3 銀の騎士
俺は城の地下に向かった。
すでに幽閉済みのツクヨミの元を訪ねるためである。
ちなみに、彼を幽閉したのは、俺が過去に行っている間の魔界を収めていた魔軍長たちだ。
ジュダとフェリアでやってくれたようだった。
「……おとなしくしているようだな、ツクヨミ」
俺は牢の前に立った。
「今さら逆らっても、立場が悪くなるだけです」
銀色の騎士――ツクヨミは淡々と答えた。
怒るでもなく恐れるでもなく、完全に無表情である。
達観したような顔だった。
「私の処遇は……どうせ死刑でしょう? 獣帝にそそのかされて、いいように使われたあげくに死刑ですか、そうですか、あーそうですか」
不満たらたらといった様子だ。
「安心しろ。死刑じゃない」
「……本当ですか?」
「いや、絶対に死刑じゃないとも言えないが」
「ぬか喜び……ぶつぶつ」
「不満モードはいったん止めて、俺の話を聞いてくれないか」
俺は苦笑しつつツクヨミに言った。
こんな状況であっても、ツクヨミは変わらない。
「お前の力は惜しい。できれば、これからも魔界のために力を尽くしてほしい」
「反逆者である私に対して、寛大な処置ですね」
「不服か?」
「私は自分の知識欲を満たせる環境さえあれば満足です。他の事には興味がありません」
きっぱり告げるツクヨミ。
こいつに忠誠や信義を求めるのは難しそうだ。
だが、知識欲というはっきりした目的があるため、協力を得ることはできそうな気がする。
「条件面については今後の話し合いになるが……俺に対して遺恨がないなら、今後の協力を願いたい」
何せ、これから始まるのは神との最終決戦だ。
力ある者の助けが、欲しい。
一人でも多くの者の助けが――。
「次は……ゼガートか」
俺は獣帝の幽閉場所へ赴いた。
魔王城、地下牢。
その最下層に獅子の獣人型魔族が幽閉されている。
先の反乱の首謀者であり、魔軍長『獣帝』の地位にあった男――ゼガートだ。
俺との戦いで重傷を負ったはずだが、その傷はあらかた治癒されたらしい。
それでも体のあちこちに包帯が巻かれているが……。
ともあれ、ゼガートは四肢に鎖付きの輪を付けられ、牢内で拘束されている。
この輪も当然、ただの鉄輪ではなく魔法で何重にも強化されたものだ。
いくらゼガートの剛力でも、物理的な力でこれを破壊するのは不可能だという。
「あれくらいで死ぬはずがないと思っていたが……やはり生きていたんだな、ゼガート」
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