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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第10章 魔界動乱

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15 王の力

 先の戦いで、ツクヨミは『闇の王』に俺を攻撃させようとした。

 だが、『闇の王』は戸惑ったように動きを止めていた。


 あれは、煉獄魔王剣(ラーディス)が理由だ。


 かつて俺は先王ユリーシャに教わった。


 始まりの魔王(ヴェルファー)から歴代魔王に受け継がれてきた剣。

 それは魔王の象徴であり、すべての魔軍を服従させる力を持つという。


 そう、『すべての魔軍』だ。

 ゼガートのように強靭な意志を持つ者なら、その効果を跳ねのけることもできるようだが──純然たる魔導兵器に過ぎない『闇の王』には効果てきめんだった。


 要は──『闇の王』の命令優先権は、煉獄魔王剣の所持者である俺にあるということだ。

 だから今、『闇の王』はゼガートたちの命令ではなく、俺の命令に従い、奴らを攻撃した。


 この不意打ちで、ゼガートの虚を衝く。

 俺たちは最初からそこに賭けていた。

 彼我の戦力差を逆転するための秘策に──。


「お、おのれ……っ」


 巨竜のドラゴンブレスをまともに食らい、それでもゼガートは立っていた。


 だが、さすがにダメージを受けたようだ。

 全身から白煙を上げ、あちこち裂けた皮膚から血を流している。


「ゼガート!」


 リーガルが咆哮とともに突進し、斬撃を繰り出した。


「くっ、この……っ!」


 獣帝も反撃するものの、その動きは確実に鈍くなっている。

 それでも──ゼガートは恐るべき膂力でリーガルを押し返そうとした。


「さすがにてごわい……!」

「いくらダメージを受けようが、今のお前などに──むっ!?」

「あたしもいます~!」


 と、スライムに変化したリリムがゼガートの足元にまとわりつき、動きを封じる。


「お、おのれ……っ」


 動きが止まった獣帝に──その背から生えるサブアームに向けて、俺は懐から抜いた銃を構えた。


「さっきの言葉をそのまま返す。王手(チェック)だ、ゼガート」


 引き金を、引く。


 ごうんっ!


「『アクセラレーション』!」


 弾丸を発射した轟音と、ステラの呪文が重なった。

 その呪文によって加速し、威力を倍加された弾丸が、ゼガートの魔導腕を打ち砕く。


「サブアームが……!?」


 ゼガートが愕然とうめいた。


「魔法には強くても、物理にはそこまででもなかったらしいな」


 これも、ステラの『黙示録の眼(アポカリプスノート)』が見抜いた情報だ。


 彼女はツクヨミがサブアームを作成した『過去』を見て、その弱点を把握した。

 俺の本来の力やジュダ級の魔力ならともかく、上位魔族クラスでも壊せないほどの魔法防御装甲。

 だが反面、物理防御はそれよりは脆い。


 もちろん、ゼガートも簡単にサブアームを砕かせるような隙は見せないだろう。

 だから俺たちで連携攻撃してギリギリまで奴の注意力を削った。


 そして待った。

 一瞬の隙ができるのを。


「──戻った!」


 全身が燃えるように熱くなった。

 奴の手から奇蹟兵装が離れたことで、弱体化していた俺の魔力は復活したのだ。


「力と策略に頼るのがお前の『王の力』なら、俺の『王の力』はこれだ」


 右手を突き出す。


 収斂型・虚空の斬撃(ヴァニティブレード)

 黒紫に輝く魔力刃がそこに生まれた。


「仲間とともに生み出す、絆の力──」

「甘い……どこまでも、反吐が出るほどに」


 ゼガートが吐き捨てる。


「甘いと呼ぶなら、呼べばいい。俺はこの絆で、お前の野望を断つ!」


 突き出した虚無の剣が、獣帝の胸を貫いた。

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