺が思った通り自力で持ってこれましたよこいつはよ。


「全知全能、贄を富へと変える台へ向かう」


 いつも通り意味わからないことを言って魔物の死骸の頭を両手で鷲掴みして広間から出ていった。二体ほど魔物の死骸を残して。


 もしかしてアイツ残りを持ってこいって言っているのかよ。なんて自分勝手な奴なんだ。


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