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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第11章 神話の戦い

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7 神の試練・さらなる先へ1

「ヴェルファー? まさか、あの『始まりの魔王』ですか」

「ああ。俺とステラ、オリヴィエは彼の元に留まっている。リーガルも一緒に来てほしい」


 俺はリーガルに、ヴェルファーのことを語った。

 俺たちが置かれている現在の状況を含めて。


「そういえば、まだ魔軍長の方々と会ってません、あたし」


 オリヴィエが横から言った。


「魔軍長の中には女性もいるんですよね? 美人ですか? 可愛いですかっ?」


 キラキラと目を輝かせる。

 口元からはヨダレが垂れていた。


 こいつは、可愛い女の子に異様に萌える性質だからな。

 過去に来ても性癖全開、オリヴィエはどこまでもオリヴィエだった。


「『雷覇騎士(ライトニング)』アルフィナ──剣士タイプの魔族のようだ。外見は可愛らしい少女、といった感じだな」


 ステラが説明する。


「……何かよからぬことを考えていないか?」


 ジト目でオリヴィエを見るステラ。


「ふふ、ご心配なさらず。あたしの最萌えはお姉さまですからっ」

「別に心配していないが」

「そういうクールなところも素敵です」

「そ、そうか……」


 たじろぐステラ。


「かしましい会話はそこまでにして──王よ、ヴェルファーの元に留まっている理由はなんでしょう?」


 果てしなく脱線しそうな会話の流れを、リーガルが戻した。


「目的は──とりあえずの拠点といったところだな。何しろ、俺たちには未知の世界だ」


 俺が答えた。


「向こうからの要求は?」

「できれば、仲間に加わってほしいと言われている。天軍との戦いに向けて」


 ふたたび答える俺。


「だが──過去の世界で戦えば、未来がどうなるか分からない。俺たちがいた時代にどんな影響が出るのかも……な」

「なるほど、私たちの存在が消えることもあり得るわけですな」


 リーガルがうなずく。


「最終的にどうするかは未定だが、まずはこの時代に来た魔族全員と合流すること、そして情報収集──この二点を考えていた。ただ前者はとりあえず達成したから、あとは後者だな」

「では、私も参りましょう。魔王様に従って」

「……私はお前を信用していないからな、リーガル」


 じろりとリーガルをにらむステラ。


「お姉さま、目が怖いです……」


 オリヴィエがおびえたようにつぶやく。


「今は一致団結して、無事に元の時代に戻れるように行動しよう。いいな?」


 俺はあらためて全員を見回す。

 チームワークには大いに不安を抱く集まりではあるが、ともあれ俺たちは魔王城に戻った。


    ※


 白い輝きに覆われた異空間──勇者ギルドの本拠、大聖堂(カテドラル)にある『神託の間』だ。


 そこは、地上で『神』と交信できる唯一の場所だった。


 ルドミラ、フィオーレ、シオン──四天聖剣の三人は、そこで神の使徒であるルージュとノワールから修行を受けていた。


「すべての存在は因果に縛られています」


 ルージュが告げた。

 赤い衣装をまとった神の使い──いわゆる天使のような存在だ。


「すべて──とは、神や魔族も含むすべての存在だね」


 黒を基調とした衣装をまとった少年、ノワールが告げる。

 彼はルージュの双子の兄であり、同じく使徒だった。


「どんな者も因果からは……運命からは逃げられません」

「運命を変えられる者はいないんだ」

「ただし、例外があります」

「それは『因果の外に在る力』を得た者」


 双子の使徒は謳うように告げる。


「それはこう呼ばれている──『運命を超越せし者(フェイトブレイカー)』と」


 最後に二人はそう締めくくった。


「前振りの説明はこれくらいにしておきましょうか」


 ルージュが微笑み、ルドミラたちを見回す。


「君たち三人をあらためて鍛えてあげよう」


 ノワールも同じく微笑んだ。




 そして──神の使徒による修業が始まる。


 ルドミラたちが、さらなる力を身に着けるために。

 限界の先へ進むために。


 魔王を、倒すために──。

※日曜更新予定でしたが、少し早めての更新です。次回は3月31日(日)更新予定ですm(_ _)m

【3月31日追記】書籍版2巻の発表が公式から近々ある予定なので、それに合わせて更新しようと思います。4月1日以降に更新がズレる可能性もあります。申し訳ありません……(´Д⊂ヽ


サーガフォレスト様から出版されている書籍版の続刊が決まりました! 読んでくださった方、購入してくださった方、本当にありがとうございましたm(_ _)m

発売日等の詳細は別途お知らせいたします!~

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