17 究極の火炎魔法
「『双焔灼天弾導破』!」
俺はメガファイア二発を融合させた火炎魔法の奥義を放った。
メガファイア単発では、おそらく防げないだろう。
それを重ね合わせた、この最強火炎魔法でなければ――。
ごうっ……!
「何っ!?」
最強火炎魔法すらも撃ち抜き、ルドミラの矢が迫った。
「これほどまでの威力とは――」
おそらく神気を制御し、貫通力に特化してあるのだろう。
とはいえ、俺の『双焔灼天弾導破』を撃ち抜くとなれば、生半可な神気量ではない。
「人間は成長する――言ったはずよ」
「――そうだな」
俺は口元に笑みを浮かべた。
人間とは成長する生き物だ。
それは今よりも強くなる明日を信じ、未来へと踏み出す意志の力が成し遂げること。
その力は――『人間』である俺にも宿っている。
ならば、俺もまた。
今まで以上に成長し、神をも超える力を得てみせる。
俺とジュダは魔法を連打しながら、四天聖剣たちの攻撃と渡り合った。
ルドミラたちは以前とは比べ物にならないほど強くなっている。
油断はできない。
ただし、こっちにもジュダという頼もしい味方がいる。
俺たちの戦いは一進一退だった。
「ふふ、こうしているとヴェルファーとともに戦ったことを思い出すよ」
ジュダが爽やかな笑みを浮かべた。
「親友を失い、私は半ば抜け殻になっていた……だけど、彼は帰ってきたのかもしれないね。君という新たな友人として――」
「えっ」
「いや、感傷なんて私らしくないね。さあ、続きだよ――フリードくん」
ジュダが、初めて俺の名を呼んだ。
「――ああ、やれるぞ。俺とお前なら! 新合体魔法――」
俺たちは魔力を全開にした。
ぎぎぎぎ……ぎしっ、びきぃ……っ。
あまりの魔力量に周囲の空間が大きく軋み、歪む。
空のあちこちに亀裂が走り、衝撃波が走る。
「『魔焔崩天弾導破』!」
俺たちの『メガファイア』を融合させた『バーストメギド』――それを同時に数発撃ち出し、すべてを融合させる
同時に融合させた『メガファイア』の数は合計で十発を超えているだろう。
赤から黒、さらに純白へと変化した超特大の火球が突き進んだ。
かつて過去の魔界で俺とヴェルファー、ジュダが三人がかりで生み出した火炎系の究極魔法――それすらもはるかに上回る究極奥義だ。
複数の大出力魔法を束ね合わせるには、非常に繊細な魔力コントロールが必要になる。
その大半は卓越した魔術師であるジュダに頼りつつ、俺自身も今まで以上の魔法技術で、この魔法の完成に貢献した。
いや、技術というよりはカンに近い。
この土壇場で――この土壇場だからこそ会得できた力。
俺自身の、『人間として』成長していく力が、それを成し遂げさせた。
「きゃあっ……!?」
ルドミラたちの悲鳴が響く。
彼女たちが束ねた神気を打ち消しながら、俺とジュダの火球が四天聖剣たちを吹っ飛ばした。
「ぐっ……」
どうやらルドミラたちの神気は大幅に目減りしたようだ。
さすがに、あれではすぐに回復できないだろう。
今が、押し込む好機だ!
「『魔焔崩天弾導破』!」
俺たちの攻勢は続く。
先ほどまでは神気を自由に使いこなし、俺たちを押し込む場面もあったルドミラたちだけど、一気に形勢はひっくり返った。
魔界で最強の魔力を持つ俺とジュダの連携は、さすがにパワーアップした四天聖剣でも止められないようだ。
と、
「さすがに手ごわいね……だったら、あたしたちもすべての神気を束ねて、お前を討つ!」
ルドミラが叫んだ。
彼女が弓を、フィオーレが剣を、シオンが槍を、それぞれ構える。
しゅおおおおおおおおおおおっ……。
三人の奇蹟兵装にまばゆい黄金の光が宿った。
「来る――」
俺も魔力を高めた。
隣では同じくジュダが魔力を高めている。
どうやら、これが最後の勝負になりそうだ。
技ではなく、戦術でもなく。
お互いの『力』を限界まで放出しての、純粋な力比べ――。
「俺も同じだ。すべての力を結集し、お前たちを退ける」
そして、魔界を守る。
俺の大切な仲間たちを。
俺の大切な居場所を。
かつては、俺も『そちら側』だった。
勇者の一員だった。
だけど、今はもう違う。
そして、魔界の側にもかけがえのないものがたくさんある、と知ってしまったんだ。
「だから、譲れない――」
だから、守る。
俺が。
王として――!
そして、俺たちの一撃はついにルドミラたちを敗走させたのだった。
【読んでくださった方へのお願い】
面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!
評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!








