23 神話の戦い、最終局面2
「ほう? どこまでも我に立ち向かう気か? だが戦況を見れば分かるだろう。すでに大勢は決した」
「まだだ」
俺は頑として言い放つ。
「俺が貴様を倒し、戦況を切り開く……!」
「馬鹿な。魔王が神に適うはずもない。自ら消滅を選ぶか、未来の魔王!」
「俺は消滅しない! 彼らを助けるんだ!」
魔力剣を振るい、『断罪』の光剣を斬り払いながら叫ぶ。
斬り払うといっても、威力で勝っているのは『断罪』の光剣の方だ。
俺の魔力剣は何本かと打ち合うと、すぐに力を失って消滅してしまう。
消えた端から新たな魔力剣を生み出し、数百単位で周囲に放って『断罪』の光剣群と打ち合わせる。
剣での斬り合いというより、俺と神との『力』の鍔迫り合い――。
「運命は変わらぬよ、魔王! このまま我の一撃で消えよ!」
神の剣が、押す。
「いいや、変わる! 変えてみせる!」
俺の剣が、押し返す。
「お前の思い通りにはさせない。俺は仲間を守る! この時代でできた仲間たちを――」
さらに、押す。
だが、神もまた攻撃の出力が上がっていく。
俺と神、双方の攻撃はともに際限なく出力を上げ、その衝突は――。
空間を歪ませ始めた。
「これは……!?」
「我らの力の激突に、世界そのものが軋んでいるようだな」
神が告げる。
「時空間がねじ曲がり始めておる」
「何……?」
「くくく、厄介な貴様をここから放逐できそうだな」
「まさか、俺は……元の時代に……」
「貴様らは元々その方法を探していたのであろう? ちょうどよかったではないか」
「……まだだ。俺はまだヴェルファーやこの時代のジュダを――」
助けたい。
時代は違えど、魔族の『仲間』たちを。
たとえ、歴史が定まっているとしても。
たとえ、運命が彼らの死を定めているとしても。
「俺は――」
体が、動かないことに気づいた。
「無駄だ。すでに貴様は時空の乱れにからめ取られている。本来この時代の者ではないのだ。そろそろこの時代にいられる限界が来たのだろう」
神が眼下を指し示した。
「あ……ああ……」
俺の視界に地上の各所が映っている。
四人の魔軍長が人間の勇者たちに討ち取られていく姿が、見えた。
『焔皇竜』ジード・ガ・ゼルフィードが奇蹟兵装に貫かれる。
『不死王』ヘイゼルが奇蹟兵装に砕かれる。
『無形戦魔』ナバームが奇蹟兵装で焼かれる。
『雷覇騎士』アルフィナが奇蹟兵装で斬り裂かれる。
「そんな……こんなにも、呆気なく……」
――分かっては、いる。
彼らが生き残る可能性は極めて薄いことを。
かつての戦いで、多くの魔族が殺されたことを。
だけど……。
「歴史の通りに物事が動いた。それだけのことだ」
神が冷然と告げる。
ジュダは一人奮戦しているが、さすがに多勢に無勢のようだ。
そして、ヴェルファーは――。
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