玲の恩返し
玲にとうとう・・・
ここは一刀と同じ新星である葵が暮らす蜀の近くにある森
この森にて
月「詠ちゃん、いい天気だね♪ 」
詠「そうだね月♪ 」
蜀にて給仕を勤める月と詠がピクニックに来ていた。
月「やっぱり空気がおいしいね♪ 」
詠「うんうんっ!!(ボクは月と一緒にいるだけで嬉しいよ♪) 」
月「でもみんなが仕事で忙しそうだし、それに私達だけで来て大丈夫かな? 」
実は護衛を誰一人として連れてこなかったりする。
詠「月がいつもみんなのために働いてくれているご褒美だって桃香も言ってたじゃん、それに蜀付近の賊は愛紗達が討伐してるから大丈夫だって、いるとしても猪か熊くらいだよ(それにボクも月と二人っきりを満喫したいしね♪) 」
月「そうだよね 」
と二人は安心していたが、こういう話をしていると
熊「グオォーッ!! 」
詠「出たーっ!? 」
月「へぅ〜っ!? 」
案の定、熊が出てくるのがお約束であった。
詠「月、しっかりボクの手を握って離さないでね!? 」
月「うんっ!? 」
ガシッ!
月の手をつかんだ詠は
詠「どりゃーっ!! 」
ドビュンッ!!
いつもより数倍早い速さでその場から駆け出していった!
人はピンチに陥ると信じられない力が出せるという。これを『火事場の馬鹿力』という。
詠「のんきに解説すんなっ!!♯ 」
※ちなみに熊の目の前で全力疾走すると逆に追いかけてくるので真似しないでください。
しばらくして
詠「ハァハァ…!?もう走れない!?でもどうやら熊は撒いたようだし、よかったね月♪ 」
スッ!
そして詠は月の方を見ると
パッ!
そこに月の姿はなかった。
詠「な〜んだ。月がいないじゃない♪・・・ってえぇーっ!? 」
少し遅れて驚く詠
詠「月!?月!?どこにいるのよ月ーっ!? 」
ひょいっ! ひょいっ!
詠は辺りにある石の下や木の葉の裏を見てみるが当然そんなところにいるはずがなく、完全にはぐれてしまった。
そしてその頃、月はというと
月「へぅ〜!? 」
木に引っ掛かっていた。
実は詠に引っ張られている時、服(葵考案のメイド服)が木に引っ掛かってしまい取り残されてしまったのだ。
ドサッ!
何とか木から降りられた月だが
クワッ!!
森は一目違えば悪く見えるような景色ばかりであった。(例として木の穴が目に見えたり、積み重なっている岩が怪物に見えたりなど)
月「へぅ〜!?怖いです〜!? 」
怖がりな月には一層森が怪物に見えていたりする。
すると
ガササッ!
いきなり茂みが揺れ出した。
月「へぅっ!?まさかさっきの熊ですか!?それとも詠ちゃん? 」
恐る恐る茂みを覗こうとする月
そして現れたのは
バサッ!
賊頭「見ーつけた! 」
月「へぅっ!? 」
熊でも詠でもなく、現れたのは賊であった。
賊頭「鬼の関羽や忍者とやらに追い込まれてこの森に隠れていたが、まさかこんなかわいこちゃんに出会うなんてな♪おいっ野郎共、捕まえろ! 」
賊頭が言うと
ガササッ!!
賊達『へいっ!! 』
どこに隠れていたのやら、無数の賊が現れた。
月「へぅっ!? 」
サッ!
慌てて逃げようとする月だが
賊頭「逃がすもんかよ! 」
ドンッ!!
賊頭は月を木に押し付けた!
その時!
ドッシーンッ!!☆ミ
賊頭「がはっ!? 」
バタリッ!!
木の上から何かが落ちてきて賊頭に命中し、倒れる賊頭
落ちてきたものは
玲「いてて…!?人がせっかく木の上で昼寝してたってのに何なんだよ!? 」
一刀と同じ新星である土門玲であった。
賊達は玲を見ると
賊「この野郎!よくも賊頭に激突しやがったな! 」
賊「男のくせに桃色の髪した変人め! 」
カチンッ!
賊頭「いたた…よくも俺にぶつかりやがったなオカマ野郎! 」
ブチンッ!!
この時、玲の中で何かがキレた。
玲「テメェら、覚悟しな♯ 」
賊頭「は?何を言いやが… 」
玲「くたばりやがれーっ!!♯ 」
ドガバキンッ!!☆ミ
賊達『ぎゃーっ!? 』
怒りの玲を前に、ぶっ飛ばされる賊達
しばらくして
ババンッ!!
賊達が山のように積み重ねられると
玲「地獄で後悔しろってんだ! 」
無傷で勝利する玲であった。
とそこへ
月「あ…あのぅ!? 」
玲「んっ?俺に何か用か嬢ちゃん? 」
月「た…助けてくれてありがとうございます! 」
玲にお礼を言う月
玲「よ…よせやい!?俺は別にお礼を言われるようなことは!?/// 」
と言いながら玲が照れると
月「それにしてもこの人達(賊達)ってひどい人ですよね、女の子を男扱いするだなんて 」
と月が言うと
玲「へっ!?嬢ちゃん、今さっき何て言った!? 」
月「えっ?女の子を男扱いするだなんてと 」
ともう一度月が玲に言った瞬間
玲「うぅ…うおーんっ!! 」
月「へぅっ!? 」
いきなり泣き出す玲
その理由は…
玲「お…俺を一目で女だってわかったのは嬢ちゃんくらいだから嬉しくて泣いてるんだよーっ!! 」
玲は正真正銘の女なのだが、一人称が俺。そして胸が貧乳なため男として見られた経験が多い。
父の道場の門下生からは若旦那と呼ばれ、学校では更衣室に入っただけで騒がれ(制服も男物)、源治からは完全に男扱いされ、幼少時、幼い一刀にさえ黒髪だったこともあり男扱いされたのだった。
それを一目で女だとわかった月に出会えたのは余程感激であった。
月「あのぅ、そんなことより助けてくれたお礼をさせてください 」
と月が言うと玲は涙を拭いて
玲「だから俺はお礼をされるようなことは… 」
断ろうとする玲だが
ぐぅぅーーっ!!
