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aラストティア ~荒野の楽園編~  作者: 蒼骨 渉
第四章 灰色のティア
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10 迫る死

「ほらこっちきなさい単細胞! さっきのバナナは私のモノよ!!」


 チキは走りながらモノと同じくヒップをタップし挑発して、自分の方にグオーレンが来るよう誘き寄せる。

 反対にカレンは足を止め、一旦呼吸を整えてから刀を構えて魔力を溜め始めた。

 黒鉛色のヤヌスが徐々に朱色に色づいていく。温度が上がっている証拠だ。


 これからチキとカレンが繰り出す技は二人が編み出した合わせ技―――合義だ。


 カレンは魔力を炎に変換することで高い火力を持つ反面、両手で刀を振るうので隙が生まれやすいという弱点がある。

 反対にチキは速さに特化しており、武器も小回りの利くダガーを用いている。そのため一撃で相手を仕留めるには急所を狙うこと以外では不可能であり、大型の敵であるほど地味な攻撃の連続になってしまう。


 修練の塔で二人はその点を互いに指摘し合い、何度も衝突し合っていた。

 だが逆に言えばこの二人の特徴を合わせることが可能であれば、それは魚が水を得たようなものになる。


 しかしまだ完璧に使えるほど精錬された技では無いがために、動き回る敵には照準を合わせることが難しく、簡単に発動ができない。

 そのため、この合義を成功させるには相手の動きを止める手段が必要だったのだ。


チキは相手の動きを止めるための作戦とはいえバナナの皮で転ばせるなんて古典的ないたずらに頼るのはいささか気が進まなかったが、今はそんなこと言ってられないので、その作戦を実行するべくグオーレンを引き寄せる。


「よっ、ほっ、あらよっと、おりゃ、そこだ!」

 チキはグオーレンの大ぶりな攻撃を飛んで跳ねてひょいひょいと躱しながら、モノが食べたバナナの皮をグオーレンの足下に散らばせていく。


 後はうっかりバナナを踏んづけてくれれば作戦は成功する・・・・・・はずだった。


「え、うそ・・・・・・」

 次の瞬間、チキの視界は床で埋め尽くされていた。


 なんとグオーレンに仕掛けたはずのバナナの皮をチキは誤って自分で踏んづけてしまっていたのだ。

 顔から床にダイブして倒れるチキ。

 すぐさま身体を捻ってグオーレンに正対するが高く上げられた拳が今にも振り落とされようとしている。


「死んじゃうの・・・・・・ウチ・・・・・・」


 目の前に迫り来る死に、チキは強ばっていた全身から力がスッと抜けていき、ただただ上から落ちてくる物を眺めるだけだった。


「チキ!!」

 カレンはあまりに一瞬の出来事に遅れを取ってしまい、ヤヌスを振り抜く腕も駆ける足も出ないでいた。

 かろうじて出た声もチキの耳には届かず、チキはそのまま・・・・・・


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