22 神話の戦い、最終局面1
【すべての魔族はその力を減じ、弱き者へとなり下がれ】
神の放った言葉が、世界の隅々にまでその効力を広げていくのを感じる。
「今のは――」
俺は全身から寒気がするのを感じていた。
かつて、神との戦いで魔族は弱体化したという。
それが今まさに、ここで起きたのだ。
ヴェルファーたちは軒並み弱くなってしまったのか……!?
だとすれば、ここから先の戦いは一気に厳しくなる――。
「これで魔族たちは弱体化した」
神が満足げに言った。
「使徒たちよ、魔王や高位の魔族を優先して討伐せよ。我が駒――いや勇者どもには残りの魔族の掃討を。よいな。この地上から魔族を根絶やしにするのだ」
「承知しました」
使徒たちの声が響く。
同時に、地上から悲鳴と絶叫が聞こえてきた。
「これは――」
やはり――神の言葉通り、魔族が弱体化したのだろう。
「歴史通りに……か」
俺はぎりっと奥歯を噛み締めた。
心の中に焦燥感が広がっていく。
ここまで俺が伝え聞いた神話の通りに侵攻してしまっている。
魔王剣が砕け、欠片が飛び散ったこと。
魔族が弱体化したこと。
そして、この後は――。
「大勢の魔族が、虐殺される……! くっ!」
俺は眼下に向かおうとする。
ヴンッ……!
が、その周囲に、光り輝く無数の剣が浮かび上がった。
神の力によって生み出されたエネルギーの剣。
おそらく、先ほどの攻防でも使っていた『断罪』の力が込められた剣だろう。
『断罪』は最上級呪文すら蹴散らす力がある。
これだけの数の光剣で周囲を囲まれては、俺もうかつに動けない――。
「貴様だけは厄介だ。魔族の弱体化と敗走は運命の中に組みこまれている――だが、その運命を貴様は打ち破ることができる」
神が告げた。
「ゆえに、ここで足止めさせてもらう。同胞が滅びる様をゆっくりと見学するがいい!」
「貴様……!」
俺は神をにらんだ。
胸の中がドス黒い感情で埋め尽くされていく。
「……これが、神か」
かつて俺が人間だったころ――勇者だったころ、神とは崇拝と畏敬の対象だった。
魔を討つため、人間に力を授けてくれた絶対者。
だが、その実態は――権勢欲にまみれた俗物ともいうべき存在だった。
そして、神は今、魔族たちを掃討しようとしている。
時代は違えど、俺の『仲間』を。
失望と怒りが強く湧き上がる。
「そこを、どけ――」
俺は魔力剣を構えた。
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