これはぜひとも個人授業をお願いしたい
フレッタちゃん正妻の余裕。色々アレな私がディア君の側室になってもいいそうな。
「い、いや、ならないよ? ならないけどね?」
「ああ、なりますわねコレは。あ、それとも正妻狙い? うーん、おススメしませんわ。私と争うことになりますし、そもそも側室や愛妾の方が色々楽ですわよ? 外交とかしなくていいし」
「確かにそっちの方がいいけど……ならないからね!?」
「カリーナさんに側室になる許可は差し上げますわ! お礼を言ってもよろしくてよ!」
「……う、うん。ありがと?」
というわけで、なんか側室になる許可をもらって、私達は教室に戻った。
のだが、教室がなにやら騒がしい。も、もしやディア君の奪い合いが発生しているのでは!? そう思いつつ慌てて教室に入ると、そこに居たのは眼鏡の美人エルフだった。
「え、ではあなたはカリーナさんではないの? 言われてみれば確かにエルフですけど、ウチの生徒にあなたのような美少女はいませんでしたが?」
「えぇと、ボクはなんというか……」
ディア君に美人エルフが絡んでいる。クラスメイトらしからぬ大人の女性で、スーツが似合っている。
制服じゃないという事は教師だろうが、逆に制服を着せて「うわキツ」とか言って辱めたい美人教師だ。でも普通に似合うんだろうな制服も。
教室のざわめきは「誰か教えてやれよ」「いや無理。俺もまだ信じられてないもん」「つーかイズ先生が俺らの話聞くと思う?」「あー」という感じの雑談だった。
「あ。戻ってきましたよ?」
「あら! 人族ですわ、ということはあなたが転入生のカリーナさんですわね?」
「あ、はい。そうです私がカリーナちゃんです」
ニッコリと笑顔を向けてくる美人眼鏡エルフ。
「私はイズミカネ。Aクラスの担任ですわ。イズ先生と呼んでくださいまし」
「ほう……これはぜひとも個人授業をお願いしたい先生ですね」
「え? あ、ええ、よろしくてよ? やる気と才能のある生徒は大歓迎ですわ」
「え、いいの? ヤル気満々ですよ。じゃあちょっくら今から保健室にいきましょう」
「んん? なぜ保健室???」
あ、OKなのは普通の意味での個人授業ね。そりゃそうだね。普通に先生だもんね。
「むしろ優秀だとラクト先生に言わしめたカリーナさんを、ウチのクラスで魔法を教えてあげる予定でスカウトにきましたのよ」
「あ、それは別にいいです。授業はディア君と受けるんで」
「……私のスカウトですわよ!? ま、まぁ個人授業だけでもいいですわ。今日の放課後Aクラスにいらっしゃい。では」
そう言って、ニッコニコでイズ先生は教室を出ていった。
あ、しまった。迂闊な発言により個人授業を受ける事が決定してしまったぞ。
「あの、お姉さん?」
「ちょっと。カリーナさん?」
おぅ。ディア君とフレッタちゃんのダブルジト目だ。
さすがにこれから授業まだあるのに保健室へ誘うのは良くなかったよね! 反省!
* * *
イズ先生のお陰で気を取り直して落ち着いた気持ちで午後の授業を受けられる。助かった。
といっても内容はちんぷんかんぷんである。魔法理論? まぁ属性の相互優劣関係とかは分かるけど。
せめて空間魔法の話ならもっとしっかり分かったんだろうけど、さすがに一切説明になかった。
「えー、アサルトベルトのクワッド相互理論に基づいたペペルポイの法則について……」
うん、分からん。一切分からん。
なんかそのペペルポイの法則ってのを理解してると効率よく強い魔法が使えるらしいんだが、謎過ぎる。
「ディア君ディア君。これどういう意味なの?」
「……えっと。四つの基本属性を正順に連続発動することで理論上は永久に強化されていく、けれど実際は魔力量による上限があるっていう話ですね」
アサルトベルトさんが考えた話らしい。ふーん。ディア君の解説助かる。
「カリーナさん。実は減衰側でも同じ理論がありますのよ。ポポルペイの法則と言いまして……」
「へー? 勉強になるなぁ」
フレッタちゃんの解説も助かる。尚、私を挟んでディア君と反対側にフレッタちゃんが席を移動してきていた。
ディア君の反対側は窓だからだろうけど、いいんだろうか? まぁ私は一向に構わん。可愛い子に挟まれデレてしまうよ。
と、大体そんな感じに二人とイチャイチャしながら授業を受けて本日最後の授業が終了。放課後になった。
ラクト先生がこちらにやってきた。
「カリーナ君、イズ先生に個人授業を頼んだそうですね?」
「あ、いやその、ラクト先生の授業が不満ってワケじゃないですよ? ちょっと美女が好きで美女教師の個人授業ってものに興味があるだけで」
「……ああうん、別にそこは良いので。あー、そのですね。イズ先生は元々私の教え子だったんです、その、せめて手心というものをお願いしようかと思いまして。悪い子じゃないんですが、多少口が悪いといいますか……悪気はあるかもしれませんが、悪い子ではないんです。ホントに。ええ」
なにその犯罪者のお母さんが「あの子は本当はいい子なの」と庇うようなヤツ。
というかラクト先生は私のことなんだと思ってるんだよ。いくら私でも同意なく手は出さないよ?
「そうですね、心配なのでボクもついていきます」
「ディア君?」
「あ。それでは私もご一緒しますわ」
「フレッタちゃん?」
「お二人が付いて行ってくれるなら安心……でもないですね。私もついていきましょう」
「ラクト先生まで?」
私ってそんなにやらかすと思われてるの!? 心外だよぅ!?








