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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第12章 運命の果て

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17 運命に抗う剣

コミカライズ第3話(前半)が更新されました! 下の方にあるリンクから漫画のページに飛べますので、ぜひどうぞ~!

「使徒よ。お前たちは他の魔族たちを掃討せよ。人間どもを手駒に、な」

「承知いたしました」


 神の言葉に、四人の使徒がうなずく。

 次々に地上へと降りて行った。


「させるか──」


 俺は追いかけようとするが、すぐに思いとどまった。


 さすがに神を相手に、背を向けて降下するのは危険だ。

 隙を見せれば、どうなるか分からない。


「──奴らは地上のヴェルファーたちに任せるしかないか」


 俺はここで神を抑える。


『断罪』と『拒絶』──最強の攻撃手段と防御手段を併せ持つ神は、生半可な相手じゃない。

 それでも、抑えるしかない。


 こいつが地上に降りて、好き放題に暴れたら、あっという間に魔王軍は全滅させられかねないからな……。


 対抗できるとしたら、おそらく俺だけだろう。


「──ふむ。我との戦いを望むか、魔族よ」


 神が傲然と俺を見下ろした。


「いや、未来の魔王フリードと言った方がよいか?」

「……!」


 仮面の下で表情をこわばらせる俺。


 なぜ、それを──?

 こいつ、俺の素性に気づいているのか……!?


「何を驚く? 我は全知全能の神。すべてを()る者である」


 神が笑う。


「すべてを識ったうえで、ふたたびたずねよう。お前は我との戦いを望むか? 我を殺すことを望むか?」

「何……?」

「仮にお前の力──『因果をも超える力』で我を抑えるなり、あるいは打ち倒すことができたとしよう。それでお前がいた未来の世界はどうなると思う? 歴史が大きく変わった後の世界は、元のままでいられるとでも思うか?」

「っ……!」


 俺は言葉を失った。


 それは、この戦いの前にさんざん考え──そして、いまだ結論が出ない話だった。


「お前の戦いに意味はあるのか? 答えよ、邪悪なる魔王」

「俺は──」


 気持ちが、揺れる。


 どうすればいい?

 ──なんて戦場で迷ってなんていられない。


 俺がやるべきことは一つだ。


 人だったときも、魔王になってからも。

 仲間を守る。

 守るために剣を振るう。


 だから、今は──今、やるべきことは。


「お前と、戦う」

「ほう……?」

「確かに、お前との──天軍とのこの時代での戦いに不確定要素はある。だけど、俺が戦わなければ、お前たちは一方的に魔族を滅ぼす。それを黙って見過ごすことはできない!」


 俺は右手に黒紫色の剣を生み出した。


 魔力を極限まで収束し、空間をも切り裂く魔力剣──『収斂型・虚空の斬撃(ヴァニティブレード)』だ。


「俺は俺の時代の仲間たちと、この時代の仲間たちを守る。そのうえで──俺も、彼らも笑って過ごせる道を探したい」

「魔王ともあろう者がなんと甘いことか」


 嘲笑する神。


「そのような戯言は、我の力で叩き伏せる」


 その前方に稲妻の剣が出現した。

 一直線に放たれる。


「俺の力で、その戯言を現実に変える!」


 向かってくる稲妻を、魔力剣で迎撃する。


 神の『断罪』と俺の最強魔法が中空でぶつかり合い、閃光を放つ──。


「くっ……おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ……!」


 重い!

 いかなるものをも切り裂くはずの魔力剣が、稲妻の剣に押しとどめられている。


 押しこめず、かといって押し切られることもない。


 威力は、完全な互角。


「ほう……我が力を受け止めるとは」


 神の声音にわずかな感嘆が混じった。


「我が意志と行動はすなわち運命そのもの。何者もこれに抗うことはできん。だが──お前だけは例外のようだな、『運命超越者(フェイトブレイカー)』よ」

「お前自身がさっき言ったことだ。俺の力は『因果をも超える力』だと。なら、(お前)の決めた運命とやらも覆せる! 覆してみせる!」


 俺が押しこむ。

 稲妻の剣が歪み、少しずつ弾け散っていく。


「何……!?」

「そして、切り開く! 俺たちの未来を──」


 さらに、押しこむ。

 稲妻の剣がまた弾け散る。


「馬鹿な……!」


 神の声は感嘆から驚きへと、そして戦慄へと変わる。


「神が決めたのが滅びの運命だとしても、俺たちは黙って従うつもりはない! だから──」


 ここから、去れ!


 ありったけの意志を込めた魔力剣が、神の『断罪』を真っ二つに断ち割った。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] セーブがルドミラを打ち負かし、気を散らして、彼女をやめさせようとするのが嫌いです。彼女は味方と一緒に強く戻ってきて、再び殴られ、それでも放り出されます。 セーブが実際に誰かを殺したが、…
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