鏡
私の手元に輝く鏡は、フロストの持っていた氷の鏡の輝きとは違う。しかしどちらも美しくて、ユエの方はゴールドの輝きでフロストは氷の透き通る輝きだ。
どちらかを選ばないといけない状況にはなりたくないほど、選べない美しさをどちらも持っている。
今までの妖精と同様に、姿形を変えてもお話はすんなりとできる。そこから得られる情報もるので、私張り難い。
それだけでなくて、6人の妖精に囲まれているからかとても賑やかなのだ。暗いこの場所でも、明るさを感じる。
『そういえば、シンってどこにいるのか知っているかしら?』
『私は知らない。ユエとセットで行動しているんじゃないの?』
私の胸元についているブローチ型のフィルと、手の中にいるユエが会話をしていた。少しツンとしたい言い方をするフィルだが、ユエはあまり気に留めていなさそうだ。
それにしても、さらっと新たな妖精の名前が出てきた。というよりも、7人目の最後の妖精。
私たちもその”シン”という妖精について知りたい。
『シンってば、私の応答に答えてくれなくなってしまったのよ』
嘆きにも近い言い方に、どんな妖精なのかなど口を挟めない。ふたりのやりとりを見守る事しかできないでいる。
フィルが、ユエとシンはふたりでセットと言っていた。そこから推測するに、かなりの親しい距離にいたに違いない。というと、もしかしたら彼女の知りたがっていたティタニアと何か絡んでいるのかもしれない。
「もしかしてだけど、ティタニアがシンと連絡が取れなくなったことと関係しているの?」
『おそらく』
それならば尚更、ティタニアという人物が何かを突き止める必要がある。
善は急げだ。はやく、先ほどの部屋に行ってユエを使って秘密の図書館の扉を開こう。




