私もそれは聞きたいですね
というわけで、簡単な魔法を習うことになった。
「よろしくお願いしまーす」
「……先ほどの魔法が、カリーナさんの最弱の攻撃魔法なんですか?」
「ん? うーん。最弱の攻撃手段というか……私、空間魔法が得意なんで。ディア君、ちょっと私に魔法撃ってくれる?」
「はい。……風よ切り裂け、エアカッター」
ぱしゅん、と飛んできた風の刃を空間魔法で収納する。
「!?」
「こうやって収納した魔法を放つ、とかすれば一応もっと弱い攻撃魔法は使えなくもないですかね? ほい」
「!?!?」
収納空間から魔法を的に向けて放つと、イズ先生の眼鏡がまたズリ落ちた。
付き添いのラクト先生も頭に手を当てていた。
「……あの、カリーナさん? その、どれほど……魔力をどれほど持っているんですか……?」
「さぁ?」
「あ、カリーナさんの魔力は計測不能でしたよ。計測魔道具の光で目が潰れるかと思いました。っていうか潰れました」
「ラクト先生、おめめ大丈夫でしたの!?」
「それで治してもらって、ついでに視力も治ったんですよ」
「あなたがラクト先生の眼鏡を不要にしたんですか!? なんてことを! 治療自体はありがとうございますがなんということを!!!」
おっと、イズ先生は眼鏡過激勢だったのか。
「あ、じゃあ元の視力に戻しますか……」
「いえいえ、とんでもない。本を読むのに目が疲れにくいのは大事ですし、先日イズ先生に選んでもらった伊達眼鏡が使えなくなってしまいますから」
「あらあら。イズ先生?」
「な、なんですの? そのニヤニヤした笑みをやめなさい!?」
なんだぁ、ちゃんと手を進めてるんですね! うふふ。良き良き。
「ディーアソルト様も眼鏡が似合いそうですわね」
「……つけませんからね、フレアタルト」
「ディア君も眼鏡が似合いそうなのは完全に同意するよ。見たいね」
「……分かりました手配しておきますね」
ダメだよディア君、婚約者をないがしろにしちゃあ。ね?
あ、フレッタちゃんの眼鏡もお揃いで用意しようね! 大丈夫、お金ならあるから!
「それにしても視力の回復だなんて……カリーナさん、治癒魔法も使えるんですか」
「空間魔法のちょっとした応用で治しました」
「……あの、そもそも空間魔法とは……? 何属性の魔法なんでしょうか?」
「え、空間魔法をご存じない? 魔法学校の先生なのに?」
「ら、ラクト先生?」
イズ先生がラクト先生に助けを求める視線を投げる。
「……時空魔法は無属性に相当しますが、人類の使える魔法ではないですからね。ああいや、カリーナさんを除いて、でしょうか? カリーナさん、その魔法はどのように習得しましたか?」
「私もそれは聞きたいですね」
「あー……」
言っちゃっていいかなぁ。まぁ、先生に隠すことでもないけど。
……折角だしちょっと情報料っ貰っちゃおうかな!
「ちょっとこれを知るためには条件がありまして。イズ先生。耳を拝借しても良いですか?」
「はい?」
「……はむ」
「ひゃああああ!? やややや、か、カリーナさん何してるんです!? やめっ」
「ふみまへん、これ条件の一つでひて……らまって。んー。良いお味……」
「っ……、くっ、ぅ!」
ラクト先生の前でエルフ耳をしゃぶられて、いい具合に羞恥を煽れている……フフフ。いいぞ、さらに、さらにだ!
「ぷはっ。それじゃあイズ先生、靴下をください。今履いているヤツを、今ここで脱いで」
「え!? なんで!?」
「あ。すみません。少し違いました。ラクト先生に脱がしてもらってください」
「……!?!?!?」
顔をボフンと真っ赤にするイズ先生。
戸惑いと恥じらい。
「さぁ、ラクト先生にイズ先生からお願いしてください?」
「!!!!???!?!?」
困惑と忌避と知識欲と恋心のせめぎ合い。
うわぁ可愛い。可愛いぞこれは。
恋する乙女ってこんな可愛いのか……神様の気持ちが少しわかるね!
