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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第10章 魔界動乱

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16 野望の結末

書籍版、発売中です! なんとか続刊につなげたいので、ぜひよろしくお願いします~!(*´∀`*)

 俺が繰り出した虚無の剣は、獣帝の胸元を深々と貫いた。


「ぐぉぉぉっ……お、おの……れ……」


 ゼガートは苦鳴とともに大きく吹き飛ぶ。


「はあ、はあ、はあ……」


 荒い息とともに立ち上がるゼガート。

 大量の血を流しながら、それでも彼は生きていた。


 さすがは獣帝。

 すさまじいまでの生命力だ。


 だが──もはや再逆転はない。


 奴のサブアームを砕き、奇蹟兵装を使えなくしたことで、俺の魔力を弱体化した戦術は使用不能になった。

 魔王剣の欠片だけでは、俺には影響がない。

 あくまでも、欠片と奇蹟兵装の併用でなければ効果がないのだ。


 そして、本来の力を取り戻した俺にとって、いかに獣帝といえども敵ではない。


「なぜ、儂が負ける……お前のような甘い奴に」


 ゼガートがうめいた。

 ごぼり、と口から血の塊を吐き出す。


「元人間ごときに……誇りある魔族である儂が。魔王を輩出したこともある、栄誉ある一族に生まれたこの儂が──」


 よろめきながら、獣帝はなおも牙や爪で攻撃してきた。


「……もう、よせ」


 それらの攻撃はいずれも哀れなほどに弱々しい。

 俺は軽く魔力障壁を張って受け止めた。


「なぜだ……! なぜだぁぁっ……」

「ゼガート……」

「魔王にふさわしいのは儂だ……お前などではない……!」


 突進してくる獣帝を、俺は下級魔法を放って吹き飛ばした。


「がはっ……」


 床に叩きつけられ、うめきながら、なおも立ち上がるゼガート。

 と、背後に控えるツクヨミのほうを振り返った。


「ツクヨミ、あれを爆破しろ!」

「──ゼガート殿」


 銀騎士の改造生命体(ホムンクルス)が冷然と獣帝を見返す。


「『あれ』とは結界装置でありますか? ジュダ、フェリア、オリヴィエの三魔軍長を捕らえたままでありますが」

「……人質のつもりか」


 俺はハッと顔をこわばらせた。


「ふん、この期に及んでそんな真似をするか」


 ゼガートが吐き捨てる。


「命令だ! 魔王ゼガートの命が聞けぬか!」


 絶叫する。


 今のゼガートは、戦況を逆転されたことで自暴自棄になっている可能性がある。

 人質作戦などしないと今言っていたが、それが真実である保証はない。


 俺はツクヨミの動きを注視した。

 結界装置を爆破して、捕らえたジュダたちを殺すつもりなら、その前に俺が奴を止める──。


 だが、ツクヨミは動かなかった。


「……ふう」


 改造生命体らしからぬ、物憂げなため息をゼガートに返す。


「もう勝負はついたのであります」

「なんだと……!?」

「自分たちが勝てる可能性は、魔王フリードの弱体化のみ。ですが、その戦術は崩されたのであります。もはや逆転は不可能」

「ツクヨミ、お前──」


 驚きに目を見開いたゼガートは、すぐに跳び下がった。


「……ふん、屈辱的な死罰など受けてたまるか! 儂は、自分の命のケリは自分でつける!」


 言うなり、謁見の間の奥へと走っていく。


「逃がすか!」


 それを追う俺とリーガル、ステラ、リリム。


 奥の間には巨大な装置があった。

 巨大な檻の形をした魔導装置。


「まさか、それが──」

「ツクヨミが作った封印装置だ。儂らが捕らえたジュダやフェリア、オリヴィエを収監している」


 と、ゼガートが装置に向かって手を伸ばす。

 やはり、ジュダたちを人質代わりに俺を脅す気か──。


「やめろ!」


 思わず叫ぶ俺に、ゼガートはニヤリと振り返った。


「人質などもはや不要! お前に返してやろう!」


 装置が展開し、内部の亜空間に閉じこめられていたらしいフェリア、オリヴィエ、そしてジュダが現れた。


 こいつ──!?


「ふう、ひどい目に遭ったね」

「あ、外に出られました」

「魔王様が助けに来てくれたの? ふふ、嬉しい」


 三人が俺たちを見て、微笑む。

 てっきり人質を取るのかと思ったら──。


「深読みするな。確実に死ぬために──こいつを使うだけのことだ」


 ゼガートが鼻を鳴らした。


「この封印装置の中心部には亜空間を生み出すための膨大な魔力が溜めこんである。それを強制的に暴走、爆破すれば──」

「ゼガート、お前……!」

「何しろ、儂の体は頑丈だからな。ちょっとやそっとでは死ねぬ」


 ゼガートが笑った。

 血に染まった、凄絶な笑みだった。


「我が野望が成らなかった以上、生き恥をさらすつもりはない」


 言って、装置に向かって腕を振り上げる。


「巻き添えを食いたくなければ、離れていろ」

「やめろ、ゼガート!」


 俺は反射的に駆け出した。


 奴が反乱を起こした大逆人だとしても──。

 いや大逆人だからこそ、自爆なんてさせない。


 裁きを受けてもらう。

 王として、俺が裁く。


「さらば、我が野望! そして我が生よ!」


 が、一瞬間に合わず、ゼガートの爪が装置に食いこむ。


 次の瞬間、まばゆい火花とともに装置が大爆発を起こした。

 周囲が、一面の白い爆光に覆われる──。




 気がつけば、俺は虹色のモヤの中にいた。


「どこだ……ここは……!?」

次回から第11章になります(次章のエピソード案が2つあってちょい迷ってるので、章タイトル未定です)。来年1月に掲載開始予定です。

詳細な日時につきましては後日、あらすじの前段か、活動報告に記載させていただきます。

今しばらくお待ちいただけましたら幸いです。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました(*´∀`*)

また感想やブクマ、評価ポイントなどいつも励みになっています。

引き続きよろしくお願いいたします<(_ _)>



 ※ ※ ※


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サーガフォレスト様より本作が書籍化されました。発売中です!

続刊は売上次第となりますので(重要!)、お気に召した方はぜひお買い上げいただけましたら幸いですm(_ _)m


試し読みや特典情報は下のリンクから公式ページに飛べますので、そちらでご確認くださいませ(*´∀`*)

なんとか続きを出したい……出したい……!(ごごごごご)

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