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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第11章 神話の戦い

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17 加勢

 俺は飛翔魔法で戦場へと向かった。


 ステラたちはその場に残し、天軍の別働隊に備えてもらった。

 ほどなくして最前線に到達する。


「ヴェルファー!」


 数百の天軍兵器と格闘中の魔王に呼びかけた。


「フリード──」


 驚いたように振り返るヴェルファー。


「持ち場を離れて悪いが、今は加勢すべきときだと判断した」


 説明する俺。


「向こうにはステラたちを残してあるから大丈夫だ。俺もここで戦う」

「君が来てくれると心強いね、魔王様」


 ジュダがにっこり笑いながらやって来る。


 余裕の態度ではあるが、紫色の衣装のところどころに焼け焦げや煤がついている。

 さすがのジュダもこの数を相手に手こずっているようだ。


 それはヴェルファーも、そして四大魔軍長も同じだろう。


 戦局を長引かせる前に、一気にカタをつけるか。


「『ホーミングレイ』」


 俺は目標を自動探知する魔力弾を数百単位で放った。


 相手の装甲強度を調べる意味もあり、まずは小手調べ代わりの小技だ。


 戦場に爆光の花が咲く。

 連鎖的な爆発が、周囲を真紅に染める。

 だが──、


「やはり、この程度じゃ破壊は無理か」


 さすがにミスリル製の天軍兵器は魔法耐性が強い。


「もっと強力な呪文を叩きこむしかないな……」


 周囲をあらためて見回す。


 巨大な竜──ジードが数十の天軍兵器に囲まれているのが見えた。

 スライムのナバームや女剣士アルフィナ、アンデッドのヘイゼルも物量を前に押しこまれ、防戦一方だ。


「広範囲高火力魔法は周囲を巻きこむし──できれば、一か所に集めて焼き払いたいが」


 俺は唇をかみしめた。


「集めるだけなら、なんとかなるよ」


 ジュダが言った。


「何?」

「一分ほど閉じこめることも、できる。その時間内で奴らを全滅させられる魔法の心当たりが?」

「ああ、一つな」


 うなずく俺。


「じゃあ、私がおぜん立てをしよう」


 言って、ジュダが上空へと飛び上がる。


「この呪文は長期詠唱(チャージ)が必要なんだ。その間、フリードくんは奴らを牽制して。ヴェルファーは適当に暴れ回って」

「わかった」

「なんだ、適当に暴れ回れって」


 俺はありったけの『ホーミングレイ』を撃ち続けた。

 ヴェルファーもさっきのジュダの言葉に苦笑しつつ、手近の天軍兵器を片っ端から切り裂き、吹き飛ばしていく。


『魔族よ……滅べ……』

『邪悪なる者たちよ……滅べ……』


 天軍兵器から、そんな声が聞こえる。


『滅べ……』

『滅べ……』

『滅べ……!』


 それも数百体から同時に。


 かつて戦った『天想覇王』と同じだ。


 奴らは、魔族を殲滅するという意志のみで動く。

 慈悲の欠片もない、冷徹な殺戮兵器──。


「魔族だからって……滅ぼされなくてはならない謂われなんてない!」


 俺は思わず叫んでいた。


 かつて勇者だったときは──神の側で戦っていたときは、俺にとって魔族は敵だった。


 だけど今は違う。

 もう、違うんだ。

 守るべき仲間であり、大切な居場所になったんだ。


 だから、戦う。


 俺は、戦い続ける──。


「よく持ちこたえてくれたね。おかげで呪文が完成したよ」


 と、背後からジュダの声がする。


「魔族を守りたいという君の想いは本物みたいだね」


 ジュダは笑っているようだ。

 嬉しそうに。


「さあ、次は私がやる番だ──『ディメンションコフィン』!」


 ジュダが呪文を唱えた瞬間、周囲の大気が──いや、空間そのものが鳴動した。


 天軍兵器がいっせいに淡い黄白色の輝きに包まれる。


 次の瞬間、奴らが俺の前方に集まって来た。

 同時に光の檻のようなものが奴らをまとめて閉じこめる。


「ふうっ……」


 ジュダが大きく息を吐き出した。


「数百体の座標指定と空間移動、そして封鎖──空間に作用する複合魔法は、さすがに疲れるね」

「これは──」


 理屈は分からないが、とにかく俺の前にすべての天軍兵器が集まったようだ。

 攻撃射線上に味方を巻きこまない位置で。


「俺のときにそれをやっていればよかったんじゃないか?」


 ヴェルファーがツッコんだ。


「この魔法は私の魔力をほとんど使い果たすからね。君の攻撃魔法でも、さすがにこの数を一撃で薙ぎ払うのは無理だろう? 生き残った敵に反撃を受けてはたまらない」


 と、ジュダ。


「あの光の檻の保持時間は約一分。その間に決着をつけてくれるかな、フリードくん」


 微笑みながら、俺を見る。

 あいかわらず飄々とした笑顔だが、その瞳は真剣だった。


 一撃で、こいつらを薙ぎ払う──。

 それを期待して、今の魔法を使ってくれたんだろう。


「──後は任せろ」


 俺はジュダに力強くうなずき、魔力を一気に高めた。


 さあ、仕上げだ。

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