玲「…/// 」
この時、玲の腹の虫が盛大に鳴り響いた。
玲「ちくしょう、一昨日から何も食べてないから腹減っちまったぜ!? 」
勢いでそのまま倒れそうな玲に
月「あのぅ、私の持ってきたお弁当がありますからどうぞ食べてください 」
スッ!
月がバスケットを差し出すと
玲「マジか!?んじゃ、いただくとするぜ! 」
さっきまでお礼を受け取らないと言っていた玲だが結局、お礼を受けとることになった。
玲「そうだ!おい牡丹、メシだぞ! 」
月「牡丹? 」
玲は自分が落ちてきた木に向かって叫ぶと
ドッシーンッ!!
牡丹『お腹空いたわよ〜!? 』
月「へぅ!? 」
木から玲の相棒である忍猪の牡丹(♀)が落ちてきた。
しばらくして
玲「ぷはっ!うまかったぜ嬢ちゃん 」
牡丹『まともな飯は一週間ぶりだね 』
満足した二人
玲「そういえば嬢ちゃんの名前を聞いてなかったな、俺は土門玲ってんだ 」
月「私の名は月といいます 」
本来なら董卓なのだがすでに董卓は死んだことになっており真名を名前にするようにしたので間違いではない
玲「嬢ちゃんは何でこの森にいるんだ? 」
月「実は友人と一緒に来たんですけどはぐれてしまいまして 」
玲「なるほどな、ならその友人の匂いがついた何か持ってるか?持ってたら俺が探してやるよ 」
月「本当ですか!?ならこの手拭き(ハンカチ)があります 」
スッ!
そして月がハンカチを出すと
玲「牡丹、匂いで友人を探してここに連れてきてくれ 」
牡丹『了解よ! 』
くんくんっ!
牡丹はハンカチの匂いを嗅ぐ
猪の親戚である豚がトリュフを嗅ぎ付けるように忍猪である牡丹も普通の豚や犬以上の嗅覚をもっているのだ。
ドドォーーッ!!
そして牡丹が走り出した後
玲「そういや嬢ちゃん、あんたはどこの国から来たんだ?ちなみに俺は信じるかわからねえけど別の世界からやって来たんだよ 」
月「(別の世界、確か葵さんもそのようなことを)信じますよ 」
玲「マジかよ!?嬢ちゃんいい奴だな!さぞかし良いところの出身なんだろうよ 」
と玲が言うと
月「確かに一時は良いところにいました。でも張譲さんに嵌められて悪人にされて国を追い出されたんです。でもある人(一刀)が私を助けてくれて、今の城にいることができましたから私は幸せです… 」
とここで月が玲の方を見ると
玲「うぅ…うおーん!! 」
またも泣き出す玲
玲「ひっく!嬢ちゃんは辛い目に遭いまくってたんだな、俺も嬢ちゃんを助けた人ってのに会ってみたいぜ 」
※玲はその人物が一刀だということを知りません
玲「実はな嬢ちゃん、俺にも会いたい奴がいるんだよ 」
月「どんな人ですか? 」
玲「まぁ一言でいうなら、強くてたくましくて優しい奴だな。そして俺の目標はそいつに会って、そいつを倒して、そして告白することだ!/// 」
ちなみにその人物とは一刀である。
すると
玲「よし決めた!俺は今日から嬢ちゃんの従者になる! 」
月「えっ!? 」
玲「さっきの飯だけじゃ俺の気がすまねえ、だから俺を嬢ちゃんの従者にしてくれ!頼む! 」
ガバッ!!
土下座して月に頼み込む玲
月「へぅ!?土下座なんてやめてください!?…わかりました。ですが従者ではなく友達ということならいいですよ 」
玲「ホントか!?ありがとよ嬢ちゃん、いや、月! 」
ガシッ!
頭をあげて月の手を握る玲
するとそこへ
詠「このーっ!月に何してるのよーっ!!♯ 」
ドカッ!!☆ミ
玲「がはっ!? 」
バタッ!!
いきなり詠が現れて玲に飛び蹴りを食らわした。
詠「へんな猪が現れて案内されたかと思ったらまさかへんな男が月と手を握っていたなんてね 」
カチンッ!!
玲「誰が男だ!テメェ、ぶっ殺してやるぜ!!♯ 」
男と呼ばれたことに怒る玲
詠「何よ!やる気なの!! 」
対して詠も玲に敵意を向ける
ケンカが始まりそうになったその時!
月「二人共、やめてくださいーっ!!♯詠ちゃん、この人は女の子なんだよ!玲さん、主君命令です。やめてください!! 」
詠・玲『うっ!? 』
普段は大人しい月がいきなり怒鳴って二人を静めるのだった。
そしてこの後、城に帰った月達は桃香に玲を城に入れることを許可され、はれて蜀の一員となった玲であった。(その時に葵と再会)




