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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第14章 新たな神話へ

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10 拒絶に、抗う

「私の……未来視では、もう……あなたの力には……せめて、こうして――盾に……」


 ごぼっ、と血を吐きながら、ステラがうめく。


「なんで、こんな……」


 俺は呆然と立ち尽くした。


「あなただけでも……生きて……フリード……さ……ま……」


 ステラの瞳から光が失われていく。


 彼女の命が、急速に抜け落ちていくのが分かる。


「我が剣に込められた力――『拒絶』によって、その女から『生きること』を拒絶させた」


 神が冷然と告げる。


「治癒魔法や医療などで救うことはできん。その女はもう助からん」

「ステラぁっ!」


 俺はありったけの魔力を注ぎこみ、治癒魔法を発動した。


 治癒魔法が効かない、なんて言われても、他に試すものがない。


 ボウッ……。


 彼女の全身が緑色の光に包まれる。


 俺はもともと攻撃魔法の方が得意で、治癒魔法は苦手な部類に入る。


 こういう時、オリヴィエがいたら――。


「オリヴィエ! いるか! こっちに来てくれ!」


 叫んだ。


 が、返事はない。


 彼女はジュダの指揮の元、『光の王』の部隊と戦闘中のはずだ。

 その乱戦の中で、即座にこっちまで来るのは無理だろう。


 彼女を呼びに行っている間に、ステラは死ぬ――。


 なら、俺がこの場で彼女を治すしかない!

 そう考えて、引き続き魔力を注ぎ、治癒魔法を連続で発動する。


「――ふん、我に背を向け、部下の治療か」


 神に、無防備に背を向けていることに気づくが、今はどうだってよかった。


 ステラの命を救うことが最優先だ。


 だけど――。

 ステラの顔から血の気が引き、すでに瞳から光が失われていた。


 駄目だ、もう死んでしまう……。


 目の前がグルグルと回る。


 嫌だ。

 失いたくない。


 彼女を。

 愛おしい存在を。


「そろそろいいか? 殺す順番が変わったが――」


 神が剣を振り上げる。


「次は貴様だ」

「――お前が」


 俺は振り返った。


「お前がぁぁぁぁぁぁっ!」


 絶叫とともに魔王剣を振るう。




 ざしゅっ……!




 俺の剣が、奴の右腕を斬り飛ばした。


「ぐっ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」


 神が絶叫した。


「ここまで追い詰められなきゃ力を出せないなんてな……」

 俺はうめいた。


 半ば呆然と。

 半ば安堵感で。


 ステラの顔に、血の気が少しだけ戻っている。


 治癒魔法の効果が出始めたか。


「何……っ!?」


 神が驚いた顔をする。


「我が『拒絶』の効果が薄れていく……」

「おかげでステラを治癒できる……これだけの重傷だと、すぐには目覚めないだろうが……」


 俺は神をにらんだ。


「お前の『拒絶』を、俺の力で『超越』した」

「超越……!? まさか、貴様は……」


 神が愕然とした顔でうめいた。


「貴様の力は――」

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