47. はぁ……やっぱりイケメン良いわぁ♡♡
「おや、パティお嬢さまじゃないですか。」
突然連れられて、直ぐに状況を把握して、そして気障ったらしい礼を披露するジェスト。
騎士王は、とりあえず後ろに控える騎士たちを手で止めている。
「ジェントルマン、私は戯けた影法師と申します傾き者にございます。」
「これは丁寧にどうも。俺は騎士王だ、よろしく。」
「……こちらこそ。」
ポーカーフェイスの下で、きっと胃の痛みを噛み潰しているだろう。
それでも、にこやかにパティちゃんの近くのソファーに座ったぞ。
「それで、レディー・花の女王? こちらのサー、」
「ジェストとお呼びください。」
「……ジェストについて、ご紹介してくれるかな?」
「はい。……こちらのジェストさまが、おーさまを暗殺しようとしたの。」
「――なるほど。」
騎士王は額に手を当て、天を仰ぎながら、後ろに控える騎士をまた、空いた片手で止める。
ややあって、大きなため息をひとつ。
色々と言いたいことを飲み込むのだ。
「……ジェスト、といったか。なぜ、外の王の暗殺を目論んだか、教えてくれるのか?」
「おや、私が真実を話すと、信じているのですか。」
「そうだな。真実を話すことで、そちらに利があるならば、話すだろう。」
「ええ、もちろん。」
そんなふうに戯けたジェストが言うには、王の暗殺は、貪食の化身たちの作戦だった、と。
貪食の化身と卑近の化身の反乱軍は、魔王城を攻める前面の他に、騎士王や楯王など、後方から魔王軍を援護する戦力と背面で戦争をしている。
ここで、神代を広げることに成功すれば、神代の辺縁に住む人々が、最も影響を受けることが予想された。
その混乱の隙に、後方戦力の多くを前面に回し、勢いを増したいのだ、という。
「しかし、私の暗殺は、未遂に終わってしまいまして。」
言う割に、悔しそうではないジェスト。
暗殺が未遂に終わったことで、外の人間が神代へと介入する恐れを齎しただけで、貪食の化身たちの状況を改善出来なかったとして、殺されかけたのだよ?
「……筋は、通っているか。」
「ええ。そうでしょう?」
「ああ、もういい。捕まえろ。」
騎士王が、その言葉を言い切る前にジェストは消えていた。
「――まあ、そうなるよな。」
「ああん、また行ってしまいましたし、しかももう簡単には呼び出せなくなってます♡ ジェストさまぁ♡」
ひと言も発さないから、パティちゃんの存在を忘れかけていた騎士王だけど、思い出したようにパティちゃんに礼を言う。
「レディー、いくつかわかることもあった。礼を言う。」
「はい♡」
いくらパティちゃんが、ジェストを呼び出すなどという最大級の暴挙をかましたとはいえ、他国の大使で、しかも聖都で受けた書状もある。
実際に被害があったわけでもない。
パティちゃんを捕まえることは難しかった。
「それで、この先は、戦闘地域になるが、どうする気なんだ?」
「はい♡」
「パティお嬢さま。」
「え? ええ、中央突破はできないかしら?」
「難しいだろう。」
「うーん。魔王軍? の誰かと会えるだけでも良いんだけど。」
「そうか。前線に、魔王軍の連絡員がいたハズだ。それに会うというのはどうだろう?」
「はい♡」
いやもう、イケメン良いわぁ、という顔しかしてないよね。
~to be continued~
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6時と18時ですっ><





