表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第11章 神話の戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/193

4 魔王城へ

 最強と称される『ガ』の竜種──『焔皇竜(フレイムドラゴン)』ジード・ガ・ゼルフィード。

 無限の生命力と卓越した魔導を備えた不死の魔物──『不死王(ロードアンデッド)』ヘイゼル。

 あらゆる攻撃を無効化する不定形生物──『無形戦魔(ヴォイド)』ナバーム。

 最強の剣技を誇る女魔族──『雷覇騎士(ライトニング)』アルフィナ。


 いずれも歴代魔王に迫る強さを持つ屈強の魔族たち。

 それがこの時代の四大魔軍長だ。


「なあ、あんたの魔力を見せてくれないか?」


 巨大な竜──ジードが俺をじろりと見た。


「いくらヴェルファー様のお言葉とはいえ、やはり俺は直接自分の目で確かめたい。あんたが魔王様に認められるほどの強者なのか、どうか」

「──分かった」

『フリード様……!』

『いいんだ。ここは力を示しておいたほうが、後々のためによさそうだ。特に、ジードみたいなタイプには、な』


 念話で語りかけてきたステラに、俺は念話を返した。


 ジードは、いかにも生粋の戦士といった雰囲気の竜種だ。

 俺の実力を──その一端を見せれば、信頼を得ることができるかもしれない。


「魔力を軽く放出する。まずは一割だ」


 俺は巻き添えを出さないように、中空まで飛翔魔法で飛び上がった。

 上空100メートルほどの地点で止まり、魔力の一割ほどを解放する。


 ごおおおおっ……!


 轟音と爆炎が、弾けた。


 俺の全身から黒紫色のオーラが立ち上る。


 歴代最強の、魔王の魔力──。

 その一部が可視化され、空間すら灼くほどの熱量で吹き上がる。


「な、なんだと……!? 一割で、これか!」


 眼下でジードがうめいた。

 他の三人の魔軍長も呆然としている。


「すさまじいな」

「やっぱり、ただ者じゃないね」


 ヴェルファーやジュダは、真剣な顔で俺を見据えていた。


「ああ……さすがです、フリード様」


 ステラはうっとりと頬を染めている。

 俺はしばらくの間、魔力を放出し、それから地上に戻った。


「すげーな、あんた!」

「なるほど、ヴェルファー様がお認めになるわけだ」

「ジュダ以上の魔力ではないか……恐るべし」

「そっちの女の子もやっぱり強いのかしら? 萌えるわ」


 魔軍長たちが俺に駆け寄る。

 一人だけ違う感想の魔族もいたが、まあそれはともかく。


「みんな納得してくれて何よりだ。俺自身も、お前の力の一端を見ることができて満足だよ」


 ヴェルファーが俺たちに笑みを向けた。


「よければ、魔王城にしばらく滞在してくれ。フリード、ステラ」

「私も君たちには興味があるよ。できれば、もう少しゆっくりしていってもらいたいね」


 と、ジュダ。


『どう思う、ステラ?』

『なんらかの企みがないとは限りません……が、かなり好意的なようですし、罠ではなさそうに感じます』

『ああ、俺もそう思う』


 こうして、俺とステラは魔王城に滞在することになった。

 過去の世界の情報を探りつつ、この世界に迷いこんだ現代の魔族たちを探さなければ──。




 ヴェルファーたちに連れられ、俺とステラは魔王城に入った。


 俺の時代の魔王城と造りは同じだが、破損はまったくなく、城内は壮麗の一言だった。

 長く続く回廊をステラと二人で歩く。


 ──歩きながら、俺はあることを考えていた。


 ここは過去の世界だ。

 俺やステラがやって来たことで、歴史が変わる……ということはないだろうか。


 歴史が変われば、未来に起きる出来事も変わるだろう。

 あるいは俺やステラ、他の魔族たちが生まれなくなる可能性はないだろうか……。


「どうかなさいましたか、フリード様?」


 ステラが怪訝そうに俺を見ていた。


「……ああ、少し考えごとをな」


 言って、俺はステラに今の考えを説明する。


「ステラはどう思う?」

「そうですね……考え方としては、二種類あると思います」


 と、ステラ。


「まず一つ目はフリード様が危惧されている通り、未来が変わってしまうこと。場合によっては、本来の歴史では存在していた者が消滅してしまうかもしれません。もちろん、その『消えるかもしれない者』の中には、私やフリード様も含まれます」

「そうだな……」


 自分が、あるいは互いが、両方が消えるかもしれない。


 想像するだけでゾッとする話だ。

 失いたくない、という思いが胸から湧き出る。


「フリード様……」


 ステラが俺に手を伸ばした。

 俺はその手をそっと握る。


 小さくて、柔らかな手だ。


 温かい、手だ。


「あ……も、申し訳ありません」


 ステラは顔を赤らめ、慌てたように手を離した。


「いや、いいんだ」


 微笑む、俺。


「え、えっと、話を戻しますね……」


 ステラは照れたようにはにかみながら、


「二つ目は──世界が枝分かれすることです」

「枝分かれ?」

「つまり、私たちが知る『本来の歴史の世界』とは別に、私たちが過去に来たことで『歴史が変わってしまった世界』も存在するようになる──世界が二つに枝分かれするということです」

「なるほど……」


 こっちもありそうな話では、ある。

 はたして、どちらが正解なのか──。


 と、そこで、俺は足を止めた。

 話している間に、用意された客室に到着したのだ。


「あ、部屋まで着いてしまいましたね」


 ステラもその客室を見ている。


「……ん? 俺はこの部屋を使うように案内されたんだが」

「……私もです」


 俺たちは顔を見合わせた。


 もしかして、同じ部屋なのか……!?

次回は2月24日(日)更新予定です。

「面白かった」と思っていただけましたら、感想やブックマーク、最新話の下部にある評価を押していただけると励みになります(*´∀`*)


 ※ ※ ※


【書籍版1巻、発売中です!】

サーガフォレスト様より本作が書籍化されました。発売中です!

お気に召した方はぜひお買い上げいただけましたら幸いですm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して

★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。




▼書籍版1~3巻発売中です!

actefkba5lj1dhgeg8d7ijemih46_cnq_s1_151_p3li.jpg av1c16pwas4o9al660jjczl5gr7r_unu_rz_155_p11c.jpg rk21j0gl354hxs6el9s34yliemj_suu_c6_hs_2wdt.jpg

▼コミック1~4巻発売中です!

6q9g5gbmcmeym0ku9m648qf6eplv_drz_a7_ei_1dst.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