1 帰還
「どうやら俺たちは元の時代に戻ってこられたらしい」
俺はステラ、オリヴィエ、リーガルを前にそう言った。
「全員でここに集まれたことはよかった。過去の……ヴェルファーたちの力にはなれなかったが」
「やはり過去は変えられないということかもしれません」
と、ステラ。
「細かな部分に変化はできても、大筋は同じ――決まった運命の通りにことが運ぶのではないかと……」
彼女の表情は暗い。
生きていた時代は違えど、寝食をともにした『仲間』である。
それが最後には無残に殺されていった。
俺だって、心が苦しい。
叶うなら、彼らを守りたかった。
彼らに、生きていてほしかった。
途中で元の時代に戻されてしまったから、最後にどうなったのかは分からない。
「大半の魔族は殺されたのでしょうな」
リーガルが言った。
俺と同じように、彼らの行く末を考えていたのだろうか。
「主戦力である魔王と魔軍長が軒並み倒されたからな……残りの魔王軍は敗走したに違いない」
「そんなぁ……!」
オリヴィエが目に涙をためて叫んだ。
「嫌です、あたし……みんな、いい人だったのに……気持ちのいい方たちだったのに……うう」
と、泣き出すオリヴィエ。
「しっかりしろ、オリヴィエ魔軍長。簡単に涙を見せるな」
「……お姉さまだって」
「……!」
オリヴィエの指摘に、ステラは慌てたように目元をぬぐう。
涙のにじんだ目元を。
「私も、もう少しヴェルファー陛下と話がしたかった……」
リーガルがつぶやいた。
彼にしては珍しく感傷に浸っているのか。
あの『始まりの魔王』に、リーガルは何か通じるものがあったのかもしれないな。
二人ともいかにも武人という感じだし。
「……とにかく、俺たちはこの時代でやるべきことをやろう」
俺はため息をついた。
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