星の瞬き
新たなる問題が直撃だ。と言っても、最初からの疑問点ではあって思い出したに近い。
ただ単に導かれているのか、と考えていたが。それならそうと、誰に導かれたのか。
今更ながら気になるのだ。
「和枝か」
シンは、ニコリと微笑み手招きした。それに合わせてしゃがみこみ、顔をシンに近づけた。にこやかなまま、私の手の中の本を優しく触れる。
それは、おばあちゃんが私を導いてくれた。と言わんばかりだ。さらにその笑みからは、守ってくれていたのかもしれないとさえ思えてくる。
「おばあちゃんが、なの? 一体なにもの……」
ますます、おばあちゃんが凄い人物のすごい人物のように感じてきた。他の友人たちのおばあちゃんと何にも変わらない、普通のおばあちゃんだったのに。
それが急に一転して、遠い存在の人のようだ。私を撫でてくれたあの手のひらは、ティタニアを呼び生みの母となっていた。
ティタニアを呼ぶ儀式がリアルだと認識できたのは、おばあちゃんが現れたから。それなのに、空間をにじませて理解ができなくなったのも、おばあちゃん。
ぐるぐる回る思考に、頭から湯気が出てきそうだ。
「和枝は、ティタニアの生みの母。彼女なしでは、なにも始まらなかった」
シンがステッキを振ると、小さなビーズのような輝く星々が降ってきた。太陽や月のような光を浴びなくても、キラキラと自らの力で輝く。
その輝きが美しくて、目を奪われてしまう。星が上から降り注ぎ、ラメがついたかのように髪から足先まで光り輝いている。
ティタニアの始まりについては、過去を見てよく分かった。そのおばあちゃんに導かれていたとしたならば、何のた目なのだろうか。
『あのね、和枝は人間の中でも力……魔力の宿る人間だったの。曲を知っている、それだけで選ばれてない』
私の胸元についているフィルが、私の疑問に答えてくれる。フィルには毎度のように、声に出さなくても何故か伝わってしまう。
心だけで留められなかったか、と毎回のようにヒヤヒヤとする。ただいつものことながら、教えてもらえるのはありがたい。
「やっぱり、曲を知っているだけでは無いのか」
『ちなみに……』
フィルはその先を何故かにごす。その理由もわからず、モヤモヤとした気持ちが貯まる。
聞こうと思ったタイミングで、シンに遮られてしまった。
「セレスティアル」
キラキラと輝いている星々が、強い白い光を放った。足元に広がる光は、瞬く間に上空に舞い上がる。ゆらゆらと揺れる星は、次第に円を描く。
……デジャヴだ。
ティタニアを呼ぶときに、クジャクたちが空でグルグルと円を描いていたのを思い出す。
「和枝の血を分ける者は、やはり特別だよね〜」
手に持つステッキをクルクルと振り回す。温かみを感じた星の光は消えて、今や肌を刺すような冷たさに変わった。喉を通る冷たい空気が、胸を凍らせてくる。
――シン……どうしたの?




