真の最強は係員!?
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勝負は終わったが、マッスルさんは倒れたままだった。おっと、負けた相手も、粒子になって消えるわけじゃないのか。・・・そりゃそうか。そうしないと、現地人が本当に死んじゃうしな。なるほど、よく出来てるな。
倒れていたマッスルさんが起き上がった。仲間になりたそうには見てないけどな。ボコボコにされて友情が芽生えるなんて俺的に考えたらただのドMだ。
ん?勝負が終わった後は何をするかって?そりゃあ、これしかないでしょ。
俺とマッスルさんは、互いに歩み寄り、手を重ねた。そう、握手だ。スポーツだって試合が始まる前、終わった後に握手をするだろ?
始まる前は「共に頑張ろう」「良い戦いをしようぜ!」。終わった後は互いの健闘を讃え合い、「よかったな」「またやろうぜ!」と言ったように。握手とは素晴らしいものなり。
「ふむ、完敗であった。今度戦う事があれば、借りを返させてもらうとしよう」
「ああ、楽しみにしているよ」
うっわ、ちょっとカッコつけすぎたかもしれない。そもそも普段こんな話し方じゃないし。本当に今度戦うのなら、もっと強くなっている事だろう。俺ももっと強くなっておかないと。
そうして、俺はこの場から立ち去るために、マッスルさん・・・マッスルに背を向けた。その時、
「それでは観客として、残りの大会は見守らせてもらうとしよう。負けた我が言う事ではないかもしれないが、応援しておこう。頑張ってくれ」
俺はその声を後ろに聞きながら、片腕を上げる事で、返事とした。・・・マッスルって一人称が我なのか。
☆☆☆☆☆
それから暫くの間控え室で待っていると、またお呼び出しがあった。どうやらまた試合が始まるようだ。誰が勝ち残っているかは分からない。でも、ローラや冥途みたいな、知り合いが勝ち残っていると嬉しいな。
そして俺はまた再び通路にいる。また周りを見渡してみる。顔を赤くしてこちらを見ていたあの係員は居ないようだ。ふぅ、ホッとした。見た目が嫌いとか、そういうわけじゃないんだが、なんというか…危険を感じたんだ。分かるかな?
「どうしましたか?」
・・・・・・・・・・ぎゃあぁぁぁァァァァァァ!!!!出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
なんでなんでなんでなんでなんでなんで??さっきまでいなかったじゃねぇかよ!神出鬼没すぎるだろ!?
「な、なんでもないですよ」
そう言うと、彼はこちらをジト目で見てくる。
「本当ですか?」
なんでこいつこんなに鋭いんだよ!うわっ、手を繋ごうとするんじゃねぇ!
「試合があるんで失礼します!」
なんか敬語っぽくなってるけど、仕方ない。人間、未知の恐怖には弱いのものだ。
そして、俺は再びこの場から逃げるのだった。・・・情けないな、俺。一回戦は勝ったのに、ただの係員から逃げるなんて。
☆☆☆☆☆
「第二回戦が始まろうとしています!バトルロワイヤルでは三千人以上が参加していましたが、そこから更に厳選され、三十人。そこに二人のこの世界の住人を含めた三十二人でトーナメントが進んでいましたが、二回戦では更に少ない十六人です!きっと更なる燃える戦いが観られることでしょう!何しろ一回戦を突破したメンバーのみがこの場に立つのですからね!・・・おっと!西コーナーから誰か来たようです!」
おっと、ヤツアシさん滅茶苦茶喋ってんな。水を得た魚みたいになってるな。
因みに、西コーナーからやって来たのは、俺だ。俺が毎回先に入場するのは、あの係員のせいだ。ちくしょう。
「彼はシルバー!一回戦では、見事な回避を魅せてくれました!この戦いでは、如何なる戦いになるのか。目が離せない事間違い無いでしょう!」
結構魅せてくれるなんて言われると、嬉しいな。俺は今顔が緩むのを必死に抑え込んでる感じだ。がんばれ、俺の表情筋!
「そんな彼の二つ名は、銀の守護者です!かっこいい!」
うおおおお、本気で耐えるんだ、俺。かっこいいなんて言われてニヤニヤしてたら、完全に可哀想な奴になってしまう。公開処刑だぞ、耐えろおおお!は、早く話題よ変わってくれ!
そんな願いに応えたのか、俺がいるコーナーとは反対側の東コーナーに、人影が現れた。た、助かった〜。
そこから現れたのは、双剣を携えた剣士だった。ん?見た目というか、なんというか、俺たちのような次元人、プレイヤーでは無さそうだ。という事は、恐らく・・・
「おお!東コーナーから現れたのは、ロジャーだ!」
ロジャーか。なんかどっかの海賊王を彷彿とさせる名前だな。前に金っぽい名前を付ければ完璧だ。
「彼は今回のトーナメントにおける二人の枠、つまりこの世界の住人として、参加してもらっている。因みにもう一人も勝ち残っているぞ!」
想像通り現地人だった訳だが、ちょっと舐めてたな。いや、物理的な方じゃなくて。
正直言って、人数を綺麗に分けるための数合わせ的な感じだと思ってた。それなのに、現実はこれだ。思ってたよりも強い。
流石に勝てない相手を用意するような運営じゃ無いはずだ。なんとか勝ち目を見つけないといけないな。
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係員は最初普通の人の予定だったんですよ。それが、気づいたらこんな事に…
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