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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第12章 運命の果て

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22 神話の戦い、最終局面1

【すべての魔族はその力を減じ、弱き者へとなり下がれ】


 神の放った言葉が、世界の隅々にまでその効力を広げていくのを感じる。


「今のは――」


 俺は全身から寒気がするのを感じていた。


 かつて、神との戦いで魔族は弱体化したという。

 それが今まさに、ここで起きたのだ。


 ヴェルファーたちは軒並み弱くなってしまったのか……!?


 だとすれば、ここから先の戦いは一気に厳しくなる――。


「これで魔族たちは弱体化した」


 神が満足げに言った。


「使徒たちよ、魔王や高位の魔族を優先して討伐せよ。我が駒――いや勇者どもには残りの魔族の掃討を。よいな。この地上から魔族を根絶やしにするのだ」

「承知しました」


 使徒たちの声が響く。

 同時に、地上から悲鳴と絶叫が聞こえてきた。


「これは――」


 やはり――神の言葉通り、魔族が弱体化したのだろう。


「歴史通りに……か」


 俺はぎりっと奥歯を噛み締めた。


 心の中に焦燥感が広がっていく。

 ここまで俺が伝え聞いた神話の通りに侵攻してしまっている。


 魔王剣が砕け、欠片が飛び散ったこと。

 魔族が弱体化したこと。

 そして、この後は――。


「大勢の魔族が、虐殺される……! くっ!」


 俺は眼下に向かおうとする。


 ヴンッ……!


 が、その周囲に、光り輝く無数の剣が浮かび上がった。

 神の力によって生み出されたエネルギーの剣。

 おそらく、先ほどの攻防でも使っていた『断罪』の力が込められた剣だろう。


『断罪』は最上級呪文すら蹴散らす力がある。

 これだけの数の光剣で周囲を囲まれては、俺もうかつに動けない――。


「貴様だけは厄介だ。魔族の弱体化と敗走は運命の中に組みこまれている――だが、その運命を貴様は打ち破ることができる」


 神が告げた。


「ゆえに、ここで足止めさせてもらう。同胞が滅びる様をゆっくりと見学するがいい!」

「貴様……!」


 俺は神をにらんだ。

 胸の中がドス黒い感情で埋め尽くされていく。


「……これが、神か」


 かつて俺が人間だったころ――勇者だったころ、神とは崇拝と畏敬の対象だった。

 魔を討つため、人間に力を授けてくれた絶対者。


 だが、その実態は――権勢欲にまみれた俗物ともいうべき存在だった。

 そして、神は今、魔族たちを掃討しようとしている。


 時代は違えど、俺の『仲間』を。

 失望と怒りが強く湧き上がる。


「そこを、どけ――」


 俺は魔力剣を構えた。

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