14 魔王VS四使徒3
コミカライズ第2話(前半)、本日更新です。下の方にあるリンクから漫画のページに飛べますので、ぜひどうぞ~!
「フリード様、私が『黙示録の眼』で未来視をします」
ステラの声が聞こえた。
彼女の髪を使った念話である。
「そうすれば、フリード様に最適の戦術をお伝えできるはずです」
「──いや、未来視は温存しておいてくれ」
俺は少し考え、そう返答する。
「ですが……」
「今後、もっと厳しい局面でお前の力に頼ることになると思う。だから、今は使わなくていい」
「お言葉ですが、その『厳しい局面』が今なのでは?」
ステラは珍しく引き下がらない。
「私は……心配です。あなたに万が一のことがあれば、と」
「気遣ってくれるのはありがたいよ。今だけじゃなくて、いつも──」
俺はフッと微笑んだ。
「だけど、今は俺を信じてほしい。奴らを打ち破る策なら、ある」
「えっ」
「半分思いつきだが──」
「……分かりました。では、ここからあなたのご武運をお祈りします」
ステラも微笑んだようだ。
「でも、危なくなったらすぐに引いてくださいね。約束ですよ」
「やっぱり心配か。分かった、約束しよう」
俺は微笑を苦笑に変えて答えた。
それから、あらためてノワールと向き直る。
「相談は済んだかい?」
「ああ、待たせたな」
「何、ゆっくり決めればいい。次の攻防で君は死ぬ。覚悟を決めてから、かかって来るんだね」
「覚悟ならもうあるさ」
俺は魔力剣を手に、空中を前進する。
そして──一気に加速した。
「お前を斬る、覚悟だ!」
「僕を斬る? 笑わせるな!」
ノワールが神気弾を放った。
同時に、他の三使徒も撃ってくる。
三百六十度、逃げ場のない全方位攻撃──。
「おおおおおおおおおおおおっ!」
刹那、俺は魔力剣を旋回させた。
神気弾を斬り散らすため──ではない。
周囲の空間を切り裂くためだ。
「何っ……!?」
驚きの声を上げるノワール。
俺の周囲の空間が幾重にも切り裂かれ、無数の神気弾はその中に吸いこまれて消えた。
空間の裂け目同士の隙間を通り、俺は一気にノワールへと肉薄する。
「くっ、魔力斬撃でこんな防御を──」
「俺なりの『拒絶』というところだな。さあ覚悟を決めろ、ノワール!」
俺は黒紫色の魔力剣をノワールに向けて振り下ろす──。
「させぬ」
そのとき、上空で強烈な輝きが弾けた。
すさまじいエネルギー密度の神気弾が降り注ぐ。
「くっ……!」
俺はとっさに飛行魔法の軌道を変え、全速力で逃れた。
「誰だ──」
見上げると、そこには光り輝く巨人がたたずんでいた。
身長は百メートルを超えるだろうか。
今まで感じたことがないほどの、強烈な威圧。
そして、神気。
まさか、こいつは──。
「控えよ、魔族。我こそは」
光の巨人が名乗る。
「神である」
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