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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第12章 運命の果て

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2 安らぎの宴

「『黙示録の眼』をふたたび使えるようになるまで、しばらく時間がかかります。再使用が可能になり次第、変化した未来をもう一度予知しますね」


 ステラが言った。


「ああ、俺たちが──そしてヴェルファーたちが平和でいられる道が見つかるといいな」


 俺は半ば祈るような気持ちでつぶやく。

 ステラが俺の腕に寄り添い、うなずいた。


「ええ」


 ぎゅうっ、と腕にしがみつかれた。


 ……というか、しがみつきすぎだ。

 彼女の柔らかな胸が思いっきり俺の腕に押しつけられている。


「……ステラ?」


 俺だっていい年だ。

 うろたえて騒ぐような年齢じゃない。


 とはいえ、さすがに少し照れるのも事実だった。


「あたし~、ちょっと気持ちよくなってきちゃいました」

「何?」

「フリード様ぁ、せっかくの宴ですし飲みましょう~」

「ステラ……?」


 いつものクールぶりはどこへ行った?


 そういえば、魔界で初めて開いた宴でも、酔った彼女はこんな感じだったかもしれない。

 あのころは、俺もまだ魔王に転生したばかりで右も左も分からない状態だった。


 ステラには、あのときからずっと助けられている。

 そして今も──。


 懐かしい記憶とともに、感慨に耽った。


「ささ、一杯どうぞ……おっとと」

「おい、ステラ。体がふらついてるぞ」

「きゃあっ」


 よろけた彼女を、俺は右腕で抱き留めた。


「大丈夫か」

「フリード様ぁ」


 甘えたような声で、ステラはそのまま俺の胸元にしなだれかかる。


「温かい、です……フリード様……」

「ステラ……」


 俺は右腕に力を込め、彼女をより強く抱きしめる──。


    ※


 オリヴィエは、寄り添うフリードとステラの姿を遠目に見つめていた。


「魔王様とお姉さま、いい雰囲気ですね~」


 うっとりとつぶやく。


 普段のクールなステラもいいが、酔って人懐っこい感じになった彼女も、またいい。

 すごく、萌える。


「お姉さま、やっぱり魔王様のことを──ふふふ」

「さっきから魔王様ってなんのこと?」


 アルフィナが首をかしげた。


「ヴェルファー様なら、向こうにいるんだけど……?」

「あ、違った。フリード様です」


 オリヴィエは慌てて口をつぐんだ。

 この時代においては、魔王はヴェルファーなのだ。


「ふふ、ちょっと酔ってるのかしら? そういうところも可愛いわ~」


 アルフィナがオリヴィエにしなだれかかる。

 ふうっとワインの匂いが混じった甘い息を吹きかけられ、体中がゾクゾクした。


「アルフィナ様ぁ……」

「可愛い……もふもふしたい……」

「ど、どうぞ、あたしでよければ……」

「もふもふもふもふっ」

「ひあぁぁ、くすぐったいですぅ」

「何よ、二人して~。あたしの噂でもしてたの?」


 ふと気づくと、ステラがこちらを見ていた。

 口元にニヤリとした笑みを浮かべている。


「ほらほら、フリード様。彼女たちも一緒に楽しく飲みましょう~」

「ステラ、少しペースを控えたらどうだ?」


 フリードが苦笑しながら、ステラの後ろからやって来た。。


「うふふふ、楽しい~」

「お姉さま、酔ってますね~」

「あたしは素面よ~。あ、オリヴィエ可愛いね。もふもふしちゃお」

「お姉さま、完全にキャラ変わってますぅ。そんなところも萌えます、素敵です……きゃんっ」

「もふもふもふ~」


 戸惑うオリヴィエの狐耳を、ひたすらもふもふするステラ。


「アルフィナよりもっともふもふしちゃう~」


 どうやら、先ほどのやり取りを全部みられていたらしい。


「あ、お姉さま。言っておきますけど、あくまでもあたしの本命萌えはお姉さまですからっ」


 オリヴィエは慌てて言った。


 アルフィナも素敵な女魔族だが、やはりオリヴィエとしてはステラにもっとも萌える。

 クールさと優しさ、そして酔った姿は茶目っ気すらある。


「ふーん、あたしは一番じゃないんだ」


 と、ジト目のアルフィナ。


「あ、でもでもっ、アルフィナ様も美しくて素敵ですぅ。お姉さま×アルフィナ様というのもいいですね……無限に広がる魅惑の百合ワールド……うふふふふ」


 オリヴィエはにっこり笑って、妄想を加速させた。


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