古代の遺物
国策クエストを受け遺跡の中を進む花春と花山。
国策、つまり国の政策としてのクエストなのだから何かあるはずではある。
この遺跡に何かがあるのかどうか。
花山曰く遺跡自体は結構出てくるが、特別なものが見つかる事は稀らしい。
「特にこれといったものはないね」
「この遺跡はハズレという事なのか、もう少し調べてみるぞ」
そのまま遺跡の探索を続ける。
しかしやはり目立ったものはないようであり。
「うーン…外側も調べてみる?」
「それがいいだろうな、それでも何もなければそれを報告すればいい」
「なら行ってみようか」
そのまま遺跡の外も調べてみる事に。
すると明らかに怪しげな岩を見つける。
「ねえ、この岩、後ろから風が吹いてる」
「ふむ、少し下がっていろ、やってみる」
花山がその岩に対して刀を一閃する。
両断された岩の後ろには秘密の通路があった。
「当たりみたい、ここから進ンでみようか」
「ああ、では行くぞ、いつでも戦えるようにしておけ」
「りょーかい、いざ行かン!」
そのまま隠し通路から遺跡の中に入り遺跡を進んでいく。
中は道が続いているもののこれといった罠のようなものはない。
とりあえずそのまま奥へと進んでみる事に。
「ここが一番奥かな?目立ってた入口はダミーで、ここが本丸とは思うけど」
「…これは転移装置だ、ここからさらに奥に行けるはずだ」
「ならもっと奥に行くよ、何かあったら守ってよね」
転移装置は動くようであり、花春達はその装置からさらに奥へと向かう。
その奥には何があったのかというと。
「これって…明らかに文明レベルが上ってない?」
「ああ、まさか噂に聞く古代文明というものなのか」
そこにあったのはこの世界の文明より数世代先にあるかのような機械の数々。
機械のガーディアンなどもうろついているようだ。
とりあえずクエストは何かしらの発見をしたのならそれを報告する事である。
「そこか!」
「花山って凄いね、金属の塊のガーディアンを簡単に両断してるし」
「この程度を斬り裂くなど造作もないからな、とはいえ飛び道具持ちなのは厄介だ」
「銃が内蔵されてるっぽいしね、それなりにいい防具がないとダメージが大きいよ」
「銃、異国で生産されているという武器の事か、しかし連射が効くのは厄介だな」
ガーディアンに内蔵されている銃は連射も効くバルカン砲の様子。
とはいえ防ぐのはなんとか出来るようだ。
さらに奥へと進んでいくと。
「この部屋って…なンか人が眠ってる?」
「その筒のようなものに入っているのは人なのか」
「…違う、これ人にそっくりだけど、恐らくアンドロイド、それも量産タイプだよ」
「つまり機械の兵隊、という事でいいのか?」
「だと思う、とりあえず少し調べてみようか」
カプセルに眠る無数の量産型アンドロイド。
カプセルに書いてある番号は恐らく型番だろう。
少し見て回っていると。
「うーン、開かないって事は電気が通ってない?」
「電気、つまりエネルギーがなくて動かないという事か」
「だと思う、ただだとしたらこれらが動く事はないのかも」
「ふむ、では他に行くか?」
すると花春の近くにあったカプセルから音がし始める。
何か触ってしまったのかと恐る恐る見てみると、カプセルの開閉装置らしきものが点灯している。
電気は通っていないはず…というよりわずかだけ残っていて、それで動いてしまったという事か。
カプセルが開き中に眠っていたアンドロイドが起動する。
「起動を確認、システムオールグリーン、あなたが私を起動させたのですか?」
「えっと、そうなる…のかな?」
「かしこまりました、顔認証完了、あなたをマスターとして登録しました」
「は?マスター?あたしが?」
「つまり花春を主として認めたという事か?」
どうやら起動したアンドロイドは花春をマスターとして認証した様子。
なのでそのままついてくる事になってしまったようで。
