11 運命を超える力
俺はステラに浮遊魔法をかけて空中に浮かび上がらせた。
「【治癒・自動継続】」
一定時間、連続でかかる治癒魔法を彼女に施しておく。
これで両手が自由になった。
俺は魔王剣と魔力剣を構え、神に向かっていった。
ざしゅっ、ざしゅっ!
今度は、二撃。
神の体を斬り裂いた。
「馬鹿な! 未来を見通せる我が、なぜかわせぬ――」
「お前が見通した未来を――運命そのものを、俺が改変した」
さらに剣を振るう。
「ぐあっ……」
神の左腕が斬り飛ばされた。
運命を超越せし者。
仰々しいその二つ名は――つまり、運命に抗う力だ。
神が規定した『運命』に抵抗し、これと違う未来を現出する力。
神に対抗し、
神に対峙し、
神を――、
「打ち破る力だぁぁぁぁぁぁぁっ!」
俺の剣が神の首を斬り飛ばす。
「ぐっ……!」
頭部だけで空中に浮かび上がった神が俺をにらんだ。
さあ、これで終わりだ――。
俺が持つ魔王剣と魔力剣がそれぞれ黒い輝きに包まれる。
「ここから先は――お前には干渉できない。いや、させない。お前が作る運命は、俺が断ち切る!」
繰り出した二刀が奴の頭部を切り裂いた。
「ぐっ……うう……」
光の粒子となって、神の頭部が弾け散った。
いったん散っていった粒子の一部が、ふたたび集まって人の姿を作り出す。
ライルの姿を。
「はあ、はあ、はあ……」
だが、先ほどまでの神気はまったく感じなかった。
ライルと違い、神の方はもはやどこにも存在しない。
消滅した光の粒子の大部分が、神そのものだったということか。
奴は完全に存在が消えたか、あるいは力のほとんどを失ったはず。
「ライル……!」
だから、ここに残っているのは、かつての愛弟子――ライル・ライアードのみ。
「さあ、決着のときだ」
「……師匠」
ライルが俺を見つめた。
かつて奴と対峙したとき、俺は奴に『永遠に続く激痛』の呪いを与えた。
だが今、ライルが苦痛に苛まれている様子はない。
それは、奴が神と融合したときに『拒絶』によって消し飛んだらしい。
「僕を……どうする気ですか、師匠」
ライルが俺をにらむ。
「今度こそ殺しますか? それとも、またあの痛みを僕に……」
俺はとっさに言葉を返せない。
「――なんてな! あんたを許すわけないだろ! 僕の人生はあんたのせいで滅茶苦茶になったんだ!」
ライルが炎の奇跡兵装レーヴァテインを手に突っこんでくる。
その刀身が真紅の火炎をまとった。
「無駄だ」
俺は極小の魔力障壁で刃と火炎をブロック。
カウンターで拳を叩きこんだ。
「が……はっ……」
苦鳴とともに崩れ落ちるライル。
「もう諦めろ。前に戦ったときは、魔王剣の欠片がお前に味方をした。だけど、今はもうそれもない。お前が俺に勝てる可能性はゼロだ」
俺はかつての弟子を見下ろし、告げた。
【読んでくださった方へのお願い】
面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!
評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!








