12 二人の魔王3
コミカライズ決定しました!
書籍版2巻は5月15日発売です!
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「魔界を平和に暮らせる場所にしたい……か」
ジュダが嬉しそうに笑った。
「ん、なんだ?」
「いや、ヴェルファーと同じことを言うからさ」
にっこりと俺を見つめるジュダ。
その姿が、現代のジュダと重なる。
普段の飄々とした笑みとは、微妙に違う。
ごくまれに見せてくれる、心からの喜びの顔──。
「案外、似た者同士かもしれないね」
「ははは、じゃあ、お前にも王の器ってやつがあるわけだ」
ヴェルファーが豪快に笑った。
「そうかな? 王にしてはお人よしすぎるよ。君も、フリードくんも」
「そう褒めるなって」
ジュダが肩をすくめるが、ヴェルファーは意に介さない。
というか、ナチュラルに俺も一緒に落とされたような……。
「褒めてないんだけど」
と、ジュダ。
「照れるな照れるな」
「照れてもいないよ」
「俺は知ってるぞ。そういうのを確か『ツンデレ』って言うんだよな? この間、アルフィナに教わった」
「まったく、君は……」
言いながら、ジュダの微笑に苦笑が混じった。
そんな二人の和やかな雰囲気に、俺もつられて微笑んでしまう。
……どくんっ!
心臓の鼓動が、急に早まった。
「なんだ……!?」
どくん、どくん、と嫌な動悸がする。
「どうかしたのか、フリード?」
「フリードくん?」
ヴェルファーとジュダが訝しむ。
「嫌な感じがする……これは」
俺は気を引き締め、周囲を見回した。
そして、ハッと気づく。
上空の一角に、黄金の輝きが波紋のように広がっていくのを──。
波紋の中心部に光り輝く巨大な円陣が出現する。
その内部から、無数の影が現れた。
※
天界──。
全長百メートル以上はある巨大な椅子に、座している者があった。
神々のうちの一柱だ。
「時は来た」
神は、足元にかしずく天使たちに告げた。
「邪悪なる者ども──魔族と称する連中を、今こそ駆逐するのだ」
「かしこまりました、神よ」
「お任せくださいませ」
「天軍を率いて、すぐに魔界へ侵攻を」
口々に告げる天使たち。
神はかすかに微笑み、それを制した。
「まずは露払いをさせる」
「露払い……?」
天使の一人がたずねる。
「見よ」
神は右手を軽く振り上げた。
中空に映像が浮かび上がる。
太陽がまったく差さない暗黒の世界──魔界。
その一角に巨大な穴が開き、そこから無数の人影がなだれ込む。
天軍の下級天使や神造兵器ではない。
「人間……?」
天使たちが眉を寄せる。
「我が直々に選んだ人間どもだ。いずれも一定水準以上の精神力を備えている」
「魔界攻略戦に……人間たちを使うのですか?」
「彼ら──『勇者』たちには、我が力の一部を具現化させる兵器を与えた」
訝しむ天使たちに、神が告げた。
「それなりの戦力にはなるはずだ。まあ、しょせんは使い捨ての駒だが──」
と、神が告げる。
「我の力でなんとか魔界まで送りこむことができた。後は、人間どもが魔族軍を少しでも削るだろう。主戦力である汝らはその後に出陣し、とどめを刺すのだ──よいな?」
「御意」
天使たちは恭しくうなずいた。








