6 魔王剣の欠片を求めて
俺はステラと相談していた。
「魔王剣の欠片――その残りすべては、人間界にあるんだよな?」
「はい。私が『第三の眼』で記憶してあります」
俺の問いに答えるステラ。
「じゃあ、さっそく回収だ。俺とステラの二人で行く」
あまり大人数で行っても目立つだけだからな。
「俺がいない間の魔王城は――ジュダ、フェリア、オリヴィエに頼む」
「ん……私は眠いので、後の二人に任せるよ。ふあ……」
早くもあくびをしているジュダ。
「ふふ、つまりあたしが魔界の女王ってこと? いいわね、それ」
フェリアは目を爛々と輝かせている。
「えっ、じゃあ――あたしは女王様に迫られるいたいけな美少女? も、妄想がはかどります……!」
オリヴィエがぽわんとした顔になった。
……留守を任せるのが心配になってきたな。
まあ、能力自体は三人とも高いわけだし、なんとかやってくれるだろう。
「緊急事態の際には俺とステラに連絡を入れてくれ。できるだけ早く魔界まで戻るから」
俺は三人に言った。
「じゃあ、さっそく行こう」
「はい、魔王様」
俺の言葉に一礼するステラ。
「二人っきりで人間界旅行なんて……ふふ、ステラも正念場ね」
フェリアが妖しい視線をステラに向けている。
「私は任務として行くのだ。旅行ではない」
ステラは対照的にクールな面持ちだ。
「あ、あくまでも臣下として魔王様をお助けするために――」
と言っても、その頬が赤く染まっているが。
俺とステラは人間界までやって来た。
ここに来るのは久しぶりだ。
「どうだ、ステラ。最初の欠片の場所は分かりそうか?」
「はい。少々お待ちを」
ステラの額に第三の瞳が開いた。
「――こちらです」
しばらくして、ステラが前方を指し示す。
「『フライト』『ステルス』」
俺は彼女を抱え、飛行呪文でまっすぐに飛んだ。
隠蔽呪文を同時に唱え、周囲から認識されないようにするのも忘れない。
ここは人間たちの世界だ。
当然、勇者たちがいる。
最強の四天聖剣だって、まだ三人残っているからな。
戦っても負けるつもりはないが、やはり不要な戦いは避けたいところだった。








