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女神ラミーが持ってきてくれた本の山に手をかける。私のしようとしてるこたが、フロストに伝わったようで一緒に探すことになった。
何冊目だろうか。文字をずっと追っていて、目に疲労が溜まっていく。下向きになっているからか、首にも肩にもずっしりと重たい重石がのしかかっているかのよう。
首を回したりして、疲労感を抜く。
「ねぇ、フィル〜?」
『うん』
「この疲労感をどうにか出来ない?」
フィルは、癒しの力をもつ妖精。
この疲れを飛ばせるなら、是非ともお願いしたい。私は、肩に手を置いて軽く揉みほぐしながらお願いをする。
フロストは、相変わらずの綺麗な姿勢で読んでいる。背筋は伸びていて、頭から生えるツノも力強く上を向いている。
自分だけがクタクタで、申し訳なさもある。
「セニエ」
フィルは、ずっと私の胸につけられていて助言をしてくれたり助けてもくれていた。それだけに、私のお願いを聞いてくれると勘違いしてしまう。
妖精には主人がいて、フィルは私ではなくてフロスト。
お願いする相手は、フィルではなくてフロストだったわけだ。
なんだか、胸元のフィルからため息が聞こえてくる。いやいやながらも、フィルの癒しの魔法をかけてもらう。
重たい重石は、ぐっすり寝た後のように軽くなった。魔法というのはなんとも便利なアイテムだ。
「フィルもフロストもありがとう!」
開けど開けど、ティタニア。の名前が書かれているだけで、歴史の話だったりおとぎばなしのようなことしか書かれておらず。
諦めてしまいたくなるほど、妖精たちの力でティタニアと戦うやり方は見つからない。
思わず天を仰いで大きなため息をついてしまう。疲れもあったが、それ以前に気力的な問題が発生している。
「見つかるのかなぁ」
「どうだろうなぁ」
フロストも見つからないという、もどかしさを感じているように見える。眉間に皺が寄り、纏うオーラが暗い。
どうだろうなぁ、という言葉もマイナス側の言い方なのだ。ここは、是非とも私が見つけ出してこの場の空気感を変えたい。
疲労感をフィルが魔法で取り除いてくれ、さらにはやる気を引っ張り出せた。先ほどよりも意気込む。
別の本を手にして、開く。今度こそ、この本にヒントが書かれていて欲しい。そんな願いを心の中で唱えた。
「……ティタニアの誕生、かぁ」
やはりこの本も歴史を端的にまとめたもの。唇の端を落として、歯軋りをした。
ところが、最後のページをめくると……衝撃なことが書かれていた。
驚きで声が出てしまった。答えがあったと言わんばかり反応だっただろう。しかし、それはあながち正解だった。
「えっ」
私の声に反応したフロストは、自分の持っていた本を閉じて私の方にやってきた。そして、顔を近づけて本を覗き見た。