「カリーナさん? あまりイズ先生をからかわないであげてください」
「あ、すみませんラクト先生。これガチなんで……必要なことなんです」
「せ、せめて新品に替えてからっ! それならいいですから!」
「それだと意味ないんですよねぇ……まぁ、私は別にいいんですよ。話さなければいいだけなんで」
そして先ほどしゃぶった耳元でささやく。
「でも、ラクト先生は知りたいんじゃないですかねぇ……? こんな特別な魔法の出どころ……!」
「ぐぅっ!」
「あー、イズ先生? 私は別にいいですから。知らなくても」
「わ、分かりましたわ! ラクト先生、私の靴下を脱がせてくださいまし!!」
「その言葉が聞きたかった……! というわけで、どうぞ脱がせてあげてくださいラクト先生!」
「……はぁ。ちゃんと教えてあげてくださいよ? イズ先生、足上げてください。靴、脱がしますね」
「は、はいぃぃ……」
と、ラクト先生が跪いてイズ先生の足から靴を脱がす。
「ラクト先生。イズ先生の靴下のニオイはどうです? ちょっとそこ重要なポイントなんですよね」
「カリーナさん!? カリーナさん!! 勘弁してくださいまし!?」
「……まぁその、特に感想は無いです」
「~~~~~ッ!!!」
わぁ、イズ先生顔真っ赤。素敵ー!
「……脱がしましたよ。これで良いので?」
「両方お願いしますね。あ、これ代わりの新品の靴下です、履かせてあげてください」
「随分と用意周到だ。からかうために用意した、というわけではないようだ」
「まぁガチですからね……」
脱がした足に、スッと靴下を履かせるラクト先生。もう片方もお願いしまーす。
あ、靴下はこちらで回収するんで。はい。それが一番重要なポイントなんでね。ええ。
「……ディーアソルト様。私達、何を見せられているんでしょう?」
「見なくても良いと思いますよ?」
いやいや是非見て羞恥心を煽ってくれたまへ。
「……もうお嫁にいけませんわ……ッ」
「いやいや、そんなことないですからね、靴下履き替えさせただけですからね?……ですよね??」
「そうですね、責任をとってラクト先生にお嫁に貰ってもらうか、ラクト先生をお婿さんに貰うかですね」
「えっ」
「えっ♡」
ラクト先生から靴下を受け取った。よし、貢ぎ物ゲットぉ!
「……ディーアソルト様。私達、何を見せられたんでしょう?」
「見なくても良かったと思いますよ?」
そこ! ディア君は少しは私の事情知ってるでしょ!?
「私だってやりたくてやってるわけじゃないんだからねっ!?」
「え?」
「そうは見えませんでしたわね」
そりゃちょっと楽しんでたのは否定しないけどぉ!!
「まあ試練を突破したイズ先生に、空間魔法習得の経緯を教えますね」
「……聞きます」
耳を寄せてきた。もう一度耳をしゃぶりたくなったけどディア君に今言った発言の手前、我慢しておく。
「実は神様に習得させられた魔法なんですよ」
「……はい? あの、冗談は――」
「この魔法で錬金王国は滅びました」
「――えっ?」
「神様が私の身体で空間魔法を使いまくりまして……ここだけの話、神様は恋人を侮辱されるのがお嫌いなようで……その名前を勝手に名乗っていた自称混沌神を始末するために習得させられ、その余波で錬金王国が滅びました」
「――えっ」
「もう一度言います。滅ぼしました。空間魔法だけで」
「……ぇぇ……」
「信じる信じないはお任せしますが、まぁしないとは思いますが、命が惜しくば混沌神の名前を名乗ることはしてはいけません。神様から刺客を送られたくなければ……ね?」
「ふぇ……」
おっと、脅し過ぎたかな……イズ先生が泣いちゃったので、今日は解散! はい、おしまいおしまい!
ラクト先生にだけ教えて良いからね、イズ先生!
(そろそろコミカライズの3巻出るぞー!
コミカライズオリキャラのサクラちゃんがメスガキ可愛いのでおススメです。
ニコニコ漫画の方でもいっぱいコメントしていってね!!
https://manga.nicovideo.jp/comic/70890
4巻5巻と出せるようにいっぱい買ってね!!)








