10 拒絶に、抗う
「私の……未来視では、もう……あなたの力には……せめて、こうして――盾に……」
ごぼっ、と血を吐きながら、ステラがうめく。
「なんで、こんな……」
俺は呆然と立ち尽くした。
「あなただけでも……生きて……フリード……さ……ま……」
ステラの瞳から光が失われていく。
彼女の命が、急速に抜け落ちていくのが分かる。
「我が剣に込められた力――『拒絶』によって、その女から『生きること』を拒絶させた」
神が冷然と告げる。
「治癒魔法や医療などで救うことはできん。その女はもう助からん」
「ステラぁっ!」
俺はありったけの魔力を注ぎこみ、治癒魔法を発動した。
治癒魔法が効かない、なんて言われても、他に試すものがない。
ボウッ……。
彼女の全身が緑色の光に包まれる。
俺はもともと攻撃魔法の方が得意で、治癒魔法は苦手な部類に入る。
こういう時、オリヴィエがいたら――。
「オリヴィエ! いるか! こっちに来てくれ!」
叫んだ。
が、返事はない。
彼女はジュダの指揮の元、『光の王』の部隊と戦闘中のはずだ。
その乱戦の中で、即座にこっちまで来るのは無理だろう。
彼女を呼びに行っている間に、ステラは死ぬ――。
なら、俺がこの場で彼女を治すしかない!
そう考えて、引き続き魔力を注ぎ、治癒魔法を連続で発動する。
「――ふん、我に背を向け、部下の治療か」
神に、無防備に背を向けていることに気づくが、今はどうだってよかった。
ステラの命を救うことが最優先だ。
だけど――。
ステラの顔から血の気が引き、すでに瞳から光が失われていた。
駄目だ、もう死んでしまう……。
目の前がグルグルと回る。
嫌だ。
失いたくない。
彼女を。
愛おしい存在を。
「そろそろいいか? 殺す順番が変わったが――」
神が剣を振り上げる。
「次は貴様だ」
「――お前が」
俺は振り返った。
「お前がぁぁぁぁぁぁっ!」
絶叫とともに魔王剣を振るう。
ざしゅっ……!
俺の剣が、奴の右腕を斬り飛ばした。
「ぐっ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
神が絶叫した。
「ここまで追い詰められなきゃ力を出せないなんてな……」
俺はうめいた。
半ば呆然と。
半ば安堵感で。
ステラの顔に、血の気が少しだけ戻っている。
治癒魔法の効果が出始めたか。
「何……っ!?」
神が驚いた顔をする。
「我が『拒絶』の効果が薄れていく……」
「おかげでステラを治癒できる……これだけの重傷だと、すぐには目覚めないだろうが……」
俺は神をにらんだ。
「お前の『拒絶』を、俺の力で『超越』した」
「超越……!? まさか、貴様は……」
神が愕然とした顔でうめいた。
「貴様の力は――」
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