17 運命に抗う剣
コミカライズ第3話(前半)が更新されました! 下の方にあるリンクから漫画のページに飛べますので、ぜひどうぞ~!
「使徒よ。お前たちは他の魔族たちを掃討せよ。人間どもを手駒に、な」
「承知いたしました」
神の言葉に、四人の使徒がうなずく。
次々に地上へと降りて行った。
「させるか──」
俺は追いかけようとするが、すぐに思いとどまった。
さすがに神を相手に、背を向けて降下するのは危険だ。
隙を見せれば、どうなるか分からない。
「──奴らは地上のヴェルファーたちに任せるしかないか」
俺はここで神を抑える。
『断罪』と『拒絶』──最強の攻撃手段と防御手段を併せ持つ神は、生半可な相手じゃない。
それでも、抑えるしかない。
こいつが地上に降りて、好き放題に暴れたら、あっという間に魔王軍は全滅させられかねないからな……。
対抗できるとしたら、おそらく俺だけだろう。
「──ふむ。我との戦いを望むか、魔族よ」
神が傲然と俺を見下ろした。
「いや、未来の魔王フリードと言った方がよいか?」
「……!」
仮面の下で表情をこわばらせる俺。
なぜ、それを──?
こいつ、俺の素性に気づいているのか……!?
「何を驚く? 我は全知全能の神。すべてを識る者である」
神が笑う。
「すべてを識ったうえで、ふたたびたずねよう。お前は我との戦いを望むか? 我を殺すことを望むか?」
「何……?」
「仮にお前の力──『因果をも超える力』で我を抑えるなり、あるいは打ち倒すことができたとしよう。それでお前がいた未来の世界はどうなると思う? 歴史が大きく変わった後の世界は、元のままでいられるとでも思うか?」
「っ……!」
俺は言葉を失った。
それは、この戦いの前にさんざん考え──そして、いまだ結論が出ない話だった。
「お前の戦いに意味はあるのか? 答えよ、邪悪なる魔王」
「俺は──」
気持ちが、揺れる。
どうすればいい?
──なんて戦場で迷ってなんていられない。
俺がやるべきことは一つだ。
人だったときも、魔王になってからも。
仲間を守る。
守るために剣を振るう。
だから、今は──今、やるべきことは。
「お前と、戦う」
「ほう……?」
「確かに、お前との──天軍とのこの時代での戦いに不確定要素はある。だけど、俺が戦わなければ、お前たちは一方的に魔族を滅ぼす。それを黙って見過ごすことはできない!」
俺は右手に黒紫色の剣を生み出した。
魔力を極限まで収束し、空間をも切り裂く魔力剣──『収斂型・虚空の斬撃』だ。
「俺は俺の時代の仲間たちと、この時代の仲間たちを守る。そのうえで──俺も、彼らも笑って過ごせる道を探したい」
「魔王ともあろう者がなんと甘いことか」
嘲笑する神。
「そのような戯言は、我の力で叩き伏せる」
その前方に稲妻の剣が出現した。
一直線に放たれる。
「俺の力で、その戯言を現実に変える!」
向かってくる稲妻を、魔力剣で迎撃する。
神の『断罪』と俺の最強魔法が中空でぶつかり合い、閃光を放つ──。
「くっ……おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ……!」
重い!
いかなるものをも切り裂くはずの魔力剣が、稲妻の剣に押しとどめられている。
押しこめず、かといって押し切られることもない。
威力は、完全な互角。
「ほう……我が力を受け止めるとは」
神の声音にわずかな感嘆が混じった。
「我が意志と行動はすなわち運命そのもの。何者もこれに抗うことはできん。だが──お前だけは例外のようだな、『運命超越者』よ」
「お前自身がさっき言ったことだ。俺の力は『因果をも超える力』だと。なら、神の決めた運命とやらも覆せる! 覆してみせる!」
俺が押しこむ。
稲妻の剣が歪み、少しずつ弾け散っていく。
「何……!?」
「そして、切り開く! 俺たちの未来を──」
さらに、押しこむ。
稲妻の剣がまた弾け散る。
「馬鹿な……!」
神の声は感嘆から驚きへと、そして戦慄へと変わる。
「神が決めたのが滅びの運命だとしても、俺たちは黙って従うつもりはない! だから──」
ここから、去れ!
ありったけの意志を込めた魔力剣が、神の『断罪』を真っ二つに断ち割った。
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