24 神話の戦い、最終局面3
「ここまで……か……」
ヴェルファーは、ごぽり、と口から血を吐いた。
その顔には死相が色濃く浮かんでいた。
『光の王』や使徒、勇者たちを相手に奮戦し、その果てにとうとう致命傷を受けたのだ。
「駄目だ、ヴェルファー……!」
「はは、なんて顔をしてるんだ、ジュダ……」
魔王が笑う。
穏やかな笑顔だった。
「嫌だ! 君を失いたくない……私は――」
対するジュダは涙を浮かべながら叫ぶ。
こいつのこんな顔を見ることになるとは――。
「せめて、お前は生きろ……よ……」
ヴェルファーが崩れ落ちる。
もはや立ち上がる力さえないのだろう。
ジュダは周囲の敵を薙ぎ払いながら、ヴェルファーに近づこうとする。
が、敵が多すぎて、とても近寄れないようだ。
俺はそれを見ていることしかできない。
時空の乱れにからめとられ、身動きが取れなかった。
加勢も何もできないのが、もどかしかった。
歯がゆかった。
悔しかった。
「最後に……魔王の意地って奴を見せておいてやるか……!」
ヴェルファーが両手を掲げる。
「灼天の火焔――!」
絶叫とともに特大の火球を放った。
今までも最大級のサイズだ。
おそらくは残った魔力を振り絞った一撃。
ごおおおおおおおっ!
『光の王』が直撃されて、大きく吹き飛んだ。
空中で三つに分かれ、飛んでいく。
「そのまま魔界の奥底で……眠れ……!」
ヴェルファーがうめいた。
分解されて三つになった『光の王』は、空間の中に溶け消えていく。
言葉通り、魔界の奥深くに封印されたんだろう。
そう、やがて未来で封印を解き、俺の前に現れるまで――。
とたんに、天軍の攻勢が緩んだ。
『光の王』が戦場からいなくなったことで、魔軍が盛り返し始めたのだ。
といっても、それも一時的なことだろう。
「退け! 今のうちに退くんだ!」
ジュダが全軍に向かって叫んだ。
「私が天軍を食い止める! その間に、一人でも多く逃げろ!」
叫びながら、最大級の攻撃魔法を連発する。
メガファイアにメガウィンド、メガサンダー……歴代魔王を上回るほどの膨大な魔力で、立て続けに魔法を放ち、天軍を寄せ付けない。
さすがはジュダだ。
だけど、それでも多勢に無勢――。
戦線はふたたび天軍が押し返し始める。
ただ、この隙に魔族の一部は魔界へと撤退していった。
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