10 最終侵攻
黒い空に黄金の亀裂が走っていく。
魔界を守る結界が斬り裂かれているのだ。
信じられないほどあっさりと――。
ご……ごごごご……。
そこから現れる無数の軍団。
突然の、前触れのない天軍と勇者軍の襲来だった。
「ちっ、完全な奇襲か――」
俺は唇をかむ。
黄金の輝きに包まれながら、まず数万単位の人間が降り立った。
手に手に奇蹟兵装らしき武器を携えている。
おそらく、あの全員が勇者だろう。
世界に十万いるという勇者たちの過半数をこの侵攻に投入してきたか。
「魔王様~!」
駆けつけてきたのはオリヴィエだった。
「み、み、見ましたか!? すごい大軍……」
と、おびえた顔をしている。
「勇者の中枢――『大聖堂』も、本気のようだな」
俺は彼女の頭をポンと撫でた。
「大丈夫だ。全員の力で魔界を守る。君の力も貸してもらうぞ――親衛隊長リリム」
「っ……! は、はい、あたしも全力を尽くします!」
俺の言葉で緊張状態から脱したのか、オリヴィエが元気よく叫んだ。
と、
「魔王くん!」
空から誰かが飛んできた。
銀髪に褐色の肌の美少年魔族――ジュダだ。
「せっかく昼寝していたのに起こされてしまったよ」
「いや、魔軍長の仕事は……?」
「ちょうどいい陽気だったからね。昼寝日和だ」
悪びれずに笑うジュダ。
まあ、やるときはやる男だから、普段少しくらいサボっていても特に何かを言うつもりはないが。
いや、そんなことよりも、
「結界がここまで簡単に破られるとはな……」
空を見上げ、うめく俺。
「神も本気みたいだね」
ジュダが言った。
普段の飄々とした態度とは違い、珍しく険しい表情だ。
「神……?」
「そう、今回の襲来には、今まで表に出てこなかった『神』が大きく絡んでいる」
「っ……!?」
ジュダの言葉に俺は息を飲んだ。
「それは、まさか――」
「太古の戦いで相応のダメージを負っていた神が、いよいよその傷が癒えたのか……今回の戦いを最終決戦とでも位置付けているのか」
ジュダの表情に険しさが増す。
あるいは、その太古の戦いで友であるヴェルファーを失ったことを思い出しているんだろうか。
「今回の戦い――今までにない、壮絶なものになるだろうね」
【読んでくださった方へのお願い】
面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!
評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!








