8 迫る決戦
俺は七大魔軍長の一人、『錬金機将』ツクヨミの元を訪れていた。
「『闇の王』の強化改修……でありますか?」
「ああ。今度の決戦では必要になるだろうからな」
俺はツクヨミに説明した。
魔界の最終防衛兵器『闇の王』。
ゼガートの反乱の際には、俺の敵に回ったこともあったが、戦力としては非常に大きい。
性能でいえば、あの『光の王』と同等くらいの力はある。
可能なら、天界を迎え撃つ戦力の一つに加えたい。
そして、
「魔界のすべての戦力をもって、天軍を叩く」
「神と戦うつもりなのでありますね?」
ツクヨミが俺を見つめる。
俺は力強くうなずき、
「こっちが戦いたくなくても、向こうから攻めてくるさ」
「戦いたくない、ですか」
「魔王の発言としては物足りないか?」
「あなたが魔王にふさわしいかどうかは、私には興味がないのであります」
ツクヨミが言った。
「随分とはっきり言うな」
俺は苦笑するしかない。
「私にとって重要なのは知的好奇心を満たせる環境。それを作ってくれる魔王ならば、喜んで仕えるのであります」
ツクヨミが語った。
「お前がゼガートについた理由もそれだったな」
「魔王様がそれ以上の環境を用意してくれるのであれば、永遠の忠誠を誓いましょう」
「……分かった。お前の研究環境については善処しよう。見返りとして『闇の王』の強化改修を頼めるか」
「約束さえ守ってもらえるなら」
「ああ。約束は違えないさ」
ツクヨミとの話を終え、俺は城の中庭を歩いていた。
これから執務室に行って溜まった書類仕事を片付けなくてはならない。
……まあ、大半はステラが代理で片づけてくれていると思うが。
とはいえ、俺がノータッチというわけにはいかない。
ここで軽く休息してから、執務室に行くつもりだった。
と、
「あ、魔王様~!」
リリムが手を振って走ってきた。
俺の親衛隊長を務めるスライム娘にして元気印。
トレードマークのポニーテールがリズミカルに揺れていた。
相変わらず全身から元気を発散しているような少女だ。
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