6 魔王VS神、最終決戦1
「なぜ我が今まで魔界を滅ぼさなかったか、分かるか?」
神が言った。
「その気になれば、我は単独でお前たちごときを全滅させられる――にもかかわらず、だ」
「少なくとも『神の慈悲』とやらではないだろうな」
「当然だ。なぜ魔族に慈悲をかける必要がある?」
神が笑う。
「なら答えは一つだ。かつての戦いで力を失ったからだろう。お前は力の回復を待っていた」
「半分は正しい。だが、半分は間違いだ」
俺の答えに神が首を振った。
「確かにかつての大戦で我は傷を負った。回復には長い時間を要した。とはいえ、別に傷を負った状態でも魔界を滅ぼす程度のことなら造作もなかったのだ」
神がふたたび笑う。
「魔族は弱体化した。歴代の魔王もずっと見てきたが、いずれも『始まりの魔王』ヴェルファーに比べれば、力の劣る者ばかりだ」
「だが、貴様は魔界を滅ぼそうしなかった」
俺は奴を見据えた。
「なぜだ」
何か、嫌な予感がする。
さっきから背筋にチリチリとした痛みが走っていた。
特大級の、不吉な予感が――。
「貴様がいたからだ、魔王」
神が笑う。
今までにも増して笑う。
「我は悟っていた。長い歴史の果てに、貴様のような存在がいつか生まれると。神や魔でさえ逆らえない運命の流れ――それに抗い、新たな流れを作り出す能力者……運命超越者が、な」
「俺が……?」
「歴史上、数人の運命超越者を確認した。ただ、貴様に比べれば力が弱く、我の望みを満たさなかった。我はさらに長い年月を待った。そして――ついに貴様に出会った」
神が笑う。
今までで、もっとも大きな笑い声で。
「くははははははは! 嬉しいぞ、フリード・ラッツ! 貴様の力は歴史上の運命超越者たちの中で最高だ。そんな貴様を取りこめば、我はもはや運命にすら影響を受けない、最強の神となろう」
「それが貴様の望みなのか……」
「然り」
うなずく神。
「貴様を殺し、その力を奪うとしよう」
神が『断罪』の剣を構えた。
「さあ、最後の戦いを始めようか」
「――いくぞ、ステラ」
俺は彼女に呼びかけた。
「いつでも」
ステラが飛行魔法でこちらにやって来た。
「『光の王』の掃討戦の方はどうだ?」
「そちらはジュダの指揮のもと、こちらが優勢に進んでいます」
「さすがジュダだ。なら、後は奴を倒すだけだな」
俺は彼女の手を取った。
「力を貸してくれ、ステラ」
「私の力は、そして心も――あなたとともにあります、フリード様」
ステラが俺を見つめた。
「存分に」
「――いこう。これが最後の戦いだ」
見つめ合う。
それだけで俺たちの意思疎通は完了した。
「『メテオブレード』!」
俺は周囲に数百の炎の剣を生み出す。
限定的ではあるが未来予知のできるステラは俺の『眼』となり、狙いをつけ、念話で俺に指示を出す。
「『マルチロックオン・メテオブレード』!」
全方位から神に向けて、炎の剣をいっせいに射出した。
ステラが神の『未来の動き』を読み切っているため、絶対に回避も防御も不能の連続攻撃――!
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