2 再始動
俺たちは四人で城に戻った。
「魔王様、おかえりなさーい!」
「過去に跳ばされても戻ってくるとは……さすが、魔王様!」
「さすまお、さすまお!」
「さすまお、さすまお!」
兵たちは大歓声だった。
「魔王様がいない一か月、寂しかったです~!」
と、赤い髪をポニーテールにした美少女――親衛隊長のリリムが駆け寄ってきた。
「一か月?」
「一か月です」
怪訝に思った俺に、リリムがうなずく。
話を聞いてみると、どうやら俺たちが過去に飛ばされてから一か月ほどが経っていたらしい。
「なるほど、過去からこっちに戻ってくるときにズレが生じたわけか……」
と、
「ふ、不死王様……!」
リーガルの姿を見た魔族たちがおびえた表情になる。
先の獣帝の反乱において、不死王リーガルがそれに与したことは、すでに広まっているはずだ。
「みんな、落ち着いてくれ」
俺は魔族たちに言った。
「リーガルはすでに投降している。城に幽閉の後、しかるべき裁きを下す」
それを聞いて、彼らはホッとした様子を見せる。
「獣帝ゼガートや錬金機将ツクヨミについても同様だ。今後、魔界の者に彼らが危害を加えることがないようにする」
「幽閉、ですか」
リーガルがぽつりとつぶやいた。
「この時代に戻ってきたとたんに殺されることも覚悟しておりましたが」
「まずは裁きだ。俺個人の裁量でお前を殺すことはない」
「温情ですか?」
「法に基づいて、この世界を収めたいだけだ」
俺はリーガルを見据えた。
「とにかく、今は牢にいてもらう。異論はあるか?」
「あくまでも話を聞くという姿勢は変わらないのですね。甘いことだ」
リーガルがつぶやく。
「ですが、それがあなたなのでしょう。私は武装を解き、牢に入ります」
「従ってくれて助かるよ」
「力ずくがお好みなら、そういたしますが?」
ぎろり、とリーガルの赤い眼光が俺を捉えた。
「――いや、今は遠慮しておこう」
それを受け止め、答える俺。
幽閉処分に従うとはいえ、リーガルの苛烈さは失われていないようだった。
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