11 魔と天と人の死闘4
虹色の輝きに包まれた勇者たちが、四方に散った。
各部隊が魔族の軍に正面から斬りかかる。
いきなり総力戦の様相だった。
魔王軍はヴェルファーとジュダが中央を固め、四人の魔軍長がその周辺に陣取る。
俺も、加勢しなければ。
「『ホーミングブラスト』!」
呪文を唱える。
無数の光弾が上空に打ち上がり、そこから一気に降り注いだ。
自動追尾魔法『ホーミングレイ』の強化版である。
これで勇者たちをある程度追い払えるならいいんだが──。
ばぢぃぃぃっ!
奴らのまとう虹色の輝きは、俺の魔法を弾き散らした。
「やはり、リアヴェルトと同じ力か……」
神の力の一部を借り受け、あらゆる魔の攻撃を『拒絶』する──。
しかも、数百、数千という数の勇者たちが全員その力を備えているのだ。
「厄介だな」
「敵は勇者です。ここは私にお任せを」
リーガルが進み出た。
「魔王軍に加勢してきます」
「リーガル……」
「その間に、王は使徒を」
リーガルが空を見上げる。
数百メートル上空に浮かぶ、天使のようなシルエット。
彼らから放たれた光が、勇者たちに降り注ぐ。
そのたびに、勇者たちの体を覆う虹色の輝きが、光度を増していく。
おそらく──あれは『補給』だ。
勇者たちに分け与えている『神の力』は一定時間が経つと、消えるか薄れるんじゃないだろうか。
だから、使徒たちがそのたびに『神の力』を補給しているんだろう。
そこを断てば──勇者たちは力を失う。
戦況は魔王軍有利へと傾くだろう。
「……分かった」
うなずき、俺は飛行魔法を唱えた。
まず、上空の使徒を討つ──。
「ステラ、俺は空にいる使徒たちを討つ。お前の『眼』で何かに気づいたら、教えてくれ」
「承知しました、魔王様」
「じゃあ、行ってくる」
俺は飛行呪文を唱えようとする。
そのとき、ステラが俺の手を軽く握った。
「……ステラ?」
「ご武運を」
俺を見つめるステラの瞳は、かすかに濡れている。
「ああ、大丈夫だ。必ずお前の──お前たちの下に戻る」
言って、俺は空を翔ける。
上空には赤、青、白、黒の衣をまとう四人の少年少女がいた。
いずれも息を呑むほど美しい容姿をしている。
背から翼を生やし、頭上にはまばゆい光輪が浮かんでいる。
「僕らは神の御使い──使徒と呼ばれしもの」
黒い衣の少年が言った。
「僕は黒の使徒、彼女は紅の使徒」
隣に浮かぶ、紅の衣の少女を指し示す。
双子なのか、そっくりの顔立ちだ。
「翠の使徒」
さらに隣の少年を指さす。
遠目からは青い衣に見えたが、近くで見ると美しい翡翠色をしていた。
「そして白の使徒」
純白の衣をまとった少女だ。
「我ら四人の使徒、神のご意思に従い、魔王軍を殲滅する」
殲滅、か。
「そうはさせない──」








