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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第12章 運命の果て

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19 天軍の猛威2

いよいよコミカライズ1巻が本日1月25日発売です!

「天軍兵器……か。とんでもない神気量だね、三体とも」


 ジュダが苦笑した。


 天軍最強兵器──『光の王』。

 魔族最強の魔導師であり、ヴェルファーに次ぐ魔力量を誇る彼といえど、正面からの戦いでは分が悪いだろう。


「まずは『闇の王』に任せるしかないか」


 るおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!


 その期待に応えるように『闇の王』が『光の王』に向かっていった。


 巨大な騎士と黒い巨竜がぶつかり合う。

 魔力の光弾や光線が飛び交った。


 無数の爆光が弾け、衝撃波が吹き荒れる。

 その余波が大地を揺るがし、空を裂く。


 すさまじい戦いだ。

 生半可な魔族では、側にいるだけで巻きこまれて消滅してしまうだろう。


「全軍、あの二体に近づかないように陣形を再展開!」


 ジュダが指示を出す。


 本来、こういった軍の指揮は苦手である。

 どちらかといえば、一対一での戦いが得意だった。


 だが、今はそんなことも言っていられない。

 魔軍の指揮官である魔王ヴェルファーは、先ほどの神の一撃を受けて傷を負っている。


 ジュダも傷は負ったが、ヴェルファーほどではない。

 ダメージの少ない自分が、魔軍を指揮するしかない。


「『焔皇竜(えんおうりゅう)』ジード・ガ・ゼルフィードはブレス主体の攻撃で遠距離から薙ぎ払って。『不死王(ロードアンデッド)』ヘイゼルはアンデッド軍団とともに前衛を。『無形戦魔(ヴォイド)』ナバームはその補佐だ。スライムの体を活かして味方の盾に。『雷覇騎士(ライトニング)』アルフィナ、君はその雷速を持って敵陣を切り開くんだ」


 四体の魔軍長に指示を出し、自身も矢継ぎ早に呪文を放って勇者たちを打ち倒す。

 あるいは味方の防御や補助をしつつ、戦場全体を見回した。

 と、


「『メガサンダー』! 『ギルティバースト』! 『ラグナエンド』!」


 ヴェルファーが次々と最上級の呪文を放ち、勇者軍を消し飛ばしていくのが見えた。


「さすがはヴェルファーだね。傷を負っているとは思えない奮闘ぶりだ。では、私も──」


 ジュダの全身から魔力のオーラが立ち昇る。


 出し惜しみは一切なしだ。

 掛け値なしの全力で、この戦局を切り開く──。




 どんっ……!




 すさまじい神気の塊が降り注ぎ、大爆発が起きた。

 衝撃波で魔軍の兵士たちが吹き飛んでいく。


「これは──」


 ジュダは上空を振り仰いだ、

 四人の使徒が悠然と降りてくる。


 さすがに彼らの力は、勇者たちとは一線を画していた。

 神気の矢を放ち、雷を降らせ、魔軍を掃討していく。


「おのれ!」

「これ以上はやらせん!」


 魔軍長たちが使徒に向かっていった。


「よせ、持ち場を離れるな!」


 ジュダが制止するが、彼らは止まらない。


「があっ……!」


 そして使徒たちの反撃を受けて、あっさりと撃墜された。


 地面に倒れ伏す彼ら。

 死んではいないようだが、大きなダメージを受けて立ち上がれない様子だ。


「……くっ」


 魔軍長たちはいずれも己の力に絶対の自信を持っている。

 部下を守るために、真っ先に使徒を倒そうとしたのだろう。

 ジュダの命令も無視して。


 その自信が──完全に裏目に出た。

 おそらくは神によって強化されている使徒は、魔軍長クラスでさえ歯が立たないのだ。


「──ならば、彼らは私が討つ」


 ジュダは空中を翔け、四人の使徒へ向かっていく。

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