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第74話 クローズドサークルで殺人が起こると思ったらファミコンのゲームみたいな理不尽な難易度の館でそれどころじゃなかった

 怪しい館で殺人事件に巻き込まれたことある人は分かると思うんですけど、変なギミックがあったりするんですよね。あれ、作ってる人はワクワクしながらやってたんでしょうね。


 先日、私もそんな館に行ったんですけど、ホント疲れましたよ……。



〜 〜 〜



『あなたの秘密を教える』


 って招待状が家に届いてたんです。私って秘密ないタイプなんですけど、たまたま指定されてた日が暇だったんで行ってみることにしたんです。私、人並みに好奇心あるんでね。


 船着場には同じ感じで招待されてた人たちがいて、みんなで船に乗って目的地の館がある孤島に向かったんです。


 まあ、この手の導入だと、到着した先の館で殺人事件でも起こるだろうなって思ってたんです、私。皆さんはタイトルでそうじゃないって分かってると思うんですけど、その時の私は何日くらい拘束されんのかなとか考えてました。早めに帰りたかったんで。っていうか、なんで私も呼ばれてんのか分かんないんですけど。



※ ※ ※



 館に到着して廊下を歩いてたら、急に床がパカっと開いてひとりが悲鳴上げながら落ちていっちゃいました。


「ひ、ひとりやられたぞ!」


 みんなが騒いでます。確かに、誰がやられるだろうってなんとなくみんな思ってたんですけど、さすがに早いですよね。招待状には館の大広間に集まるように書かれてたんで、とりあえず廊下を進むことにしました。


 もうすぐで大広間ってところで、ガチャンと音がして、天井から無数の槍が落ちてきて、ひとり串刺しになっちゃいました。館の殺意すごいなーなんて思ってたら、同行してた若い男の人が頭を抱えて言うんですよ。


「なんなんだよ、この館は……!」


 まあ、取り乱すのも分かりますよね。まだ館入って1分くらいですからね。とか思ってたら、その人がいきなり、


「この館にみんなを集めて殺人を繰り広げようとしてたのに……! こんな仕掛けがあったなんて知らなかったぞ……!」


 とか言ってどさくさに紛れて自白するんです。


「な、なんだって?!」

「あんたが犯人か!」

「バラすの早すぎ!」


 みんながうろたえてんですけど、犯人が悔しそうな顔してんです。


「せっかく殺す順番とか色々計画立ててたのに、台無しですよ……!」


 なんかめちゃくちゃ落ち込んでるんですけど、つい言っちゃいました。


「いや、ちゃんと事前に下見しないからこうなるんですよ」


 それからとりあえず大広間で話聞くことになったんで、火炎放射器の火が出るタイミング見計らって廊下駆け抜けるマリオみたいなことして、なんとか大広間まで辿り着きました。半年くらい前に友達とスポッチャ行った以来こんなに身体動かしましたよ。



※ ※ ※



 大広間はめちゃくちゃ広くて、高い天井には天窓もあってなんかおしゃれな感じでした。


「さすがにこの館、殺意高すぎですね」


 なんて感想述べてたら、同行してたおじさんが、


「これじゃあまるでファミコンのゲームみたいだ……」


 とか言ってなんかレトロゲームの思い出を語り出しました。昔の子供たちはずいぶん理不尽なことさせられてたみたいです。まあ、そんなことは置いといて、私は犯人に話を聞きたかったんです。


「そんなことより、この人になんで殺人なんかしようと思ったのか聞きましょうよ。もはやそんなんどうでもよくなってきましたけど」


 犯人が答えようとしたんですけど、天窓の外から飛んできた矢が刺さって、何も聞けずじまいでした。そしたら、みんなが同情を寄せてんです、犯人に。


「殺人やりたかっただろうに……」

「動機も喋りたかっただろうなぁ……」

「計画立ててた時はワクワクしてたんでしょうね」


 なんか可哀想みたいな空気になってんです。何もなかったらこいつに殺されてたかもしれないのに。犯人が死んじゃったってことは、もう私たちがここにいる理由もないわけです。


「じゃあ……帰りますか」


 飲み会の盛り上がらない2次会終わりみたいな空気になって、着いて早々なんですけど、館を出ることにしたんです。



※ ※ ※



 玄関に向かって廊下歩いてたら、後ろからすごい音がして、めちゃでかい鉄球が転がってきたんです。インディー・ジョーンズかよ。みんな走って逃げようとするんですけど、明らかに鉄球のスピード早いし、逃げ道もないんです。


 私は壁に沿って廊下の端に寝そべって鉄球見送ったんですけど、私のマネした数人以外は何人かペチャンコになっちゃいました。


「俺たちは生き残りだな」


 とか言っておじさんが勝手に仲間意識持ち始めたんですけど、知り合って小1時間くらいなんで曖昧に返事しときました。島から出た時に変に連絡先とか聞かれたくないんで。


 そんなこと言ってたら、館全体が鉄の扉で閉ざされて閉じ込められちゃいました。いや、まだなんかあるんかいと思ってめんどくさくなってたところに、玄関の方を見に行った人から声がかかりました。


「合言葉を入力すれば出られるらしい」


 ドアのところにタッチパネルがあるんですけど、合言葉のヒントとか一切ないんですよ。おじさんがうなずいてます。


「ファミコンのゲームもノーヒントだったなぁ」


 昔を懐かしんでる場合かよと思いつつ、適当に言葉打ち込んでたんですけど、まあ、無理ですよね。っていうか、タッチパネルって、めちゃくちゃ最近の技術じゃん。誰か館の仕掛けアップデートしてんですかね?


 諦めムードで3時間くらいボーッとしてたら、いきなり玄関のドアが開きました。おじさんが、


「長時間放置系か」


 とか言って喜んでました。童心でも思い出したみたいです。


 あとは乗ってきた船に乗って、海賊と機雷を避けながら港まで辿り着きました。なんかスマホのミニゲームみたいでしたけど、海上の治安どうなってんですかね? っていうか、孤島の館行って戻って警察呼ぶだけの休日って中身なさすぎじゃないですか? ただ疲れただけでした。


 ちなみに、案の定おじさんにLINE聞かれたんですけど、今LINE壊れてるって嘘ついて逃げてきました。

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― 新着の感想 ―
た●しの挑戦状+魔●村+スペ●ンカー+テ●ザー+キテレツ大●科 そのくらいの難易度でしょうか。
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