4 魔王剣召喚
「我が忠実なるしもべ『光の王』たちよ! 我が力を受け、今一度――起動せよ!」
神の手から無数の光球が飛んだ。
その光を受けて、残りの『光の王』が鳴動する。
「これは――」
神気を『補給』させたのか。
しかも俺やジュダの攻撃魔法で壊した部分も、ほとんど元に戻っている。
『修復』も同時に行った、ということか。
一体どれほど膨大なエネルギーがあれば、可能な術式なのか――。
さすがに神だけあって、その神気は尋常じゃないらしい。
「魔族を過小評価していたようだ。我が神気の一割をこめた『光の王』たちで十分に倒せると踏んでいたが――」
神が笑う。
笑いながら、上空へと飛び上がる。
もちろん、ライルには飛行呪文なんて使えないから、これは神の力だろう。
あっという間に雲間の彼方まで飛び去った神は、
「今度は三割。耐えられるかな、魔軍の諸君」
朗々と声を響かせた。
自分は安全な場所から、兵隊を使って攻めるというわけか。
「――ジュダ、動けるか?」
「……しばらくは魔法戦闘は無理だね」
軽く顔をしかめつつ、ジュダは自分の手を胸に当てて治癒魔法を唱えている。
「じゃあ、お前には『光の王』の迎撃に関して指揮を頼む」
俺はジュダに言った。
「他の魔軍長の指揮をとって、全員で対処するんだ。それができるのはお前しかいない」
「ふふ。友の頼みとあらば――」
ジュダは微笑み、飛び去った。
「さて、と。俺は」
空中のライルに向き直る。
「神殺しといくか」
俺は飛行魔法でライルの前まで飛び上がった。
「一騎打ちか。望むところだ」
ライル――いや、『神』がニヤリと笑う。
「巻き添えを出したくないんでね」
俺は奴を見据えた。
相手は神――ここからは手加減なんて言っていられない戦いになるだろう。
「巻き添え? そんなものは出ない」
神が言った。
「そんなものが出ることもなく、ただお前が一方的に殺されるだけだ。そしてお前の配下や薄汚い魔族の民すべてがな」
「俺を――俺たちを、魔界を舐めるなよ」
俺は雲間の向こうにいるである神をにらんだ。
「魔王剣よ、我が元に!」
俺の手に煉獄魔王剣が出現した。
完全ではないが、ほとんどの欠片は破損部分に収まっている。
これなら魔族を統べる祭具としての能力もなんとか発揮できるだろう。
「――復元していたのか」
神がうなった。
「どうやって欠片を探し出した」
「過去に行ったおかげだ」
俺は奴をにらんだ。
「欠片が飛び散った先を、仲間に記憶してもらった。そして、その記憶を元に未回収だった欠片を集めたんだ」
「なんだと……!」
神の声にかすかな――だが、確実な感情の乱れを感じた。
計算外の出来事、ということか。
俺は魔王剣を構える。
「今の魔王剣なら『解呪』が可能だ。お前にかけられた魔族弱体化の呪いを――今こそ解く!」
魔王剣が輝きを放った。
黒い輝きが魔界全土に広がっていく。
そして、その輝きが魔族一人一人を包んでいく――。
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