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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第11章 神話の戦い

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5 一夜明けて

 俺とステラは同じ部屋を用意されたらしい。


「ヴェルファーはどういうつもりなんだ……?」

「同じ部屋……のようですね」


 ステラも困惑気味だった。


「ヴェルファーのところに行って、もう一つ部屋を用意してもらえるように頼んでみよう」


 俺は彼女に言った。


「まさか、同じ部屋で寝るわけにもいかないしな」

「………………………………私は、フリード様がお望みなら……」

「えっ?」

「い、いえ、なんでもありませんっ……本当になんでもないですからっ!」


 ステラが顔を赤くして叫んだ。

 と、


「なんだ。お前たちはそういう関係ではなかったのか?」


 ヴェルファーがいつの間にか背後に立っていた。

 ジュダも一緒だ。

 さらに、


「こんなかわいい子と……うらやまけしからん」

「まったく、爆発してほしいものだ」

「う、羨ましくなんてないからな……本当だからな……」


 魔軍長たちまでやって来た。

 それぞれが歯噛みして俺たちを──というか、俺をにらんでいる。


「おっさんと美少女のカップル……萌え……」


 例によって、一人だけ反応が違うが。


「面白そうだから、迷彩系の魔法で気配を消して様子を見ていたんだよ」


 ジュダが悪戯っぽく笑った。

 過去の世界でも性格は変わってないな……いや、当たり前か。


「わ、私はあくまでもフリード様の補佐です。そのようなこと、畏れ多い……」


 ステラがモジモジとした。


 全員の視線にさらされて照れているのか。

 普段のクールさの面影もない。


「恋愛は自由だよ。別にいいんじゃない?」

「フリードもまんざらじゃなさそうだし、な」


 ニヤリと笑うヴェルファー。

 邪気のない笑顔に、俺は思わず苦笑を返した。


「もし部屋が余っているなら、分けてもらえるとありがたい」

「ん、一緒でなくていいのか?」

「いや、まあ……」


 微妙に答えに困りつつも、俺は言った。


「隣部屋くらいで……」

「ははは、いいだろう。この部屋の隣も空いているから、それを使え」

「手数をかける」

「何、部屋なんて余りまくっているからな」


 がはは、と豪快に笑うヴェルファー。


「本当にいいの? 距離を縮めるチャンスだと思うけどな」


 ジュダの方は面白そうに俺とステラを見ている。


「距離を縮める……チャンス……」


 ステラは顔を赤くしながら、やけに力のこもった声でつぶやいていた。




 結局、俺たちは隣同士の部屋を用意してもらうことになった。

 そして、翌朝。


「お、おはようございます、フリード様……ふあ」


 挨拶をした後、ステラが可愛らしくあくびをした。


「や、やだ、あたし……申し訳ありませんっ……」


 慌てたように顔を赤らめる。


「ん、眠れなかったのか?」


 まあ、いきなり過去の世界に飛ばされたんだ。

 気持ちが高ぶったり、今後のことで不安になったり──眠れなくても無理はない。


「距離を縮めるチャンス……とか、いろいろ考えて、その……」

「ん?」

「い、いえいえいえいえいえ、なんでもないですっ」


 また顔を赤らめるステラ。

 俺もそんな彼女にどう接すればいいのか、迷ってしまう。


 まあ、今はここに迷いこんだ魔族を探すことが先決か。


「探知を始めようか。頼む、ステラ」

「はい、フリード様」


 ステラが、ふうっ、と息を吐き出した。

 その額に、黄金に輝く『第三の瞳』が出現する。


「──います。ここから西南に三十キロほどの地点ですね」


 すぐに見つけ出すのは、さすがだった。


 俺はステラとともに飛翔魔法で城を出ると、彼女が探知した地点までやって来た。

 深い森の中だ。

 そこには──、


「魔王様! お姉さま!」


 オリヴィエが、いた。

次回更新は3週間後の3月17日(日)になりますm(_ _)m

文章仕事が立て込んでいるため、しばらくはまったりペースの更新になるかもしれません。

気長にお待ちいただけましたら幸いです。

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