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FANCY NOVELS  作者: ハゲゼビア
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WONDERFUL PEOPLE#27

 ジョージはシンディを基点として早速他の犠牲者達を調べ始めた――しかしそこで問題が浮上する。

登場人物

―ジョージ・ウェイド・ランキン…息子を失った退役軍人、『ワンダフル・ピープル』紙の記者。



一九七五年、九月:ニューヨーク州、マンハッタン


 再び殺害者としての矜持を掲げるのは悪くなかった。やはり怒りを抑え切るのは難しい。ならばある程度それを露出させてもよかろう。

 何せ、相手は未だ正体不明ながら、悍ましき邪悪の生物であろうから。

 最後に殺された中年の白人男性から始めてみようとジョージは思った。何か、殺された人々の間に繋がりか共通点があるように思えた。

 それがあったが故に犠牲者として選ばれ、無惨な最期を迎えたのであると。

 それを思うと怒りが燃え盛ったが、しかし怒りを自然なまま燃え立たせて冷静に振る舞った。さて、この忌むべき輩の犠牲者達の何が同じかを探るとしよう。


 ジョージは三日を掛けた。全ての犠牲者の間に何かがあると確信し、それを探り続けた。各々の犠牲者の共通点に辿り着こうとした。

 ネイバーフッズ・ホームベースまであと少しというところで理不尽に掻き消えて翌朝変わり果てた姿で発見された白人男性は職場で最近様子がおかしかったらしい。どこか挙動不審な様子であった。

 あるいは、何かを恐れているようにも見えたと同僚達は言っていた。何かとは一体どのようなものか。

 ジョージはそこで『シンディのように彼は周りへの被害や悪影響を恐れてあえて関係を閉ざしたのか』と予想した――故に悩む事となった。

 同僚達は別に犠牲者が人をあえて避けているような様子は無かったと言っていた。それだけなら誤差かも知れないとジョージは脳内で修正したが、しかし恐らくそれだけではなかった。

 最新の事件なので部屋を調べる事はできず、一旦他の犠牲者を調べた。

 最初の事件の白人の老女をジョージは調べた。孤独の身で子供やその他の親族とも疎遠。

 幸い一人で暮らせるだけの蓄えがあり、親交無きままにアパートの一室で暮らしていた。そう、ここで詰まったのだ。

 その犠牲者には特に周囲の人々との接触が無かった。つまり、シンディのように何かの異変によって関係を絶ったとかそういう可能性は低かった。

 そして、隣人も含めて彼女の悲鳴による通報を受けて警察が来るまで、誰も異変には気付かなかった。

 そもそもこれではその『異変』とやらも想像の産物であり、連続殺人という仮説のための仮定でしかなかった。どうにも進展が難しそうに思えた――シンディとの共通点が見い出せない。

 仮説の上で最初の犠牲者には『異変』がある時を堺に起き始めた――というだけの想像。

 二番目に殺された若い白人男性はどうか。定職には就いておらず、職を転々としてたようであった。

 殺された際はちょうど無職であったようだ。最新の職場――魚市場であった――で話を聞いたが、ミステリアスな雰囲気があって特に変わった点は無かったとの事であった。

 部屋に行ってみると白い壁紙に何かをぶつけた黒い跡があった。窓を見ると一部のカーテンが新しく、カーテン基部の規格も古い物とは合っていなかった。

 疑問に思って他の箇所を探り、備え付けの棚も一部新しくなっていた。その前の床には何かの傷があった。

 ジョージは思った――何か苛々する理由があって、八つ当たりでもしていたのではないか。

 もしかするとそれがこの犠牲者の『異変』への反応であるのかも知れなかった。

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