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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第11章 神話の戦い

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125/193

12 二人の魔王3

コミカライズ決定しました!

書籍版2巻は5月15日発売です!

よろしくお願いします~!(*´∀`*)

「魔界を平和に暮らせる場所にしたい……か」


 ジュダが嬉しそうに笑った。


「ん、なんだ?」

「いや、ヴェルファーと同じことを言うからさ」


 にっこりと俺を見つめるジュダ。


 その姿が、現代のジュダと重なる。


 普段の飄々とした笑みとは、微妙に違う。

 ごくまれに見せてくれる、心からの喜びの顔──。


「案外、似た者同士かもしれないね」

「ははは、じゃあ、お前にも王の器ってやつがあるわけだ」


 ヴェルファーが豪快に笑った。


「そうかな? 王にしてはお人よしすぎるよ。君も、フリードくんも」

「そう褒めるなって」


 ジュダが肩をすくめるが、ヴェルファーは意に介さない。

 というか、ナチュラルに俺も一緒に落とされたような……。


「褒めてないんだけど」


 と、ジュダ。


「照れるな照れるな」

「照れてもいないよ」

「俺は知ってるぞ。そういうのを確か『ツンデレ』って言うんだよな? この間、アルフィナに教わった」

「まったく、君は……」


 言いながら、ジュダの微笑に苦笑が混じった。


 そんな二人の和やかな雰囲気に、俺もつられて微笑んでしまう。




 ……どくんっ!




 心臓の鼓動が、急に早まった。


「なんだ……!?」


 どくん、どくん、と嫌な動悸がする。


「どうかしたのか、フリード?」

「フリードくん?」


 ヴェルファーとジュダが訝しむ。


「嫌な感じがする……これは」


 俺は気を引き締め、周囲を見回した。


 そして、ハッと気づく。

 上空の一角に、黄金の輝きが波紋のように広がっていくのを──。


 波紋の中心部に光り輝く巨大な円陣が出現する。


 その内部から、無数の影が現れた。


    ※


 天界──。

 全長百メートル以上はある巨大な椅子に、座している者があった。


 神々のうちの一柱だ。


「時は来た」


 神は、足元にかしずく天使たちに告げた。


「邪悪なる者ども──魔族と称する連中を、今こそ駆逐するのだ」

「かしこまりました、神よ」

「お任せくださいませ」

「天軍を率いて、すぐに魔界へ侵攻を」


 口々に告げる天使たち。

 神はかすかに微笑み、それを制した。


「まずは露払いをさせる」

「露払い……?」


 天使の一人がたずねる。


「見よ」


 神は右手を軽く振り上げた。


 中空に映像が浮かび上がる。


 太陽がまったく差さない暗黒の世界──魔界。

 その一角に巨大な穴が開き、そこから無数の人影がなだれ込む。


 天軍の下級天使や神造兵器ではない。


「人間……?」


 天使たちが眉を寄せる。


「我が直々に選んだ人間どもだ。いずれも一定水準以上の精神力を備えている」

「魔界攻略戦に……人間たちを使うのですか?」

「彼ら──『勇者』たちには、我が力の一部を具現化させる兵器を与えた」


 訝しむ天使たちに、神が告げた。


「それなりの戦力にはなるはずだ。まあ、しょせんは使い捨ての駒だが──」


 と、神が告げる。


「我の力でなんとか魔界まで送りこむことができた。後は、人間どもが魔族軍を少しでも削るだろう。主戦力である汝らはその後に出陣し、とどめを刺すのだ──よいな?」

「御意」


 天使たちは恭しくうなずいた。

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