5 反撃の輝き
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
魔軍のあちこちから歓声が上がった。
「力が湧いてくる!」
「す、すごい、失われていた力が――」
「魔王様が呪いを解いてくださったんだ!」
「さすがは魔王様!」
「さすまお!」
「さすまお、さすまお!」
……いや、いちおう戦闘中だし『さすまお』はやめよう。
ともあれ、魔族にかけられた呪いは無事に解除できたようだ。
さあ、反撃開始といこうか。
「全軍で『光の王』たちを総攻撃だ。今のお前たちなら勝てる!」
俺は全軍を鼓舞した。
そして、俺自身も魔力を高める。
ごおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
体中から炎のような魔力のオーラが立ちのぼった。
そのオーラが、たちまち成層圏まで到達する。
「こ、これは……!?」
予想をはるかに超えた魔力の勢いに、俺は驚いた。
いや、勢いだけじゃない。
体内に意識を向ければ、はっきりと分かる。
俺の魔力が――今までの比じゃない!
「力が、どんどんあふれてくる――!」
どうやら、俺自身も『神による弱体化』を受けていたらしい。
今までは『歴代魔王で最強の魔力』を振るっていたし、正面からの戦いではほとんど押されたことさえなかった。
だから気づきにくかった。
だが、考えてみれば分かることだ。
外見は人間のときとほぼ変わらないが、魔王として生まれ変わったとき、俺の肉体は魔族のそれに変化した。
当然、俺の体も『神による弱体化』を受けていたんだ。
そして、それが今、解き放たれた。
はっきりと感じる。
俺の魔力が今までの数倍……いや、数十倍、いや――。
「数百倍にも膨れ上がっている……!」
俺は右手を突き出した。
「ふん、呪いを解いたか」
ライルの姿をした『神』が口の端。
「まあ、いかに力を高めようとも魔族ごときが我を討つことなどできん――」
「どこまでも俺を――魔族を見下すんだな」
「魔族を指して『俺たち』とは。自身を人ではなく、完全に魔族と認識しているわけか」
神が告げる。
ライルの瞳が、俺を見据える。
「……そうだ。今の俺は魔族の王」
その台詞を、俺は胸を張って告げた。
勇者だった俺だけど、今は自分を『魔王』として認識している。
魔族たちの、王。
彼らを導き、彼らを守る存在。
それが俺だ。
そう在りたい――。
それが俺の願いだ。
「魔族とともに戦い、彼らを守る――それが俺の戦いのすべてだ」
「人の身でありながら、そこまで堕ちたか。まあ、どうでもよいか。人など、我にはただの手駒だからな」
神が告げる。
「むしろ、よくぞそこまで力をつけたと言うべきかもしれんな……さあ、貴様の力を取りこんでやろう、魔王よ」
「何……?」
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