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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第12章 運命の果て

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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5 始まりの魔王と不死王3

随分と間が空いてしまいましたが、更新再開です。

続刊やコミカライズ関連は情報が出せる時期になり次第、という感じですが……まずはなろう版の更新をちょこちょこと進めていきますm(_ _)m


【20.1.11追記】

3巻発売が決定いたしました! これも1巻や2巻を買ってくださった方々のおかげです! ありがとうございます!

3巻は2月15日発売予定ですので、ぜひよろしくお願いいたします~!


「さあ、存分に戦おうか!」


 三面六臂──全力の戦闘形態となったヴェルファーがリーガルに襲いかかる。


「これは──!?」


 一瞬にして、悟った。


 受けきれない。

 逃げ場もない。


 この一度の攻防が終われば、自分は確実に斬り伏せられる──。


(これが『始まりの魔王』の真の実力か……)


 剣士としての数千年の鍛錬すらも、ヴェルファーには遠く届かない。

 気圧され、闘志が萎んでいくのを抑えられない。


「どうした、諦めたか!」



 吠えるヴェルファー。


「私は……」


 斬られる。

 負ける。

 ──いや、違う!

 ──黙って斬られてなど、たまるものか!


 失いかけた戦意が、ふたたび湧き上がる。


 本能なのか、それとも単なる意地なのか。

 リーガル自身にもよく分からないまま、前に進み出た。


「はあああああああああああああっ!」


 裂帛の気合とともに、ヴェルファーが六本の剣を繰り出す。


 リーガルは避けなかった。

 骨の体が無数に切り裂かれる。


「剣士として、私はあなたに及ばない──だが!」


 髑髏の眼光が強烈に瞬く。


「アンデッド剣士としての私は、別だ!」

「何……!?」


 ヴェルファーによって切り裂かれた骨の体。

 そのいくつかが刃のようになって、ヴェルファーへと向かっていく。


 ──否。

 最初から飛び道具として使うために、わざと斬らせたのだ。


「アンデッドの体自体を武器に……!?」

「それも、違います」


 リーガルはすべての瘴気を一気に噴き出し、右腕を飛ばした。


 骨の体で作り出した刃と、右手の剣との、二重攻撃。

 剣士としての実力と、アンデッドとしての特性を融合させた、リーガルだけが繰り出せる剣技──。


「くっ……!」


 ヴェルファーは肩や脇腹を浅く切られつつ、骨のすべてを叩き落し、リーガルの右腕も切り裂いた。


「──やはり、お強い」


 頭蓋骨だけになったリーガルが床に転がる。


「いや、ヒヤリとさせられた。想像以上に腕が立つようだ」


 ヴェルファーが剣を下す。

 その顔はわずかにこわばり、頬に汗が伝っていた。


「強いな、お前は。楽しかったぞ」


 満面の笑みを浮かべる、始まりの魔王。


「……お楽しみいただけたのであれば、何よりです」

「お前はどうだ? 楽しめたか」


 ヴェルファーがたずねる。


 リーガルはハッとなった。


(まさか、この方は最初から俺の気分を晴らすために……)


 気遣ってくれた、というのか。


「お前が戦う理由は、人間への恨みだったな……だが、お前を動かしているのはそれだけではあるまい?」

「…………」

「武人としての誇り。そして、捨てきれない情──お前は怨念と情の狭間で揺れ動いている。おそらく数千年の間、ずっと」

「何もかもお見通しというわけですか」

「見通しているわけじゃない。なんとなく、そう感じるだけだ」


 ヴェルファーが笑う。


「お互いに武人同士。剣で語らった仲だからな」

「恐れながら、陛下は人間どもをどうなさるおつもりですか?」


 今度はリーガルがたずねた。


「歴代の魔王はおおむね人間とは敵対関係にありました。魔族にとって人間とは敵以外の何物でもありません」

「フリードはそう考えてはいないようだが、な」


 ヴェルファーは苦笑し、


「俺も人間を好んでいるわけではない。かつて──まだこの魔界に結界がなかったころ、人間たちの大規模侵攻があった」

「大規模侵攻──?」


 初めて聞く話だった。


「奴らは俺たちを一方的に悪と断罪し、攻め入ってきたのだ。俺たちは苦もなくそれを跳ね除け、逆に奴らの世界へと攻め返した」


 と、ヴェルファー。


「報復だ」

「報復……」

「人間どもは魔族ほどの力はないが……それでも最初の侵攻で殺された魔族たちもいた。彼らの無念を晴らすため、俺は軍を率いて人間界へ攻め入った」


 ヴェルファーの表情は厳しかった。


「だが、結局は殺し合いの連鎖が続くだけだ。憎しみをぶつけ、相手もまた憎しみを返し──俺たちは最終的に魔界へと戻り、魔界全体に結界を敷いた」

「それ以上の戦いを避けるために、ですか?」

「そうだ。だが今は──その結界も破られ、ふたたび戦端は開かれた。しかも、今度は天軍までが攻め入ってきた。降りかかる火の粉は払う必要がある」


 ヴェルファーはため息をついた。


「俺は人間を好んではいないが、かといって憎み切れてもいないんだろう。そんな気持ちを抱いている暇があるなら、魔界の統治のために時間を使いたい。要は、気持ちの優先順位の問題なんだろう」

「優先順位……ですか」

「憎悪も誇りも情も──すべてがお前だ。その中から、お前が大切にするものを選び、お前が行く道を決めればいい」

【大事なお知らせ】

『愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る』の3巻がサーガフォレスト様から2月15日発売予定です。

4巻以降が出せるかどうかは今回の売り上げにかかっているため、ぜひよろしくお願いします~!

3巻の書影です↓

挿絵(By みてみん)

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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。




▼書籍版1~3巻発売中です!

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▼コミック1~4巻発売中です!

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