「えっと、ついてくるの?」
「はい、マスターに従う事が私の存在意義ですので」
「ふむ、見ただけなら人間と変わらんな…名などはあるのか?」
「カプセルに型番が書いてあるかと」
「えーっと、334型・タイプΩ…でいいの?」
「はい、そうなります」
334型・タイプΩ、それは型番であり名前ではない。
適当に名付ける事になるわけで。
「334型だから…サミヨ、キミはサミヨ、いいかな?」
「サミヨ、かしこまりました、ではそうお呼びください」
「ついてくるという事なら、帰ったら冒険者登録をしてやるべきだろうな」
「とりあえず今は先に進もうか」
「何かお探しのものがあるのならお手伝いします」
そのままサミヨを仲間に加えて遺跡の探索を再開する。
なお先程のカプセルルームの電力は完全に停止した様子。
通路などには明かりが点いている辺り、必要最低限の電気は通っているようである。
「ここが一番奥かな?」
「扉はあるが…開かんな、刀で切り裂こうにもこれは無理だ」
「そちらにあるコンソールにパスコードを入力すれば開きますが」
「パスコード、そんなの分からないンだけど」
「私も知りませんが」
とりあえずコンソールをいじってみる事に。
出てきたのは四つの文字が四列。
この中から正しい単語を作れという事なのか。
とはいえ作れる言葉には何があるのかという事になるが。
「うーン…当てずっぽうでやると失敗してロックがかかる可能性もあるのか」
「この中から一文字ずつ選んで単語を作れという事でいいのか?」
「はい、ですが私にそのパスコードの情報はありません」
「それっぽい単語は…勘だけど、こうだ!」
花春が入力したパスコードはたいよう、つまり太陽である。
どうやら正解だったようで扉が開いた。
扉の奥へと進んでみる事に。
「ここは…大きな装置があるだけか?」
「たぶンマザーコンピューターだと思う、反応がないって事は電力が足りてないっぽいね」
「電力は通路の照明などでギリギリです、マザーコンピューターも休眠状態ですね」
「そっか、せめて何かあるといいンだけど」
「…これを、マザーコンピューターのバックアップメモリです」
サミヨがマザーコンピューターから抜いたのはバックアップメモリ。
今まで集めた情報が記録されているのだろう。
とはいえ持ち帰っても中身を確認する手段があるかは分からない。
それでも一応いただいていく事にした。
「ここが一番奥っぽいし、帰って報告とレポート書こうか」
「そうだな、調査は完了した、引き上げるぞ」
「では私はマスターについていきます」
そのまま遺跡を出て街に戻る。
街に戻ったらクエストの報告とそれに提出するレポートを書く事に。
「さて、レポートを書かないとね」
「サミヨの冒険者登録をしてやるのを忘れないようにな」
「外の世界はずいぶんと変わったようですね、メモリーにある情報とはだいぶ異なります」
レポートを書いてクエストの報告をする。
報酬が普通のクエストより豪華だという事らしいが。
「報告ありがとうございます、ではこちらが報酬になります」
「これって宝石?」
「宝石は細工品を作るのに使ったりするものだ、そのままでも魔法を軽減したりは出来るな」
「ならクリエイトスキルで使ってみようかな」
「さて、私はそろそろ失礼する、刀はそのまま持っていくといい」
花山はクエストが終わったのでここで別れる事になる。
「待って!よければあたしと一緒に行かない!」
「すまない、今はそれは出来ない、私はやらねばならぬ事があるのでな」
「ならまた会えるかな?」
「機会があれば会えるかもしれんな、では失礼する、精進するのだぞ」
「…花山、強かったなぁ、さてっと、サミヨの冒険者登録しなきゃ」
クエストの報酬を受け取り花山とはそこで別れた。
また会えるといいなと思いつつ、サミヨの冒険者登録をする事に。
少しクエストを消化しつつ次の街へ向かう準備をする事にした。




