表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第12章 運命の果て

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

141/193

8 魔と天と人の死闘1

「魔王様、聖なる気配の濃度が急上昇しています──」


 俺の側でステラが警告した。


「前回の天軍兵器の比ではありません。もっと強大な力を持つ者が──おそらく四体!」

「四体、か」


 俺は気を引き締め直す。


 右隣にはリーガルがいて、すでに剣を抜いていた。

 オリヴィエは後方で、負傷者の回復役として待機させている。

 ステラは瞳術で戦況を把握し、俺やリーガル、オリヴィエに指示を出す『司令塔』の役割だった。




 次の瞬間、空が割れた。




 天空に走った亀裂から、赤、青、白、黒──四色の光が弾ける。

 その光は、それぞれ翼を備えた人型へと姿を変えた。


「使徒……か」


 ヴェルファーがうなった。


「神の側近にして、神に準ずる力を持つ戦士……!」


 なるほど、今回は強敵のようだ。


 それぞれが赤、青、白、黒の衣をまとい、背から翼を、頭部には光輪を輝かせた少年少女たち。

 全員から、すさまじいまでの神気を感じた。


「人間界を戦場に選ぶとは……」


 使徒の一人が俺たちをにらんだ。

 赤い衣をまとった可憐な少女だ。


「いざとなれば人間たちを盾に取る気か? だが甘い」

「我らは、いざとなれば躊躇なく人間を切り捨てる」

「魔を討つという大義の前に、犠牲はやむなし」


 使徒たちの声は、冷たい。

 人間をかばって本来の力が発揮できない……なんてシチュエーションは起きなさそうだった。


「まあ、相手が縮こまってくれたら儲けもの程度の策だからね」


 ジュダが笑う。


「貴様ら、たった四人で魔王軍の精鋭に立ち向かうつもりか!」


 ヴェルファーが傲然と叫んだ。

 大気を震わせるような──いや、爆砕させるかのような、すさまじい威圧感のこもった咆哮である。


 おそらく普通の人間が聞けば、それだけで魂まで砕かれるだろう。

 声だけでこれほどの『力』がこもっているのは、さすがに始まりの魔王だけのことはある。


「舐めるなよ、神の手先が!」


 その体が三面六臂へと変化する。


「邪悪な気配……お前たち魔の者は存在してはならない」

「お前たちの存在が人や神の世界を脅かし、多くの命が奪われ、傷つけられ、壊され、そして滅ぶ」

「ゆえに消去する」

「我らの神がそう決めた」

「俺たちは何もしていない。最初に攻めてきたのは、お前たち天軍だろう!」


 ヴェルファーが声を張り上げる。

 怒りと、そして悲しみが混じった声音だった。


「なぜだ!? 俺たちは魔界で暮らしていた。そりゃあ、中には争いを好む奴もいる。魔族同士の争いなんていくらでもある。だが、人や神の世界に手を出したことはなかった! 俺たちは俺たちの世界だけで生きてきた。それをお前たちが──」


 ぎりっと三つの口でそれぞれ奥歯を噛みしめるヴェルファー。


「お前たちは一方的な殺戮を行った。俺たちを邪悪と決めつけ、幼子も老人も関係なく、男も女も関係なく、無差別に、無慈悲に、殺し続けた!」

「お前たちは存在そのものが邪悪。ゆえに消去したまで」


 使徒たちが一斉に告げる。


「我らと天軍兵器、そして人間たちから選抜した勇者軍の力を合わせても、なかなかにしぶとく生き残るお前たち──だが、それも終わりだ」

「魔界の歴史は今日、終わる」


 四人の使徒が同時に両手を突き出した。

 その手のひらに、赤、青、白、黒──彼らの衣と同色の輝きが宿る。


「『天想烈壊聖燐弾(ヘブンズストリーム)』!」


 放たれる四つの光弾。

 それは空中で一つに交じり合い、より巨大な光弾と化した。


 灰色に淀んだ、不気味な光弾だ。


 あれは確か、勇者軍も使っていた合体技──?


「勇者が使っていた技は、我らが教えたもの。こちらが本家本元だ!」


 俺の内心の疑問に答えるように、使徒たちが叫んだ。

 確かに、数百人の勇者が放った同じ術と比べて、たった四人の使徒が繰り出したこの光弾の方が、けた違いの神気を放っている。


 生半可な魔法では防げない……!


 俺は即座に右手を突き出した。


 打ち合わせも何もしていないにもかかわらず、ヴェルファーとジュダもまったく同じタイミングで、まったく同じ動作を行う。

 そして、


灼天の火焔(メガファイア)!」


 俺の、ジュダの、そしてヴェルファーの呪文が唱和した。


 最大級火炎呪文の三重奏──。

 三つの火炎は、使徒の術と同じく空中で融合し、


「合体魔法──『超焔灼天爆導破(イクシードメギド)』!」


 赤から黒……そして、さらに純白へと変色した巨大な火球が、天使の光弾と激突する。


 大爆発とともに吹き荒れた破壊エネルギーが、地平線にまで駆け抜ける──。

【大事なお知らせ】

『愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る』の3巻がサーガフォレスト様からいよいよ明日2月15日発売です!

4巻以降が出せるかどうかは今回の売り上げにかかっているため、ぜひよろしくお願いします~!

3巻の書影です↓

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して

★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。




▼書籍版1~3巻発売中です!

actefkba5lj1dhgeg8d7ijemih46_cnq_s1_151_p3li.jpg av1c16pwas4o9al660jjczl5gr7r_unu_rz_155_p11c.jpg rk21j0gl354hxs6el9s34yliemj_suu_c6_hs_2wdt.jpg

▼コミック1~4巻発売中です!

6q9g5gbmcmeym0ku9m648qf6eplv_drz_a7_ei_1dst.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